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法人名義の携帯・車・カード

この記事の結論
  • 法人カードは名義変更ではなく新規契約になる(名義人は利用する個人だが契約は法人)
  • 携帯電話は大手キャリアなら店頭で名義変更が可能で、ドコモ・ソフトバンクは1回線あたり3,850円(税込)の手数料がかかる(2026年9月確認)
  • 車の名義変更は「移転登録」と呼ばれる手続きで、所有者変更の事由があった日から15日以内に運輸支局へ申請する義務がある(道路運送車両法13条1項)
  • 移転登録を怠ると50万円以下の罰金の対象になりうる(道路運送車両法109条2号)
  • 個人が会社へ車を時価の2分の1未満で譲渡すると、時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税される(所得税法59条1項、施行令169条)
この記事の内容
  1. 結論:カード→携帯→車の順で動くと手戻りが少ない
  2. 法人カードは「名義変更」ではなく新規契約
  3. 携帯電話は店頭で名義変更ができる
  4. 車の名義変更(移転登録)には15日の期限がある
  5. 車を個人から法人に移すときの値段の付け方に注意
  6. 3つを比較すると準備物の重さが違う
  7. 実体験について、正直に書きます
  8. 次にやること

この記事は、会社を設立したばかりで、いま個人名義で使っている携帯電話・車・クレジットカードを法人名義に切り替えたい一人社長に向けて書いています。 結論から言うと、この3つは手続きの中身がまったく違うので、同じ「名義変更」という言葉でくくると混乱します。カードは新規契約、携帯は店頭での名義変更、車は法定期限つきの登録手続きです。以下、それぞれの違いと、どの順番で進めると手戻りが少ないかを説明します。

こんな状態ではありませんか
  • 「法人名義に切り替える」と一口に言っても、携帯・車・カードで何をすればいいのか分からない
  • どれから手をつければいいのか、順番の目安がほしい
  • 車の名義変更を後回しにしていたら、期限があると知って焦っている

結論:カード→携帯→車の順で動くと手戻りが少ない

3つとも「法人名義にする」という目的は同じですが、手続きの実態は次のように違います。

対象 手続きの実態 かかる時間の目安
クレジットカード 名義変更ではなく法人カードの新規申込 審査に数日〜数週間
携帯電話 キャリア店頭での名義変更(場合によっては新規契約) 即日〜数日
運輸支局での移転登録(法定の届出) 書類準備を含め数日〜数週間

法人カードは審査に時間がかかるうえ、設立直後は審査が通りにくい場合があります(この点は法人カードは設立直後に作れるか|審査に通った条件で扱っています)。時間がかかるものから先に着手しておくと、後の2つを進めている間に審査結果を待てるため、カード→携帯→車の順で着手するのが合理的です。

ここが要点

車だけは「移転登録」という法律上の届出期限(所有者変更から15日以内、道路運送車両法13条1項)があります。着手の順番は最後でも構いませんが、車を法人に移すと決めた日から15日はカウントが始まることは覚えておいてください。

法人カードは「名義変更」ではなく新規契約

個人名義のクレジットカードを、そのまま法人カードに切り替えることはできません。法人カードは法人が契約者となり、券面の名義はカードを利用する代表者や従業員個人の氏名になります(JCB・三菱UFJニコスの各公式ページで2026年9月確認)。個人カードから法人カードへの切替そのものを扱った公式説明は見当たりませんでしたが(2026年9月確認)、法人カードはどの会社でも法人を契約者とする別個の入会申込・審査になっているため、実務上は個人カードとは別の新規契約として扱われます。

つまり、いま使っている個人名義のカードを解約して法人カードに「切り替える」というより、法人カードを別途申し込み、事業用の支払いを新しいカードに移していく、というのが実際の流れです。個人名義のカードで積んできたポイントや履歴は法人カードに引き継がれません。

設立直後は決算実績がないため審査で不利になりやすく、1年目でも通った事例と条件は法人カードは設立1年目でも作れるか|審査の考え方で扱っています。事業用の支払いを個人カードで立て替え続けると経費区分が煩雑になるため、早めに申込だけでも動いておくことをおすすめします。

携帯電話は店頭で名義変更ができる

携帯電話は、大手キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)であれば、個人名義から法人名義への変更(譲渡)を店頭で受け付けています。3社とも公式サポートページで、家族間(三親等以内)の名義変更は無料、それ以外(法人への変更を含む)は1回線あたり4,950円(税込)としています(ドコモ・au・ソフトバンクの各公式サポートページで2026年9月確認)。なお、この手数料は2025年に各社で値上げされており、以前は3,850円(税込)でした。手続き時点の最新金額は必ず窓口で確認してください。

注意点が2つあります。

  1. 店頭窓口でのみ受け付けており、オンラインでは手続きできません(ドコモ・ソフトバンクは公式サポートページに明記。auも公式ページの案内はショップ窓口のみです)
  2. 名義変更と番号ポータビリティ(MNP)を同時に行えるかどうかは、原則として同時にはできないという情報が複数の解説サイトにありますが、各社公式サポートページに明確な可否の記載は見当たりませんでした(2026年9月確認)。契約前にキャリアの窓口へ直接確認してください

MVNO(格安SIM)については、事業者ごとに法人名義への変更対応の有無が分かれます。事業者数が多く、全社の対応を横断的にまとめた公的な一覧は見当たらないため(2026年9月確認)、対応していない事業者では、いまの回線を解約して法人名義で新規契約し直す(電話番号が変わる)方法になります。事業用に使い続ける電話番号であれば、契約前にキャリアのサポート窓口へ「個人名義→法人名義の変更に対応しているか」を確認してから動くと、二度手間になりません。

車の名義変更(移転登録)には15日の期限がある

車を個人名義から法人名義に変更する手続きは、法律上「移転登録」と呼ばれています。自動車の所有者に変更があった場合、新しい所有者はその事由があった日から15日以内に、運輸支局で移転登録の申請をしなければなりません(道路運送車両法13条1項)。この期限を過ぎて放置すると、50万円以下の罰金の対象になりうるとされています(道路運送車両法109条2号)。

移転登録には、車検証、譲渡証明書、旧所有者(個人)の印鑑証明書、新所有者(法人)の印鑑証明書、委任状、車庫証明書などが必要です。個人と法人はたとえ代表者が同一人物であっても法律上は別人格のため、個人の実印・印鑑証明書と、法人の実印・印鑑証明書の両方が必要になります。会社の本店所在地と車の使用の本拠地が変わる場合は、新たに車庫証明の取得も必要です。

ここが要点

代表者個人が所有する車を、その代表者が経営する会社に売る取引は、会社法上の利益相反取引(会社法356条1項2号、取締役会設置会社では365条1項)にあたる可能性があります。一人社長で株主も自分だけの会社であっても、後日のトラブルを避けるため、売買契約書と(必要な場合は)取締役会議事録・株主総会議事録の形で記録を残しておくことをおすすめします。この点の最終判断は顧問税理士・司法書士に確認してください。

車を個人から法人に移すときの値段の付け方に注意

車を法人に移す方法には、大きく分けて「売買」と「現物出資」があります(現物出資の仕組みは別記事で扱う予定です)。売買で移す場合、値段の付け方に税務上の注意点があります。

個人が法人へ資産を譲渡する際、その対価が時価の2分の1未満だった場合は、時価で譲渡したものとみなされて所得税が課税されます(所得税法59条1項、同法施行令169条)。つまり、「タダ同然の金額で会社に車を売る」という処理は、譲渡した個人側に想定外の税負担を生む可能性があるということです。中古車としての時価をどう算定するか、消費税の扱いをどうするかは個別の状況によって変わるため、金額を決める前に顧問税理士に確認することをおすすめします。

ローンが残っている車の場合は、所有者が信販会社(ローン会社)になっていることが多く、その場合は移転登録の前にローン会社の承諾やローンの完済が必要です。車検証の「所有者」欄が本人以外になっていないか、まず確認してください。

3つを比較すると準備物の重さが違う

最後に、3つの手続きで実際に何を用意する必要があるかを一覧にします。

対象 主な必要書類・準備 個人と法人、両方の印鑑証明書が必要か
クレジットカード 法人カードの申込書類、登記簿謄本、決算書(または事業計画)など 不要(新規契約のため)
携帯電話 法人の登記簿謄本、印鑑証明書、契約者本人確認書類など(キャリアにより異なる) 法人側のみのことが多い(要窓口確認)
車検証、譲渡証明書、委任状、車庫証明書 必要(個人・法人双方の実印・印鑑証明書)

車だけが「個人と法人、両方の実印・印鑑証明書」を必要とする点で、他の2つよりも準備の手間が重くなりがちです。移転登録の15日という期限を踏まえると、車を法人名義にすると決めたら、書類集めから先に着手しておくと期限に追われずに済みます。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点では携帯・車・カードのいずれもまだ法人名義への切り替えを実施していません。特に車については、代表者個人と法人の間の売買という性質上、税務上の値段の付け方を自分で判断できる自信がなく、実際に着手する段階で顧問税理士に確認してから進めるつもりです。実際に手続きを終えたら、かかった時間や窓口でのやり取りをこの記事に追記します。

次にやること

まず、法人カードの申込を一番に進めてください。 審査に時間がかかるため、先に動いておくと携帯・車の手続きを並行して進められます。車を法人名義にする予定がある場合は、移転登録が所有者変更から15日以内という期限付きの手続きであることを踏まえ、印鑑証明書などの必要書類を先に揃えておいてください。値段の付け方や利益相反取引の扱いに迷う場合は、契約書を作る前に顧問税理士・司法書士に相談してください。


※本記事は2026年9月2日時点で執筆し、2026年9月5日に法令・公式情報を確認した内容に基づくものです。携帯電話の名義変更手数料はキャリア各社の案内に基づくため、契約前に必ず窓口で最新の金額・手続き方法を確認してください。車の譲渡価格・税務上の扱いの最終判断は、個別の状況により異なるため顧問税理士・司法書士にご確認ください。

出典 - 道路運送車両法 第13条第1項(移転登録)、第109条第2号(申請義務違反への50万円以下の罰金)(e-Gov法令検索で条文を2026年9月確認) - 所得税法 第59条第1項(贈与等の場合の譲渡所得等の特例。法人に対する著しく低い価額の対価による譲渡が対象)(e-Gov法令検索で条文を2026年9月確認)。「著しく低い価額」=時価の2分の1に満たない金額であることは国税庁 No.3217「時価より低い価額で売ったとき」で確認(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3217.htm) - 会社法 第356条第1項第2号(競業及び利益相反取引の制限)、第365条第1項(取締役会設置会社における特則。「株主総会」を「取締役会」と読み替える規定)(e-Gov法令検索で条文を2026年9月確認) - 携帯電話の名義変更手数料(家族間無料・それ以外4,950円税込)は、ドコモ公式サポートページ(https://www.docomo.ne.jp/support/change_owner/)、au公式サポートページ(https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/contract/succession/)、ソフトバンク公式サポートページ(https://www.softbank.jp/support/faq/view/10052)でそれぞれ2026年9月確認。3社とも店頭窓口のみでオンライン非対応 - 移転登録の必要書類(車検証・譲渡証明書・印鑑証明書・委任状・車庫証明書)は国土交通省「車を売買等により名義変更するために必要な書類」で2026年9月確認(https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/transfer/document/index.html)

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会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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