会社設立の登記完了までの日数
- 会社は「設立の登記をすることによって成立する」(会社法第49条)。実務上は登記の申請日が会社の成立日として扱われ、登記完了日はそれより後になる
- 法務省は平成30年3月12日から株式会社・合同会社の設立登記を「原則として申請の受付日の翌日から起算して3執務日目までに完了」させる運用(登記申請件数の多い時期等を除く。法務省「会社の設立登記のファストトラック化」)
- 令和2年3月17日からは、役員5人以内・添付書面が全てPDF・電子納付・補正なしの条件を満たす完全オンライン申請に限り、原則24時間以内に完了する運用も始まっている(法務省)
- 各法務局は「登記完了予定日」を法務局ごとに公表しており(毎日ではなく期間単位でまとめて更新)、実際の完了予定日はサイトで確認できる
- 近年話題になる「法務局の混雑・登記の遅延」の主な原因は不動産登記(相続登記の義務化に伴う申請増)だが、東京法務局本局については商業登記も含めて混雑しているとする司法書士事務所の解説があり、設立登記だけが処理ラインの違いで無関係とは言い切れない
- 会社設立支援サービスの解説記事の中には「登記完了まで申請日から約1週間~10日程度」という目安を紹介するものもあり、法務省の目安(3営業日)と幅がある。混雑期や書類の補正の有無で変動するため
この記事の内容
この記事は、会社設立の準備を進めていて、「登記っていつ終わるのか」「法務局が混んでいると聞いたけど自分の申請も遅れるのか」が気になっている人に向けて書いています。 結論から言うと、会社設立の登記(株式会社・合同会社)は法務省の運用上、原則として申請から3営業日程度で完了します。ただし「登記完了日」と「会社の成立日」は同じではなく、また「法務局が混んでいる」というニュースの主な原因は不動産登記(相続登記)の申請増ですが、混雑が商業登記(会社設立を含む)に及んでいないとまでは言い切れません。以下、この2点を分けて整理します。
- 登記を申請してから、実際に何日くらいで終わるのか分からない
- 「法務局が混んでいる」というニュースを見て、自分の設立登記も遅れるのか不安
- 「会社の設立日」が登記の申請日なのか完了日なのか分からない
結論:会社設立の登記は原則3営業日程度で完了する
法務省は平成30年3月12日から、株式会社・合同会社の設立登記について「ファストトラック化」を実施しています。これは「全国の法務局において、設立登記を優先的に処理し、原則として申請の受付日の翌日から起算して3執務日目までに完了させる」という運用で、登記申請件数の多い時期等を除くとされています(法務省「会社の設立登記のファストトラック化を開始します」)。
つまり制度上の目安は「3営業日程度」です。ただし、この目安と実際の体感には幅があります。会社設立支援サービスの解説記事の中には「登記が完了するまでには申請日から約1週間~10日程度を要するのが一般的」という目安を紹介しているところもあります(マネーフォワード クラウド会社設立「会社設立にかかる時間は?」。2026年9月確認)。この幅は、法務局の混雑状況や、申請書類に不備(補正)がなかったかどうかで変わるためと考えられます。以下、順に整理します。
おさらい:会社の「成立日」は登記の申請日、「登記完了日」はそのあと
会社法第49条は「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」と定めています(e-Gov法令検索「会社法」)。
ここで紛らわしいのが、「会社の成立日(会社設立日)」と「登記が完了した日(登記完了日)」がイコールではない、という点です。実務上、会社の成立日(登記簿上の会社設立日)は登記官が審査を終えた日ではなく、登記の申請書(オンラインならデータ)を法務局が受け付けた日として扱われます。これは複数の司法書士事務所・会社設立支援サービスが共通して案内している扱いです(マネーフォワード クラウド会社設立「会社設立日(法人設立日)はいつにすべき?」。2026年9月確認)。窓口申請なら書類一式を提出した日、オンライン申請ならデータを送信し受付された日が、そのまま会社の設立日になります。
一方、「登記完了日」は、法務局が申請内容を審査し、登記簿への記載を終えた日です。これは申請日より後になります。つまり:
- 会社の成立日(登記簿上の設立日) = 登記の申請日
- 登記完了日 = 審査が終わり、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が取得できるようになる日
この2つを混同すると、「まだ登記完了日を迎えていないから会社はまだ成立していない」と誤解しがちですが、会社自体は申請日の時点ですでに成立しています。ただし、登記完了日を迎えるまでは登記事項証明書が取得できないため、法人口座の開設や取引先への提示など、証明書が要る手続きはそこまで進められません。
なぜ最短3営業日で終わるのか|ファストトラック化のしくみ
「ファストトラック化」は、登記・法人設立等関係手続の簡素化・迅速化に向けた取組の一環として、平成30年3月12日(月)から全国の法務局で開始されました。法務省の説明では、株式会社・合同会社の設立登記を優先的に処理し、「申請の受付日の翌日(オンライン申請において別送書類がある場合には書面の全部が登記所に到達した日の翌日)から起算して3執務日目までに完了させる」運用とされています(法務省「会社の設立登記のファストトラック化を開始します」)。
「執務日」とは法務局の開庁日(土日祝日・年末年始を除く)を指します。たとえば月曜日に申請を受け付けた場合、火・水・木の3執務日目、つまり木曜日までの完了が目安になります。
この運用の対象は株式会社・合同会社の設立登記であり、その後の役員変更登記や本店移転登記など、設立以外の商業登記は対象に含まれていません。設立登記だけが優先処理の対象という点は覚えておく必要があります。
さらに早い「24時間以内処理」という制度
さらに条件を満たせば、もっと早く終わる制度もあります。令和2年3月17日(火)から、完全オンライン申請による法人設立登記について「24時間以内処理」が始まりました。対象は以下の条件をすべて満たす株式会社・合同会社の設立登記申請です(法務省「完全オンライン申請による法人設立登記の『24時間以内処理』について」):
- 役員等が5人以内であること
- 添付書面情報がすべて電磁的記録(PDFファイル)として作成され、申請書情報と併せて送信されていること(完全オンライン申請)
- 登録免許税の電子納付を利用していること
- 補正がないこと
この条件を満たす場合、登記申請件数が多い時期を除き、原則として申請受付から24時間以内に完了します。法務局は1日を「午前(8時30分正午)」「午後(1)(正午15時)」「午後(2)(15時17時15分)」の3つの時間帯に区分して処理しており、たとえば午前(8時30分正午)に申請を受け付けた場合は翌日の午前に、午後(2)(15時~17時15分)に受け付けた場合は翌開庁日の午後(2)に完了する、という運用です(法務省「完全オンライン申請による法人設立登記の『24時間以内処理』について」)。なお「夜間」という区分は無く、時間帯は上記3区分のみです。
裏を返すと、役員が6人以上いる、添付書類に紙の書類が混ざっている、電子納付を使わない、申請内容に不備があって補正が入った、といったケースはこの24時間処理の対象から外れ、原則の3営業日ルールに戻ります。
「法務局が混んでいる」というニュースを見て不安になったら
「法務局が混んでいて登記が1か月待ち」といった記事を見かけることがありますが、その主な原因は不動産登記(相続登記)の申請増です。2024年4月1日から相続登記が義務化されたことに伴い申請件数が増え、法務局によっては不動産の名義変更・相続登記の処理に1か月前後かかっているという解説が、司法書士事務所のサイトで複数公開されています(例:司法書士法人さえき事務所「登記完了が『1か月待ち』!?」。2026年9月確認)。
ただし、このさえき事務所の解説は、東京法務局本局に限り「不動産登記・商業登記のいずれも、申請から完了まで約1か月前後」かかっているとも述べており、混雑の影響が商業登記(会社設立を含む法人登記全般)にも及んでいる可能性を示しています。この解説の中に設立登記固有の日数への言及はなく、遅延の実例として挙げられているのも役員変更登記など既存法人の商業登記(不動産売買決済時の代表者資格確認)です。設立登記そのものがどの程度影響を受けるかは、この解説からは断定できません。
また、起業家向けに「法務局の混雑で登記完了まで1か月」とし、会社設立の登記そのものが1か月以上かかるとする解説記事もあります(ひとでき「法務局の混雑で登記完了まで1ヶ月!? 起業家が知っておくべき遅延リスクと対策」。2026年9月確認)。この記事は法務省のファストトラック化・24時間以内処理の制度そのものに触れておらず、設立登記が実際に1か月規模で遅延するという主張の裏付けは確認できていません(法務省の公表資料に、設立登記が1か月規模で遅延しているとする記載は見当たらない。2026年9月確認)。
つまり、会社設立の登記は制度上、不動産登記とは別の窓口・処理ライン(商業・法人登記)で扱われ、設立登記はファストトラック化の対象として優先処理されます。しかし上記のとおり、東京法務局本局では商業登記全体の混雑を指摘する解説もあるため、「別のラインだから設立登記は混雑と無関係」と言い切ることはできません。実際にどれくらいかかっているかは、次の見出しで説明する「登記完了予定日」で確認するのが確実です。
実際にどれくらいかかるかを確認する方法|登記完了予定日
法務省の目安(3営業日、または24時間)はあくまで「原則」であり、「登記申請件数の多い時期等を除く」という留保が付いています。では実際にどれくらいかかっているかは、各法務局が「登記完了予定日」というページで公表しています。ただし毎日更新されるわけではなく、たとえば東京法務局のページでは、申請日をおおむね9日間程度でまとめた期間単位で完了予定日が区切って掲載されています(ゴールデンウィークなど祝日・連休を挟む区切りは10~15日間になっている箇所もある。2026年9月確認)。大阪法務局も同様に「登記完了予定日」のページを設けています(東京法務局「登記完了予定日」、大阪法務局「登記完了予定日」。いずれも2026年9月確認)。
自分の申請がどのくらいで終わるかの一番確実な確認方法は、管轄法務局のサイトで「登記完了予定日」のページを見ることです。目安の3営業日より延びていないか、申請後に一度確認しておくと安心です。なお、完了予定日は法務局側の都合で訂正されることもあり、実際に東京法務局のサイトでも「完了予定日に誤りがあり、正しい日付に訂正する」という案内が出ていた時期があります。予定日はあくまで目安であり、確定した期日ではない点は踏まえておいた方がよさそうです。
完了が遅れる主な原因
法務省・法務局の公開情報や司法書士の解説から、登記完了が原則の目安より遅れる主な要因として挙げられているのは次の点です。
- 申請書類に不備があり補正が必要になった場合:24時間以内処理の対象から外れるほか、3営業日の目安にも間に合わなくなります
- 登記申請件数が多い時期にあたった場合:ファストトラック化・24時間以内処理のいずれも「登記申請件数の多い時期等を除く」という留保が明記されています。具体的にどの時期が該当するかについて、法務省の公式サイト(moj.go.jp)の該当ページ・通達一覧では明示されていません(法務省の公表資料には、対象時期を具体的に列挙した記載は見当たらない。2026年9月確認)。複数の司法書士事務所の解説では、新年度が始まる4月と、3月決算の会社の株主総会が集中する6月~7月を、会社関係の登記申請が増える時期として挙げています(おちいし司法書士事務所「時期によっては設立登記が3日で終わらないこともあります」。2026年9月確認)。ただしこれは実務家による目安であり、法務省が公式に定めた基準ではありません
- 書面申請と併用した場合:完全オンライン申請でなければ24時間以内処理の対象にならず、原則の3営業日ルールに戻ります
- 役員が6人以上いる場合:24時間以内処理の対象条件(役員等5人以内)から外れます
整理:登記完了までの日数早見表
| 申請方法 | 制度上の目安 | 前提条件 |
|---|---|---|
| 完全オンライン申請(添付書面すべてPDF・電子納付・補正なし・役員5人以内) | 原則24時間以内 | 登記申請件数の多い時期を除く |
| オンライン申請または書面申請(ファストトラック化の対象) | 原則3執務日以内(受付日の翌日から起算) | 登記申請件数の多い時期等を除く。株式会社・合同会社の設立登記のみが対象 |
| 上記の条件を満たさない場合(補正が入った等) | 個別の登記完了予定日で確認 | 管轄法務局のサイトで公表 |
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。この記事を書いている2026年9月4日時点で、私自身はまだ設立登記を申請しておらず、実際に自分の登記が何営業日で完了したかという記録はありません。前の記事(091 法人印鑑届と印鑑カード)の時点からも状況は変わっておらず、定款作成にも着手していません。
そのため、この記事も自分の申請結果ではなく、法務省・法務局の公開情報と会社法の条文をもとにした「調べた範囲では」の整理です。実際に登記を申請し、完了予定日から実際に何日で終わったかが分かった段階で、実体験として追記します。
次にやること
会社設立の登記日数について不安な場合は、まず自分がどの方式で申請する予定か(完全オンライン申請か、それ以外か)を確認し、管轄法務局のサイトで「登記完了予定日」のページを見て、今の混雑状況を把握してください。 3営業日・24時間以内はあくまで原則の目安であり、申請書類に不備がなく、登記申請件数の多い時期に当たらない場合の話です。登記完了日と会社の成立日(登記申請日)は別物であることも忘れないでください。証明書が必要な手続き(法人口座の開設など)は登記完了後まで動かせません。
※本記事は2026年9月時点で確認できた法務省・法務局の公開情報、会社法の条文、および筆者個人の状況に基づく調査整理です。登記申請件数の多い時期の具体的な範囲や、個別案件の実際の処理日数は管轄法務局によって異なります。実際の手続き前には管轄の法務局、または司法書士に最新情報を確認してください。この記事は一般的な整理であり、個別の法律相談の代わりにはなりません。
出典 - 法務省「会社の設立登記のファストトラック化を開始します」(平成30年3月12日から、株式会社・合同会社の設立登記を原則3執務日以内に完了させる運用である旨を確認。2026年9月4日確認) - 法務省「完全オンライン申請による法人設立登記の『24時間以内処理』について」(令和2年3月17日から、条件を満たす完全オンライン申請に限り原則24時間以内に完了する運用である旨、対象条件、および時間帯区分が「午前」「午後(1)」「午後(2)」の3区分(夜間区分は無い)である旨を確認。2026年9月6日確認) - e-Gov法令検索「会社法」第49条(株式会社は設立の登記をすることによって成立する旨を確認。2026年9月4日確認) - 東京法務局「登記完了予定日」(登記完了予定日が法務局のページで公表されている旨、ただし毎日ではなくおおむね9日間程度の期間単位でまとめて掲載されている旨、完了予定日の訂正案内が出ていた旨を確認。2026年9月6日確認) - 大阪法務局「登記完了予定日」(登記完了予定日のページが設けられている旨を確認。2026年9月4日確認) - マネーフォワード クラウド会社設立「会社設立にかかる時間は?株式会社・合同会社の最短期間や手続きの流れも解説」(登記完了まで申請日から約1週間~10日程度を要するのが一般的、との解説を確認。2026年9月6日確認) - 司法書士法人さえき事務所「登記完了が『1か月待ち』!? 司法書士が解説する、登記完了遅延の現状と注意点」(相続登記の義務化に伴う申請増加により、東京法務局本局では不動産登記・商業登記のいずれも申請から完了まで約1か月前後かかっている旨の解説を確認。設立登記固有の言及はない。2026年9月6日確認) - ひとでき「法務局の混雑で登記完了まで1ヶ月!? 起業家が知っておくべき遅延リスクと対策」(会社設立の登記自体が1か月以上かかるとする解説を確認。ただしファストトラック化・24時間以内処理の制度への言及はない。2026年9月6日確認) - おちいし司法書士事務所「時期によっては設立登記が3日で終わらないこともあります」(新年度の4月、株主総会が集中する6月~7月に会社関係の登記申請が増える旨の解説を確認。2026年9月6日確認) - マネーフォワード クラウド会社設立「会社設立日(法人設立日)はいつにすべき?」(会社設立日は登記申請が受理された日であり、登記完了日とは別である旨の解説を確認。2026年9月6日確認)