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設立2年目の消費税判定

この記事の結論
  • 特定期間とは、原則として2期目にとっての1期目開始の日以後6か月の期間を指す(消費税法9条の2)
  • 特定期間の課税売上高が1,000万円を超えても、同じ期間の給与等支払額の合計額が1,000万円以下であれば、有利な方を選んで免税を維持できる(消費税法9条の2、国税庁「特定期間の課税売上高による免税事業者の判定」)
  • 給与等支払額には所得税の課税対象となる給与・賞与等が含まれ、期間末日時点で未払いの分や所得税が非課税の通勤手当・旅費等は含まれない(消費税法基本通達1-5-23、国税庁「特定期間の給与等支払額の範囲」)
  • 1期目の事業年度が7か月以下の場合、2期目の特定期間はそもそも発生せず、この判定自体が不要になる(消費税法施行令20条の5、国税庁「特定期間の判定」)
この記事の内容
  1. 結論:特定期間は「いつ」で、何を見て判定するか
  2. 特定期間はいつからいつまでか
  3. 判定1. 課税売上高で見る
  4. 判定2. 給与等支払額で見る|有利な方を選べる
  5. 給与等支払額に含むもの・含まないもの
  6. 見落とされやすい特例:1期目が7か月以下なら特定期間そのものが無い
  7. 具体例で確認する
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. 次にやること

この記事は、設立2期目の消費税が免税のままか課税事業者になるかの分かれ目となる「特定期間」について、期間の正確な範囲と判定方法が分からない一人社長・小規模法人の経営者に向けて書いています。 結論を先に言うと、特定期間とは原則として1期目の最初の6か月を指し、その期間の課税売上高と給与等支払額のどちらか一方でも1,000万円以下であれば、2期目の免税を維持できます。さらに、1期目の事業年度が7か月以下であれば、この判定自体が発生しないという特例もあります。以下、順に整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 「特定期間」という言葉は聞いたことがあるが、具体的にいつからいつまでの期間なのか分からない
  • 売上と給与、どちらの数字で判定すればいいのか、両方見る必要があるのか分からない
  • 1期目の決算月の決め方次第で、そもそも判定が発生しないケースがあると聞いたが本当か知りたい

結論:特定期間は「いつ」で、何を見て判定するか

特定期間とは、法人の場合、原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間を指します(消費税法9条の2)。2期目にとっての特定期間は、1期目の最初の6か月です。この期間の課税売上高が1,000万円を超えると、2期目は課税事業者になります。ただし、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することもでき、どちらか一方が1,000万円以下であれば免税を維持できます。

ここが要点

特定期間の判定は「課税売上高」と「給与等支払額」の2つの物差しがあり、そのどちらか有利な方を選べる仕組みになっています。 どちらも1,000万円を超えて初めて課税事業者になるため、片方だけ超えていても慌てる必要はありません。

特定期間はいつからいつまでか

特定期間の範囲は「前事業年度開始の日以後6か月の期間」です(消費税法9条の2)。たとえば1期目が4月1日設立・翌年3月31日決算(12か月決算)であれば、2期目にとっての特定期間は1期目の4月1日から9月30日までの6か月です。

設立日が月の途中で、事業年度が6か月ちょうどで割り切れない場合は、6か月の末日をどこに置くかを調整する規定があります(消費税法施行令20条の6)。この調整は設立日と決算月の組み合わせによって扱いが変わり、自分で日数を数えて厳密に確定させるのは間違いやすい部分です。特定期間の末日が月末ぴったりにならないケースに当たる場合は、顧問税理士に実際の日付を確認することをお勧めします。

判定1. 課税売上高で見る

特定期間中の課税売上高が1,000万円を超えると、2期目は原則として消費税の免税を受けられなくなります(消費税法9条の2、国税庁「特定期間の課税売上高による免税事業者の判定」)。ここでいう課税売上高は、消費税が課される取引の売上高であり、非課税売上(たとえば土地の譲渡や住宅の貸付など)は含みません。

1期目のうち最初の半年で急速に売上が伸びるビジネスモデルほど、この基準に達しやすくなります。逆に、1期目の立ち上がりが緩やかであれば、特定期間の課税売上高が1,000万円に届かず、この時点で2期目の免税は確定します。

判定2. 給与等支払額で見る|有利な方を選べる

見落とされやすいのが、課税売上高に代えて、特定期間中に支払った給与等支払額の合計額で判定することもできるという規定です(消費税法9条の2、国税庁「特定期間の給与等支払額の範囲」)。特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、同じ期間に支払った給与等の合計額が1,000万円以下であれば、免税を維持できます。

つまり、課税売上高と給与等支払額のどちらか一方でも1,000万円以下であれば免税が続くという意味で、事業者側に有利な選択肢が用意されています。

特定期間(1期目の最初の6か月)の状態 2期目の消費税
課税売上高・給与等支払額の両方が1,000万円超 課税事業者になる
課税売上高は1,000万円超、給与等支払額は1,000万円以下 免税を維持できる
課税売上高が1,000万円以下(給与等支払額は問わない) 免税を維持できる

一人社長で、売上の立ち上がりが早い一方、自分以外に人を雇っていない、または雇っていても支払額を抑えている場合は、給与等支払額の基準の方が有利に働きやすい構造です。

給与等支払額に含むもの・含まないもの

給与等支払額の範囲を勘違いすると判定を誤るため、ここは丁寧に確認しておく必要があります。含まれるのは、所得税の課税対象となる給与・賞与等、つまり源泉徴収の対象になる支払いです(消費税法基本通達1-5-23、国税庁「特定期間の給与等支払額の範囲」)。

一方で、次の2点は給与等支払額に含まれません。

  • 所得税が非課税とされる通勤手当・旅費等(消費税法基本通達1-5-23)
  • 特定期間中に実際には支払っていない未払給与・未払賞与(国税庁「特定期間の給与等支払額の範囲」)。給与等支払額は特定期間中に「支払った」金額で判定するため、未払いのままの分は含まれません。

役員報酬も所得税の課税対象である以上、原則として給与等支払額に含まれます。一人社長の場合、自分自身への役員報酬の支払額が判定に直接影響する点は押さえておく必要があります。

見落とされやすい特例:1期目が7か月以下なら特定期間そのものが無い

ここまでは「特定期間をどう判定するか」の話でしたが、そもそも特定期間という概念自体が発生しないケースがあります。1期目の事業年度が7か月以下だった場合、2期目にとっての特定期間は存在しないものとして扱われます(消費税法施行令20条の5、国税庁「特定期間の判定」)。特定期間が無ければ、課税売上高・給与等支払額のどちらの基準でも判定のしようがないため、資本金1,000万円未満で設立した法人であれば、2期目もこの経路からは免税が維持されます。

さらに、1期目が7か月を超える場合でも、1期目開始の日以後6か月の期間の末日の翌日から1期目終了日までの期間が2か月未満となるときは、同様に特定期間は無いものとして扱われます(消費税法施行令20条の5)。ただし、この「6か月の期間の末日」は、末日がその月の末日でない場合などに月末や応当日へずれる調整規定があります(消費税法施行令20条の6)。そのため、この特例に当たるかどうかは1期目が単純に「7か月超8か月未満」かどうかだけでは決まらず、設立日が月の途中かどうか、決算期末が月末かどうかによって結果が変わります。該当しそうな場合は、自己判断せず顧問税理士に確認することをお勧めします。

ここが要点

これから会社を設立する場合、決算月の決め方次第で、2期目の特定期間判定そのものを回避できる余地があります。 決算月の決め方は[会社の決算月はいつにするか|設立日から逆算する決め方]で扱っていますが、消費税の観点だけで決算月を決めるのではなく、事業年度が7か月以下になると1期目自体の期間が短くなり、1期目で確保できる免税期間の長さにも影響する点は踏まえておく必要があります。

具体例で確認する

1期目が4月1日設立・翌年3月31日決算(12か月決算)の場合を例にします。

  1. 特定期間は1期目の4月1日から9月30日まで
  2. この6か月間の課税売上高を集計する。1,000万円以下なら、ここで2期目の免税が確定する
  3. 課税売上高が1,000万円を超えていた場合、同じ6か月間に支払った給与等支払額(役員報酬・従業員給与等の源泉徴収対象分、未払分・非課税通勤手当を除く)を集計する
  4. 給与等支払額が1,000万円以下なら免税を維持できる。両方が1,000万円を超えていれば、2期目は課税事業者になる

一方、1期目が9月1日設立・翌年3月31日決算のように事業年度が7か月(9月1日〜翌年3月31日)だった場合は、上記の判定自体が発生せず、2期目もこの経路からは免税が維持されます(資本金1,000万円未満が前提)。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点ではまだ登記が完了しておらず、特定期間の判定を自分の会社で実際に行った経験はありません。そのため、この記事は自分が判定を経験した記録ではなく、消費税法・同施行令・国税庁の公開情報を調査して整理したものです。設立日と決算月を決める段階になったら、特定期間がどう区切られるかを自分の会社の日程に当てはめて確認し、実務でつまずいた点があればこの記事に追記します。

次にやること

まず、自分の会社(またはこれから設立する会社)の1期目の事業年度が何か月になるかを確認してください。 7か月以下であれば、2期目の特定期間判定は発生せず、この記事の判定作業自体が不要になります。8か月以上の場合は、1期目開始から6か月間の課税売上高と給与等支払額(役員報酬・従業員給与のうち源泉徴収対象分、未払分・非課税通勤手当を除く)をそれぞれ集計し、どちらか一方が1,000万円以下かどうかを確認してください。特定期間の末日が月末ぴったりにならない設立日の場合や、判定結果に迷う場合は、顧問税理士または所轄の税務署に確認することをお勧めします。


※本記事は2026年9月6日時点で確認した法令・国税庁公式情報と、筆者個人の状況に基づくものです。特定期間の判定・給与等支払額の範囲・短期事業年度の特例の適用は、事業年度の月数や設立日によって個別に変わるため、実際の判断は顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

出典 - 消費税法 第9条の2(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例。特定期間の課税売上高に代えて給与等支払額の合計額により判定できる規定を含む) - 消費税法施行規則 第11条の2(特定期間における給与等支払額の範囲。所得税法施行規則第100条第1項第1号に規定する給与等の金額による旨) - 消費税法施行令 第20条の5(短期事業年度の範囲等。前事業年度が7か月以下の場合等、特定期間としない特例) - 消費税法施行令 第20条の6(六月の期間の特例。6か月の期間の末日が月末でない場合の調整) - 消費税法基本通達 1-5-23(特定期間における課税売上高とすることができる給与等の金額。所得税が非課税とされる通勤手当・旅費等を含まない旨。未払給与を含まない旨は国税庁「特定期間の給与等支払額の範囲」に明記) - No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき|国税庁 - 特定期間の課税売上高による免税事業者の判定(質疑応答事例)|国税庁 - 特定期間の給与等支払額の範囲(質疑応答事例)|国税庁 - 特定期間の判定(質疑応答事例)|国税庁

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会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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