会社設立代行の費用比較
- 会社設立の登記申請だけを司法書士に依頼した場合の報酬相場は5万〜10万円程度、定款作成から任せる行政書士は10万〜15万円程度とされる(会社設立代行に関する各社公開情報、確認日2026年8月31日)
- 「0円設立」をうたうのは主に税理士事務所で、代行報酬を無料にする代わりに設立後の顧問契約とセットにしている仕組みが一般的(同上)
- 顧問契約の月額料金・契約期間の条件は事務所ごとに差が大きく、公式サイトに一般公開されていないことが多い(2026年8月時点の複数事務所公式サイト確認)
- 代行報酬とは別に、登録免許税(合同会社は資本金の0.7%か6万円の高い方、株式会社は同0.7%か15万円の高い方)は必ずかかる法定費用(登録免許税法別表第一)
- 株式会社の定款認証手数料は資本金100万円未満で1万5,000円(2024年12月1日改正、日本公証人連合会)。合同会社はこの認証自体が不要
この記事の内容
この記事は、会社設立の手続きを代行に頼もうとしていて、司法書士・行政書士・税理士事務所のどこに頼めばいいか、費用の違いがわからず迷っている人に向けて書いています。 結論から言うと、代行費用の相場は依頼先の種類によって数万円から十数万円まで開きがあり、「0円設立」をうたうところは、代行報酬を無料にする代わりに設立後の顧問契約とセットにしていることがほとんどです。ここでは代行の種類別に費用相場を並べ、「0円」の中身が何とセットになっているかを整理します。
- 会社設立を代行に頼むといくらかかるのか、依頼先によって相場が違うのかわからない
- 「0円設立」という表記を見かけるが、本当にタダなのか、あとで想定外の請求が来ないか不安
- 司法書士・行政書士・税理士事務所、どこに何を頼めるのか違いがわからない
会社設立代行を比較するときの答え:「代行報酬」ではなく「報酬+実費」の総額で、同じ条件にそろえて並べます。 株式会社・資本金300万円・電子定款という条件でそろえると、実費は16万5,000円。総額は、クラウドサービスの登記代行だけなら20万5,000円〜21万5,000円、司法書士・行政書士に任せると27万円台になります。「0円設立」は実費の16万5,000円に、設立後の顧問料が上乗せされる形です。内訳は後ろの比較手順にまとめました。
結論:代行の種類で相場が変わる。0円は顧問契約とセット
会社設立の代行は、「登記申請だけ」を頼むのか、「定款作成から」頼むのか、「設立後の顧問契約とセット」で頼むのかによって、報酬相場が大きく変わります。日本司法書士会連合会が2024年3月に実施した報酬アンケート(有効回答932件)では、資本金500万円・発起人2名の株式会社について、定款・議事録などの必要書類を全て作成し、定款認証手続と登記申請の代理までを依頼した場合の司法書士報酬の平均は10万7,887円でした(日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果」2024年3月実施)。行政書士に会社設立手続き(定款作成が中心)を依頼した場合の報酬相場は、平均10万6,371円です(有効回答287件、日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」2026年1月実施)。ただしこの統計は「会社設立手続」という項目のみで、資本金額や発起人数までは条件付けされていません。一方で「0円設立」を掲げるのは主に税理士事務所で、これは代行報酬をゼロにする代わりに、設立後の顧問契約(月額の会計・税務サポート契約)を条件にしている仕組みが一般的です(複数の税理士事務所公式サイトで同様の説明を確認、2026年8月時点)。「0円」だけを見て契約先を決めると、その後何年も続く顧問料まで含めた総額では、必ずしも一番安いとは限りません。
代行を頼める先は主に3種類+クラウドサービスの登記代行プラン
会社設立の代行を頼める先は、大きく分けると次の4パターンです。
- 司法書士:登記申請の代理を業として行える専門家(弁護士も法律上は可能)。定款作成から登記申請まで一括で依頼することも、登記申請だけを依頼することもできます
- 行政書士:定款の作成・認証手続きの代理が中心。ただし法務局への登記申請の代理はできないため、登記部分は自分で行うか司法書士と連携している事務所を選ぶ必要があります
- 税理士事務所の「0円設立」:代行報酬を無料にする代わりに、設立後の顧問契約を条件にする仕組み。実務では提携する司法書士・行政書士に依頼が回っている場合が多い
- クラウドサービスの登記代行プラン:freee会社設立やマネーフォワード クラウド会社設立のような書類作成サービスに、提携専門家への登記代行がオプションとして付いている形。freee会社設立の「登記おまかせプラン」は司法書士報酬が通常登記で一律5万円(税込)と公式サイトに明記されており(freee公式サイト、確認日2026年8月31日)、これとは別に登録免許税などの実費がかかります。マネーフォワード クラウド会社設立の登記代行プランの料金は40,000円(税込)と公式サイトに明記されています(マネーフォワード クラウド会社設立公式サイト、確認日2026年8月31日)。これとは別に定款認証費(株式会社の場合)・登録免許税などの法定費用がかかります([004]記事で比較済み)
比較表:代行の種類別 費用相場
※司法書士・行政書士・freee会社設立・マネーフォワード クラウド会社設立の数値は出典を明記した公式情報、税理士事務所の「0円設立」は目安です。実際の報酬は依頼先・依頼内容によって変わるため、必ず個別に見積もりを取ってください。
| 依頼先 | 主な依頼範囲 | 報酬相場の目安 | 設立後の条件 |
|---|---|---|---|
| 司法書士 | 定款作成〜登記申請の代理 | 平均10万7,887円(資本金500万円・発起人2名のケース、日本司法書士会連合会 報酬アンケート・2024年3月実施) | 特になし(不要な場合が多い) |
| 行政書士 | 定款作成・認証手続き代理 | 平均10万6,371円(会社設立手続、有効回答287件、日本行政書士会連合会 令和7年度報酬額統計調査・2026年1月実施) | 特になし(不要な場合が多い) |
| 税理士事務所の「0円設立」 | 定款作成〜登記(提携先経由が多い) | 0円(代行報酬のみ) | 顧問契約が条件になっていることが多い |
| クラウドサービスの登記代行プラン | 定款作成〜登記 | freee会社設立は司法書士報酬一律5万円(税込・通常登記、freee公式サイト確認)。マネーフォワード クラウド会社設立は登記代行40,000円(税込、公式サイト確認) | サービスにより異なる |
表の「報酬相場」には、登録免許税や定款認証手数料といった法定の実費は含まれていません。 これらはどの依頼先を選んでも、代行報酬とは別に必ずかかります。詳しくは後述します。
「0円設立」のからくりを分解する
「0円設立」という言葉だけを見ると、会社設立にお金がまったくかからないように聞こえますが、実際にゼロになっているのは「代行報酬」の部分だけです。仕組みを分解すると、次のようになっています。
- 無料になっているもの:定款作成や登記申請の代行にかかる、事務所側の作業報酬(前述の司法書士報酬の平均10万7,887円が目安)
- 条件として発生するもの:設立後の顧問契約。会計記帳・決算・税務相談などを月額でサポートする契約で、契約期間(1年〜数年程度)の縛りがある事務所もあります
- 顧問契約の月額料金や契約期間は、事務所ごとに差が大きく、公式サイトに一般公開されていないことが多い(2026年8月時点の複数事務所公式サイト確認)ため、契約前に必ず個別に見積もりを取り、内容を確認する必要があります
「0円設立」を検討するときは、「今回浮く代行報酬」ではなく「顧問契約が続く期間の合計金額」で比較してください。 顧問契約が3年続けば、その間の顧問料の合計が、最初から司法書士・行政書士に代行報酬を払って顧問契約を結ばない場合の総額を上回ることもあります。契約前に「顧問契約の最低期間」「途中解約の条件」「解約した場合の代行報酬の扱い」の3点を確認しておくと、あとで想定と違う、ということを避けやすくなります。
代行費用とは別に、必ずかかる実費がある
代行報酬をいくらに抑えられたとしても、次の実費は代行の種類にかかわらず必ず発生します。
- 登録免許税:法務局に登記を申請する際にかかる国税。合同会社は資本金の0.7%か6万円の高い方、株式会社は資本金の0.7%か15万円の高い方(登録免許税法別表第一)
- 定款認証手数料:株式会社は公証役場での定款認証が必須です。2024年12月1日の改正で、「発起人全員が自然人で3人以下」「発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける」「取締役会を置かない」の3条件を全て満たす場合に限り1万5,000円になりました。この条件に当てはまらない場合、資本金100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円です(日本公証人連合会)。合同会社はこの認証自体が不要なため、この費用はかかりません
- 収入印紙代:紙の定款には4万円の印紙が必要(印紙税法別表第一、国税庁)。電子定款は書面ではないため課税文書に該当せず、印紙税は0円になります(国税庁)。会社設立代行を専門に扱う事務所の多くは電子定款に対応しています
これらの実費は、代行報酬が「0円」であっても消えません。見積もりを比較するときは、「代行報酬+実費」の合計で見るようにしてください。費用の内訳と自分でやる場合との比較は[会社設立は自分でやるか代行に頼むか]の記事で詳しく整理しています。
依頼前に確認すべき3点
依頼先を決める前に、次の3点を確認しておくと、あとで想定外の負担になることを避けやすくなります。
- 報酬に含まれる範囲:定款作成だけか、登記申請まで含むか。行政書士は登記申請の代理ができないため、別途司法書士が必要になる場合があります
- 「0円」の場合の条件:顧問契約は必須か、契約期間はどれくらいか、途中解約はできるか
- 実費の扱い:登録免許税・定款認証手数料は自分で法務局・公証役場に払うのか、代行事務所が立て替えるのか
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、起業準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点では、司法書士・行政書士・税理士事務所のいずれにも会社設立の代行を依頼したことはありません。今のところ、電子定款対応のクラウドサービスを使って自分で進める方向で検討しており、代行を使う場合の実際のやり取りは経験していません。そのため、この記事は各社の公開情報を整理したものであり、代行を実際に使った一次情報ではないことを正直に書いておきます。
計算例:資本金300万円で司法書士に依頼した場合の総額
前提を1つ仮置きします。
- 株式会社を設立する
- 資本金300万円
- 発起人1名(自然人)。設立時発行株式の全部を引き受け、取締役会は置かない
- 定款作成から登記申請までを司法書士に一括で依頼する
- 電子定款に対応した事務所を選ぶ
ここまでの本文に出てきた数字だけを当てはめると、内訳は次のようになります。
| 項目 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 司法書士報酬 | 10万7,887円 | 日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果」の平均値(前述) |
| 登録免許税 | 15万円 | 資本金300万円×0.7%=2万1,000円だが、株式会社は「0.7%か15万円の高い方」なので15万円が適用される |
| 定款認証手数料 | 1万5,000円 | 発起人1名(自然人)・株式全部引受・取締役会なしの3条件を満たすため、2024年12月改正後の特例額が適用される |
| 収入印紙代 | 0円 | 電子定款のため課税文書に該当しない |
| 合計 | 27万2,887円 | 上記の合計 |
前提が変わればこの合計も変わります。例えば取締役会を置く会社にすると、定款認証手数料の特例条件を満たさなくなり、資本金100万円以上300万円未満のケースの4万円が適用されるため、合計は29万7,887円になります。資本金や発起人数が違う場合も、上の表の登録免許税・定款認証手数料の計算方法に当てはめれば同じように出せます。
会社設立代行を比較する手順:見積もりを同じ条件にそろえて総額で並べる
代行の比較で起きやすいのは、依頼範囲も実費の扱いもバラバラな見積もりを、金額だけ見て並べてしまうことです。次の順で進めると、同じ物差しで比べられます。
- 条件を1つに決める。 株式会社か合同会社か、資本金、発起人の人数、取締役会を置くか。この4つで登録免許税と定款認証手数料が決まります(前述)
- 各事務所・サービスの公式サイトの問い合わせ窓口から、同じ条件で見積もりを頼む。
聞くのは次の4点です
- 報酬に含まれる範囲(定款作成・認証の代理・登記申請の代理のどこまでか)
- 登録免許税・定款認証手数料を立て替えてくれるか、自分で払うか
- 電子定款に対応しているか
- 金額が税込か税別か
- 「報酬+実費」の総額に直して1枚に並べる。
- 「0円設立」だけは、顧問料の月額・最低契約期間・途中解約の条件を聞き、「月額×期間」を総額に足す。
- 依頼範囲がそろっているかを最後に見直す。 「登記申請まで含む」と「定款作成まで」を同じ列に置くと、安く見えるほうが実は範囲が狭い、ということが起きます
条件ごとの総額(株式会社・資本金300万円・発起人1名(自然人)・取締役会なし・電子定款)
実費は、登録免許税15万円+定款認証手数料1万5,000円=16万5,000円(印紙代は電子定款のため0円)です。
| 依頼のしかた | 代行報酬 | 実費 | 総額 | 見るところ |
|---|---|---|---|---|
| 司法書士に定款作成から登記まで一括 | 10万7,887円 | 16万5,000円 | 27万2,887円 | 報酬は資本金500万円・発起人2名の平均値。計算例と同じ |
| 行政書士に定款作成・認証を依頼し、登記は自分で申請 | 10万6,371円 | 16万5,000円 | 27万1,371円 | 統計の項目は「会社設立手続」で、範囲や資本金の条件は示されていない |
| freee会社設立の登記おまかせプラン | 5万円 | 16万5,000円 | 21万5,000円 | 5万円は司法書士報酬(通常登記)。書類作成はサービス上で自分で進める前提 |
| マネーフォワード クラウド会社設立の登記代行 | 4万円 | 16万5,000円 | 20万5,000円 | 同上 |
| 税理士事務所の「0円設立」 | 0円 | 16万5,000円 | 16万5,000円+顧問料×契約期間 | 顧問料は公開されていないことが多く、見積もりで確認する |
※報酬は各出典の数字を並べたもので、実際の見積もりとは異なります。
判断が分かれるところ
- 株式会社か合同会社か。 合同会社は定款認証が不要で、登録免許税は資本金300万円の場合0.7%(2万1,000円)より最低額の6万円が高いので6万円です。実費は6万円(電子定款の場合)。株式会社の16万5,000円より10万5,000円少なくなります。ただし上の報酬の数字は株式会社の設立を前提にしたものなので、合同会社の代行報酬は個別に見積もりを取ってください
- 登記まで頼むか、自分でやるか。 行政書士は登記申請の代理ができないため、登記を自分でやらないなら別に司法書士が要ります。その報酬を足したうえで、司法書士一括と比べてください
比較で詰まりやすいところ:「0円設立」の顧問料が分からないとき
顧問料が公開されていないと、総額が出せず、0円設立と他の依頼先を比べられません。その場合は、「月いくら以下なら0円設立のほうが安いか」を逆算します。 浮く代行報酬(ここでは司法書士報酬の平均10万7,887円)を、契約期間の月数で割った額が分かれ目です。
| 最低契約期間 | 分かれ目の月額(10万7,887円÷月数) |
|---|---|
| 12か月 | 約8,990円 |
| 24か月 | 約4,495円 |
| 36か月 | 約2,996円 |
見積もりの顧問料がこの額より高ければ、代行報酬を払って顧問契約を結ばない場合より総額が大きくなります。ただしこれは「設立後に税理士との顧問契約を別に結ぶ予定がない場合」の比べ方です。もともと税理士に頼むつもりなら、比べるのは「0円設立事務所の顧問料」と「自分で探す税理士の顧問料」の差になり、同じ水準なら0円設立は代行報酬ぶん得になります。
次にやること
まず、自分が「登記申請だけ任せたいのか」「定款作成から任せたいのか」「顧問契約込みで任せたいのか」を決めてください。 それによって司法書士・行政書士・税理士事務所のどこに相談すべきかが決まります。「0円設立」を検討する場合は、代行報酬だけでなく顧問契約の期間と解約条件を先に聞いてから比較してください。
※本記事は2026年8月時点の法令・公証人手数料令および会社設立代行に関する各社公開情報の整理と、筆者個人の状況に基づくものです。代行報酬・顧問契約の条件は依頼先により異なるため、契約前に必ず個別の見積もりを取り、最新情報を確認してください。
出典 - 登録免許税法 別表第一(合同会社・株式会社の設立登記にかかる登録免許税) - 日本公証人連合会 公式サイト「会社の定款手数料の改定」(2024年12月1日施行分・確認日2026年8月31日) https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee - 国税庁 公式サイト「課税される定款の範囲」(印紙税法別表第一・電子定款の非課税の根拠、確認日2026年8月31日) https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/24/01.htm - 日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果」(2024年3月実施、有効回答932件・資本金500万円/発起人2名の株式会社設立登記のケース、確認日2026年8月31日) https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf - 日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(2026年1月実施、「440 会社設立手続」有効回答287件・平均10万6,371円、確認日2026年8月31日) https://www.gyosei.or.jp/about/disclosure/reward - freee株式会社 公式サイト「freee登記おまかせプラン」(司法書士報酬一律5万円・税込、確認日2026年8月31日) https://www.freee.co.jp/launch/full-support/ - マネーフォワード クラウド会社設立 公式サイト「登記代行プラン」(登記代行40,000円・税込、確認日2026年8月31日) https://biz.moneyforward.com/establish/rep/ - 税理士事務所の「0円設立」と顧問契約の関係に関する複数の税理士事務所・行政書士事務所公式サイトの説明(確認日2026年8月31日。顧問契約の月額料金・期間そのものを公表する統計は見つからなかった)