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社会保険の算定基礎届

この記事の結論
  • 算定基礎届は、7月1日現在の全被保険者について4〜6月に支払った報酬を届け出て、社会保険料の基準額(標準報酬月額)を年1回決め直す手続き(健康保険法41条、厚生年金保険法21条)
  • 提出期間は原則7月1日から7月10日まで(令和8年度は7月1日〜7月10日、日本年金機構「令和8年度の算定基礎届のご提出について」)
  • 6月1日以降に資格取得した人、7月・8月・9月に随時改定(月額変更届)が予定されている人は算定基礎届の対象から外れる
  • 各月の報酬は「支払基礎日数」が17日以上の月だけを平均する。フルタイムの被保険者は全月17日未満なら前年の標準報酬月額をそのまま使う保険者決定になり、短時間就労者(パート等)は全月17日未満でも15日以上17日未満の月があればその月で平均し、全月15日未満なら同じく保険者決定になる
  • 決定された標準報酬月額はその年9月分から翌年8月分まで適用される
この記事の内容
  1. 結論:算定基礎届は毎年7月の「社会保険料の再計算」
  2. 誰が対象か:7月1日在籍者。ただし外れる人もいる
  3. 何を届け出るか:4〜6月の報酬と「支払基礎日数」
  4. 提出期間と提出先
  5. 決めた標準報酬月額はいつから使うか
  6. よくあるつまずき
  7. 実体験について、正直に書きます
  8. 次にやること

この記事は、7月になると年金事務所や社会保険労務士から届く「算定基礎届」の書類を前に、何を書いて出せばいいのか分からない一人社長・小規模会社の経営者に向けて書いています。 結論から言うと、算定基礎届は7月1日時点で会社に在籍する全被保険者について、4〜6月に実際に支払った給与額を届け出て、社会保険料の基準額(標準報酬月額)を年1回決め直す手続きです。提出期間は原則7月1日から7月10日までの10日間しかありません。この記事では、誰が対象で誰が対象外か、何を根拠にいくらを書くかを整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 算定基礎届という書類が届いたが、何のための手続きか分からない
  • 全員分を出すのか、対象外になる人がいるのか判断できない
  • 4〜6月の給与のどこまでを「報酬」に入れていいのか自信がない

結論:算定基礎届は毎年7月の「社会保険料の再計算」

会社員や役員が毎月の給与から天引きされる健康保険料・厚生年金保険料は、「標準報酬月額」という基準額をもとに計算されています。この基準額は入社時に一度決めて終わりではなく、毎年1回、7月に「その人が実際にいくらもらっているか」を見直して決め直す仕組みになっています。これを定時決定といい、実務でその届出のことを算定基礎届と呼びます(健康保険法41条、厚生年金保険法21条)。事業主は、7月1日現在で使用している全被保険者について、4月・5月・6月の3か月間に支払った報酬の平均額を届け出て、日本年金機構(または加入している健康保険組合)がこれをもとに標準報酬月額を決定し直します。

誰が対象か:7月1日在籍者。ただし外れる人もいる

対象になるのは、7月1日現在で社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入している全被保険者です。正社員だけでなく、加入要件を満たす役員・パート・アルバイトも含みます。一人社長で自分だけが被保険者という会社でも、対象から外れることはありません。

一方で、次に当てはまる人はその年の算定基礎届の対象から外れます。

対象外になるケース 理由
6月1日以降に資格取得した人 まだ4〜6月の報酬実績が揃っていないため
7月に月額変更届(随時改定)を提出する人 随時改定後の標準報酬月額が優先される
8月・9月に随時改定が予定されている人 同上。二重に決定し直す必要がないため

7月・8月・9月に随時改定と定時決定が重なる場合は、随時改定による標準報酬月額が優先されます(日本年金機構「算定基礎届と月額変更届〈7月・8月・9月改定分〉では、どちらの標準報酬月額が優先されますか」)。どちらを出せばいいか迷ったときは、直近3か月で固定的賃金(基本給・手当の額そのもの)に変動があったかどうかを先に確認してください。

何を届け出るか:4〜6月の報酬と「支払基礎日数」

届け出る報酬額は、4月・5月・6月にそれぞれ実際に支払った給与の額です。対象月の労働に対する分であるかどうかではなく、「その月に支払いが行われたかどうか」で月を区切ります(たとえば3月分の給与を4月に支払う会社なら、4月支払い分として計上します)。

ここで重要になるのが「支払基礎日数」という考え方です。これは、その月の報酬の対象になった日数のことで、月給制なら暦日数(欠勤控除がなければ暦日数、あれば就業規則上の所定日数から欠勤日数を引いた日数)、日給制・時給制なら実際の出勤日数を指します。

  • 4〜6月のうち支払基礎日数が17日以上ある月だけを平均する(3か月とも17日以上ならその3か月、1〜2か月しかなければその月だけ)
  • フルタイムの被保険者は、3か月とも17日未満なら、その年の定時決定は行わず前年の標準報酬月額をそのまま使う保険者決定になる
  • 短時間就労者(パートタイマー等)は段階が1つ増える。3か月とも17日未満でも、15日以上17日未満の月があればその月の報酬で平均し、3か月とも15日未満のときだけ保険者決定になる。この「15日以上17日未満」の段階はパート区分限定で、フルタイムの被保険者には適用されない(日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」)

(特定適用事業所に勤める短時間労働者は、17日ではなく11日が基準になります。)

ここが要点

支払基礎日数が足りない月を「報酬が少なかった月」として無理に平均に含める必要はありません。日数が足りない月は計算から外れる、というのがこの制度の設計です。

提出期間と提出先

算定基礎届の提出期間は、原則として毎年7月1日から7月10日までです。10日が土曜・日曜にあたる年は翌営業日が期限になります(令和8年度は7月1日〈水〉から7月10日〈金〉まで。日本年金機構「令和8年度の算定基礎届のご提出について」)。提出先は、協会けんぽ加入の会社であれば管轄の年金事務所(健康保険と厚生年金保険をまとめて届出)、健康保険組合に加入している会社は年金事務所と健康保険組合の両方です。提出方法は電子申請(e-Gov・GビズID)、郵送、窓口持参のいずれかで、6月中旬ごろに日本年金機構から用紙一式が送付されてきます。

提出方法 特徴
電子申請(e-Gov) GビズIDが必要。窓口に行く手間がない
郵送 送付された用紙をそのまま使える
窓口持参 管轄の年金事務所へ直接持ち込み

10日間という提出期間は短く、うっかり忘れやすい時期です。 6月中旬に届く送付物を見た時点で、社会保険労務士に依頼している場合は依頼の可否を、自分で出す場合は対象者と4〜6月の給与データをその場で確認しておくと、期限直前で慌てずに済みます。

決めた標準報酬月額はいつから使うか

算定基礎届によって決定し直された標準報酬月額は、その年の9月分から翌年8月分まで適用されます(健康保険法41条、厚生年金保険法21条)。つまり、4〜6月の実績が9月以降1年間の社会保険料の基準になるということです。この間に基本給や固定的な手当の額が大きく変わった場合は、算定基礎届とは別の随時改定(月額変更届)で標準報酬月額を見直す仕組みがあります。

よくあるつまずき

  • 昇給・降給があった人の扱い: 4〜6月の間に昇給・降給があった場合も、算定基礎届では実際に支払われた額をそのまま届け出ます(昇給前の低い額に揃えたりはしません)。ただし昇給幅が大きい場合、算定基礎届を待たずに随時改定の対象になっていないか別途確認が必要です。
  • 賞与を報酬に含めてしまう: 4〜6月に支払った賞与(年3回以下の支給)は算定基礎届の報酬に含めません。賞与は別途「賞与支払届」で届け出る対象です。
  • 休職者・産休育休中の人の扱い: 休職等で報酬の支払いがない月は、支払基礎日数の対象にならず、その月は計算から除外されます。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、起業準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点ではまだ自分の会社を設立しておらず、事業主として算定基礎届を実際に提出した経験はありません。この記事は日本年金機構の公表資料と関係法令をもとに整理した実務の型であり、自分が届出をしてみてつまずいた点をまとめた体験談ではありません。この点は正直に書いておきます。設立して従業員・自分自身を社会保険に加入させた段階で、実際に届出をしてみて分かったことを一次情報として別記事にまとめる予定です。

次にやること

まず、6月中旬に届いた(または今後届く)算定基礎届の送付物を確認し、7月1日現在で在籍する被保険者の一覧と、その人たちの4〜6月の支払基礎日数を先に洗い出してください。 17日以上ある月がどれだけあるかを確認できれば、平均するべき月がその時点で決まり、7月10日の期限までに落ち着いて提出できます。


※本記事は2026年9月時点の健康保険法・厚生年金保険法・日本年金機構公表資料に基づく整理と、筆者個人の状況に基づくものです。制度は変更されることがあり、また対象者の判定・支払基礎日数の数え方は個別の給与形態によって判断が変わるため、実際の届出の前には年金事務所または社会保険労務士に確認してください。

出典(2026年9月確認) - 健康保険法41条(標準報酬月額の定時決定。7月1日現在の被保険者について、直前の4〜6月に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して報酬月額を算定し、支払基礎日数が17日〈厚生労働省令で定める者は11日〉未満の月を除外する旨を規定) - 厚生年金保険法21条(健康保険法41条と同内容の定時決定規定) - 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」(制度の概要・決定後の適用期間が9月から翌年8月までであることを確認、nenkin.go.jp) - 日本年金機構「令和8年度の算定基礎届のご提出について」(提出期間が令和8年7月1日〈水〉から7月10日〈金〉までであることを確認、nenkin.go.jp) - 日本年金機構「算定基礎届と月額変更届(7月・8月・9月改定分)では、どちらの標準報酬月額が優先されますか」(随時改定と定時決定が重なる場合は随時改定が優先される旨を確認、nenkin.go.jp)

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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