一人社長の会計ソフトの選び方
- freee会計「ひとり法人プラン」は月額2,980円(年払い)で電話サポートなし・記帳のみ向け
- マネーフォワード クラウド「ひとり法人プラン」は月額2,480円〜(年払い・年額29,760円税抜)でユーザー1名限定・仕訳500件/年上限
- 弥生会計Next(法人向け)は「エントリー」(年34,800円税抜・有人サポートなし)「ベーシック」(年50,400円税抜・有人チャット/メールあり)「ベーシックプラス」(年84,000円税抜・電話/仕訳相談あり)の3段階(いずれも公式料金ページで確認)
- 税理士に記帳・申告を丸ごと依頼する前提なら、ソフト側のサポートは薄いプランで十分なことが多い(税理士がサポート役になるため)
- 自分で申告まで完結させる前提なら、サポートが厚いプラン(freeeスタータープラン・弥生ベーシックプラン等)を検討する価値がある(2026年8月時点の調査)
この記事の内容
この記事は、一人で会社を経営していて、会計ソフトをどれにするか決めきれていない人に向けて書いています。 結論から言うと、機能や見た目の好みより先に決めるべきことが1つあります。「記帳や決算申告を税理士に頼むか、自分で完結させるか」です。この前提が変わると、必要なサポートの厚みが変わり、選ぶべきプランも料金も変わります。
- freee・マネーフォワード・弥生、どれも「一人社長向け」をうたっていて違いが分からない
- 税理士に頼むつもりだが、それでも高いプランが必要なのか判断できない
- とにかく安く済ませたいが、後で申告に困らないか不安
「一人社長は税理士がいらないのか」への答え: 法律上、税理士に頼む義務はありません。取引が少なく、記帳と決算申告を自分で回せるなら、顧問契約なしでも会社は続けられます。
分かれ目は3つです。利益が出ていて節税の余地があるか、取引や手続きが増えて自力では回らなくなっているか、申告の期限を自分で守れるか。1つでも怪しければ、顧問ではなく「決算のときだけ」の依頼から始める手もあります。チェックリストと自力で申告する手順は、こちらの節にまとめました。
結論:まず「税理士に何を頼むか」を決める
会計ソフトの機能そのものは、freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計Next(法人向けの新規契約は2025年4月に弥生会計オンラインからこちらへ切り替わっています)のどれを選んでも、記帳・請求書発行・決算書類の作成という一人社長に必要な範囲はおおむね揃っています。差が出るのは「サポートの厚さ」と、それに応じた料金です。
サポートが薄い安いプランは、税理士がすでに記帳や申告のサポート役になっている人には十分です。逆に、経理も申告も自分で調べながら進めるつもりなら、電話やチャットで質問できるサポート付きのプランを検討する価値があります。同じ「一人社長向け」プランでも、隣にいる税理士の有無で「ちょうどいい」プランは変わります。
比較表:freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計Next(法人向け)
※以下は2026年8月時点の各社公式サイト情報に基づきます。弥生会計オンライン(法人向け)は2025年4月7日をもって新規契約の受付を終了しており、2026年8月現在、新規に契約できるのは後継の「弥生会計Next」です(弥生株式会社公式のお知らせ、2026年8月31日確認)。プラン名も「セルフプラン/ベーシックプラン」から「エントリープラン/ベーシックプラン/ベーシックプラスプラン」の3段階に変わり、サポートは契約期間ではなく利用できる機能でプランが分かれる方式になっています。料金や条件は変更されることがあるため、契約前に必ず各社公式サイトの最新情報を確認してください。
| 項目 | freee会計(ひとり法人プラン) | マネーフォワード クラウド(ひとり法人プラン) | 弥生会計Next(エントリープラン) | 弥生会計Next(ベーシックプラスプラン) |
|---|---|---|---|---|
| 料金(年払い時の月額目安) | 2,980円/月 | 2,480円/月(年額29,760円・税抜) | 2,900円/月(年額34,800円・税抜。公式料金ページで確認、2026年9月1日) | 7,000円/月(年額84,000円・税抜。同ページで確認) |
| 電話・チャットサポート | 電話サポートなし・チャット/メールサポートあり(freee公式サイトで確認) | チャット・メールサポートあり | 有人サポートなし(問い合わせはWebFAQ・チャットボットのみ。公式料金ページで確認) | 電話サポート・仕訳相談あり(回数上限なし。弥生公式サポート情報で確認) |
| 利用条件 | 経費精算は利用不可(公式サイトの比較表で確認)。部門管理については本ページに記載なし(2026年8月31日確認) | 管理コンソールの登録ユーザーが実質1名限定・仕訳数は1会計年度500件まで | 有人サポートが一切付かない点が最大の制約(公式料金ページで確認) | 経費精算が5名まで無料で付く(公式料金ページで確認) |
| 税理士との連携 | freee経理認定アドバイザー(税理士・会計士)とのデータ共有が可能 | 士業アカウントとの連携が可能(登録ユーザー数の上限外扱い) | データ共有機能あり(弥生公式の税理士連携ページで確認)。同ページにプラン別の利用制限の記載はなし(2026年9月1日確認) | データ共有機能あり(同左)。同ページにプラン別の利用制限の記載はなし |
なお弥生会計Nextには上記2プランの中間に「ベーシックプラン」(月額4,200円・年額50,400円・税抜)もあり、有人チャット・メールサポートは使えますが電話サポート・仕訳相談は付きません(公式料金ページで確認、2026年9月1日)。
パターン1:税理士に記帳・申告を丸ごと任せる
顧問税理士に記帳代行や決算申告をまるごと依頼するなら、会計ソフト側の電話サポートやチャットサポートは、実はそれほど重要ではありません。分からないことがあれば税理士に聞けばよく、ソフト会社のサポートを使う場面自体が少ないからです。この場合、freee会計の「ひとり法人プラン」やマネーフォワード クラウドの「ひとり法人プラン」、弥生会計Nextの「エントリープラン」といった、サポートが薄い代わりに安いプランで十分なことが多くなります。
ただし1点だけ確認が必要です。税理士側が使い慣れているソフトかどうか。 freee会計にはfreee経理認定アドバイザー、マネーフォワード クラウドには士業アカウントとの連携の仕組みがそれぞれ用意されており、税理士とデータを共有しながら進める前提の設計になっています。契約前に「このソフトで問題ないか」を顧問税理士(または依頼予定の税理士)に一度確認しておくと、あとで乗り換える二度手間を避けられます。
安いプランを選ぶ判断基準は「サポートが要らないから」であって、「税理士報酬を払うのがもったいないから」ではありません。ソフト代を安く抑えても、税理士報酬は別途かかります。 総額で見て初めて、このパターンが自分に合っているか判断できます。
パターン2:自分で記帳し、申告だけ税理士に相談する
日々の記帳は自分で行い、決算・申告のタイミングだけ税理士に相談する、あるいは申告書類のチェックだけ依頼する、という中間パターンもあります。この場合、記帳作業でつまずいたときに自力で調べる場面が増えるため、サポートが手厚いプランのほうが安心感があります。
freee会計であれば、電話サポートのある「スタータープラン」(月額5,480円〜、年払い時)が候補になります。弥生会計Nextであれば、有人チャットが使える「ベーシックプラン」(月額4,200円・年額50,400円・税抜。公式料金ページで確認)が近い位置づけですが、電話で仕訳相談まで頼みたい場合は上位の「ベーシックプラスプラン」が必要です。マネーフォワード クラウドの「ひとり法人プラン」にも、チャット・メールサポートが標準で含まれています。
「記帳は自分でやる」と決めても、実際にやってみると仕訳の分類や科目の判断で迷う場面が必ず出てきます。迷ったときに聞ける先がソフトのサポートなのか、税理士なのかを先に決めておくと、契約するプランを選び間違えません。
パターン3:記帳から申告まで自分で完結させる
税理士を頼まず、決算・申告まで自分ですべて行う場合は、サポートが最も手厚いプランを検討する余地があります。ただし、法人の決算申告は個人の確定申告より複雑で、税務署への提出書類の種類も多くなります。ソフトのサポートはあくまで「操作方法」の相談窓口であり、税務判断そのものの相談窓口ではない場合が一般的です。この境界を誤解しないことが重要です。
弥生会計Nextの「ベーシックプラスプラン」には、電話サポートに加えて「仕訳相談」が含まれますが、弥生公式のサポート情報には「税務についてのご相談は、対象外になります」と明記されています(出典参照)。つまり仕訳相談は記帳・仕訳の実務相談であって、税務判断そのものの相談窓口ではありません。自分で申告まで完結させる予定の場合は、税務判断が必要な場面では税理士や税務署に別途確認することを勧めます。
一人社長ならではの注意点
「ひとり法人プラン」という名前のプランには、機能面での制限が付いていることがあります。たとえばマネーフォワード クラウドの「ひとり法人プラン」は、管理コンソールに登録できるユーザーが実質1名に限られ、1会計年度の仕訳登録数も500件までという上限があります(2026年8月確認)。取引件数が少ない起業直後は問題になりにくいですが、事業が伸びて取引が増えてきたときには、上位プランへの切り替えを検討するタイミングが来ます。
freee会計の「ひとり法人プラン」は、公式サイトのプラン比較表で経費精算機能が利用不可(×)と明記されています(出典参照)。部門別管理が使えるかどうかについては、本ページには記載がありませんでした(2026年8月31日確認)。従業員を雇う予定がある、経費精算の仕組みを整えたい、という場合は、経費精算に対応した「スタータープラン」以上の契約を検討してください。
「ひとり法人プラン」という名前だけを見て契約すると、取引が増えた後や人を雇った後に、想定より早くプラン変更が必要になることがあります。契約時点の状況だけでなく、半年〜1年後にどうなっていそうかも見て選ぶと、乗り換えの手間を減らせます。
一人社長は税理士がいらない?判断のチェックリストと自力で申告する手順
税理士に頼むかどうかで、会計ソフトに求めるサポートが変わります。ここでは「そもそも税理士はいらないのか」を、分かれ目ごとに整理します。
税理士に頼む義務は法律上ありません(Money Forwardの解説も同じ整理です)。ただし、税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の独占業務とされており、他人の代わりに行えるのは税理士だけです。自社の分を自分で作って出すことと、人に頼むことは別の話です。
分かれ目と、それぞれどうなるか
- 取引が少なく、自分で記帳できる → 顧問契約なしでも回せる。決算のときだけ単発で見てもらう手もある
- 利益が出ていて、節税の選択肢を知りたい → 役員報酬の決め方、小規模企業共済、社宅などは制度の理解が要る。相談の価値が出やすい
- 取引や手続きが増えた(人を雇う、社会保険、消費税の課税事業者など) → 自力だと調べる時間がかさむ。顧問か、スポット相談を考える
- 赤字が続いている、売上が小さい → 顧問料が利益を上回ることがある。申告だけ単発で頼む形が候補になる
顧問料は月1〜5万円程度が一般的とされ、決算申告は別料金のこともあります(Money Forwardの解説。事務所により異なる)。月2万円と仮置きすると年24万円です。見てもらって減る税額と、自分の作業時間が、この金額を上回りそうかを見ます。
税理士なしで進められるか:チェックリスト
□ 決算日(事業年度の末日)を、定款で確認できている □ 毎月、売上と経費の記帳を自分で続けられる □ 領収書・請求書・通帳の記録を、会計ソフトに紐づけて残している □ 申告期限(決算日の翌日から2か月以内)を、カレンダーに入れている □ 消費税の課税事業者かどうかを、税務署の書類で確認している □ 迷ったとき、相談する先(税務署の窓口、単発で頼める税理士)を決めている
2つ以上チェックが付かない場合は、決算のときだけでも税理士に見てもらうほうが、あとで直す手間は減りやすくなります。
次に詰まるのは「申告の期限と提出先」
自力でやるときに最初につまずくのは、いつまでに、どこへ出すかです。
- 決算日を確認する。次の表のとおり、決算日の翌日から2か月以内が申告と納税の期限です
- 会計ソフトで帳簿を締め、試算表と決算書を作る
- 法人税の申告書を作り、所轄の税務署へ出す。納税も同じ期限です
- 法人住民税・事業税は、都道府県と市区町村へ別に申告する。提出先と様式は、各自治体のページで確認する
- 消費税の課税事業者なら、消費税の申告も要る。期限は課税期間の末日の翌日から2か月以内(国税庁 No.6601)
- 期限が土日・祝日にあたるときは、その翌日が期限になる
| 決算日 | 申告・納税の期限 |
|---|---|
| 3月31日 | 5月31日 |
| 6月30日 | 8月31日 |
| 12月31日 | 翌年2月末日 |
期限を過ぎると期限後申告となり、加算税や延滞税がかかる場合があります(国税庁)。法人税には期限の延長の特例がありますが、申請が必要です。使うかどうかは、申告前に税務署か税理士に確かめてください。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、起業準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点では、まだ自分で会計ソフトを契約していません。そのため、この記事は各社公式サイトおよび公式情報を扱う比較記事の調査整理であり、自分が実際に使ってみた体験談ではありません。この点は正直に書いておきます。契約し、実際に記帳を始めた段階で、一次情報として別記事にまとめる予定です。
次にやること
まず、税理士に「何を頼むか」を1文で決めてください。 「記帳から申告まで丸ごと任せる」なら安いプランで十分、「申告だけ相談する」ならサポート付きの中間プラン、「全部自分でやる」ならサポートが手厚いプランを軸に比較する、という順番で進めれば、機能一覧を1つずつ見比べるより早く決まります。会社設立の手続きとあわせて会計ソフトも検討している場合は、設立書類の作成サービスと同じ会社のソフトを選ぶと、電子定款の手数料が無料になるなど手続きが一本化できることがあります。
※本記事は2026年8月時点の各社公式サイト・公式情報を扱う比較記事の調査整理と、筆者個人の状況に基づくものです。料金・サービス内容は変更されることがあるため、契約前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
出典 - freee会計の料金プラン公式サイト(2026年8月31日確認。「ひとり法人プラン」月額2,980円・「スタータープラン」月額5,480円〜を確認) - freee会計 法人新プランに付帯する「ひとり法人(会計プラン付帯)」について公式サイト(プログラムからのアクセスは403で拒否されるが、2026年9月1日に実ブラウザでページの実在を確認) - 税理士・会計士にfreeeの情報を共有する公式サイト(freee経理認定アドバイザーとのデータ共有・ひとり法人プランが対象であることを確認・2026年8月31日確認) - 新設法人向け料金プラン(freee会計)公式サイト(プラン比較表で「ひとり法人」の電話サポート×・チャット/メールサポート○・経費精算×を確認。部門管理に関する記載は本ページになし、2026年8月31日確認) - ひとり法人向け料金プラン(マネーフォワード クラウド)公式サイト(2026年8月31日確認。年額29,760円・税抜、ユーザー1名限定、仕訳500件/年上限を確認) - 弥生会計 オンラインの新規契約受付終了のお知らせ公式サイト(2025年4月7日受付終了・後継は弥生会計Next、2026年8月31日確認) - 「弥生会計 オンライン」と「弥生会計 Next」の違い公式サイト - 弥生会計 Next 料金プラン公式サイト(2026年9月1日に実ブラウザで確認。エントリー月額2,900円/年額34,800円・ベーシック月額4,200円/年額50,400円・ベーシックプラス月額7,000円/年額84,000円、いずれも税抜) - 弥生製品共通 サポート情報「電話サポート利用回数の上限について」公式サイト(弥生会計Nextは「ベーシックプラスプランで無制限」とのみ明記。本文に以前記載していた「2025年4月16日〜2027年9月30日の移行期間中は全プランで無制限」は同ページ内の別記述で、弥生給与Nextの移行対象者向けの注記であり弥生会計Nextの記述ではなかったため訂正、2026年8月31日確認) - 弥生会計 Nextの契約プラン一覧公式サイト(エントリー/ベーシック/ベーシックプラスの3プラン名を確認。各プランの料金・サポート詳細な条件はこのページ内には記載なし、2026年8月31日確認) - 業務相談ご利用にあたっての注意事項(弥生製品共通サポート情報)公式サイト(「税務についてのご相談は、対象外になります」と明記されていることを確認・2026年8月31日確認) - 税理士事務所・会計事務所と連携できるクラウド会計ソフト(弥生会計 Next)公式サイト(2026年9月1日に実ブラウザで確認。税理士・会計事務所とのデータ共有機能を確認。プランごとの利用制限の記載は同ページになし) - 一人社長に税理士は必要?(マネーフォワード クラウド会計)(税理士への依頼が法律上必須でないこと、独占業務、顧問料の目安月1〜5万円を確認。2026年10月8日確認) - No.6601 申告と納税(国税庁・消費税)公式サイト(課税事業者の申告期限が課税期間の末日の翌日から2か月以内。2026年10月8日確認) - 法人税のあらましと申告の手引(国税庁)公式サイト(確定申告書は事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出・納税。2026年10月8日確認) - freee会社設立公式サイト(電子定款代行手数料5,000円は、freee会計またはfreee人事労務の年間契約で無料になると明記。2026年8月31日確認) - マネーフォワード クラウド会社設立「電子定款作成費用が無料になる条件」公式サイト(ひとり法人プラン・スモールビジネスプラン・ビジネスプランのいずれかの契約で電子定款作成費用5,000円が無料になると明記。2026年8月31日確認)