会社設立の登記をオンラインで申請する
- 商業登記のオンライン申請は法務省提供の無料ソフト「申請用総合ソフト」で行う。電子証明書がなくても申請書の作成はできる(登記・供託オンライン申請システムの案内)
- 法務局の案内では、申請者情報の登録→ソフトのインストール→申請書情報の作成→添付書面・申請書情報への電子署名→送信→登録免許税の納付→添付書面・印鑑届書の提出、という流れが示されている(法務局「株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)」)
- マイナンバーカードによる電子署名にはICカードリーダライタが必要で、株式会社は代表取締役本人、合同会社は代表社員本人が署名する
- 電子署名を用いると就任承諾書の印鑑証明書・本人確認証明書など一部の添付書類が不要になる(同案内)。電子証明書がない場合は「書面申請(QRコード付き書面申請書)」を使い、申請書・添付書類とも法務局が紙で受領した段階で受付が成立する(法務局の案内)
- システムの利用時間は平日8時30分〜23時・休日8時30分〜18時(年末年始を除く。法務省の案内)
- 役員等5人以内・完全オンライン(添付書面が全てPDF)・登録免許税を電子納付・補正なし、の条件を満たすと原則24時間以内に登記が完了する制度が令和2年(2020年)3月17日から始まっている(法務省「完全オンライン申請による法人設立登記の『24時間以内処理』について」)
この記事の内容
この記事は、会社設立の登記を法務局の窓口や郵送ではなくオンラインで申請したい人向けに書いています。 結論から言うと、商業登記のオンライン申請は、法務省が無料で提供する「申請用総合ソフト」をパソコンにインストールして行います。 マイナンバーカードなどの電子証明書があれば添付書類の一部が省略できますが、無くても申請自体は可能です。この記事では、法務局・登記情報システムの公式案内に沿って、申請から登記完了までの流れを整理します。
- オンライン申請という言葉は聞くが、何をどこにインストールして始めればいいのか分からない
- マイナンバーカードが無いとオンライン申請はできないのか知りたい
- 株式会社と合同会社で、誰が電子署名をするのか分からない
「会社設立 オンライン」で調べている方への答えを先に書きます。
- 株式会社も合同会社も、設立登記はオンラインで申請できます。使うのは法務省の無料ソフト「申請用総合ソフト」です。
- マイナンバーカードとICカードリーダライタがあれば、添付書類を電子署名つきで送れます。無い場合は「QRコード付き書面申請」で、紙の提出が受付の条件になります。
- 役員等5人以内・完全オンライン・電子納付・補正なしなら、原則24時間以内に登記が完了します(法務省)。
- オンラインの設立登記で印鑑の提出は任意です(法務省)。ただし、定款の認証など登記より前の手続きは別で、この記事の後半で扱います。
結論:オンライン申請は「申請用総合ソフト」で行う
会社設立の登記をオンラインで申請する場合、使う窓口は法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」です。その中核になるのが、パソコンにインストールして使う「申請用総合ソフト」というソフトウェアで、申請書の作成から電子署名の付与、送信、電子公文書の取得までを一つのソフトで行えます(登記・供託オンライン申請システムの案内)。
このソフトは電子証明書を持っていなくても申請書の作成自体はできるとされています(同システムの案内)。ただし後述のとおり、電子証明書の有無で添付書類の扱いが変わります。
申請から登記完了までの10ステップ
法務局が公開している「株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)」の案内では、手順は次の10ステップで示されています。
- 申請者情報の登録(初めての方のみ)
- 申請用総合ソフトのインストール(初めての方のみ)
- 申請用総合ソフトへのログイン
- 申請書情報の作成
- 添付書面情報への電子署名の付与
- 添付書面情報の添付
- 申請書情報への電子署名の付与
- 申請書情報の送信
- 登録免許税の納付
- 添付書面、印鑑届書の提出
最後の「添付書面、印鑑届書の提出」が残っている点に注意してください。電子署名を付けた添付書面をオンラインで送信していても、印鑑届書など一部の書類は別途提出が必要になる場合があります。 「全部オンラインで完結する」と思い込んで準備を怠らないようにしてください。
マイナンバーカードがあると添付書類が減る仕組み
マイナンバーカードを使ってオンラインで登記申請をする場合、ICカードリーダライタが必要です(法務局の案内)。マイナンバーカードに格納された公的個人認証サービスの電子証明書を使って、申請書情報・添付書面情報に電子署名を付与します。
電子署名を付けた添付書面をオンラインで提出すると、就任承諾書の印鑑について市町村長が作成した印鑑証明書や、設立時取締役・設立時監査役の本人確認証明書(住民票の写しなど)といった一部の添付書類の提出が不要になります(法務局の案内)。書面申請であれば別途用意していた証明書を、電子署名という手段で代替できるということです。
マイナンバーカードが無い場合は「書面申請」
マイナンバーカードや電子証明書を持っていない場合でも、申請用総合ソフトを使うこと自体を諦める必要はありません。法務局の案内では、マイナンバーカードが無くオンライン申請を利用できない方は、書面申請を利用できるとされています(法務局「株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)」)。
この書面申請は、法務局の別ページ「QRコード(二次元バーコード)付き書面申請書」で案内されている方式です。申請用総合ソフトで申請書様式に入力してデータを送信するところまではオンライン申請と同じですが、申請データを送信しただけでは登記所は受け付けません。ソフトから出力したQRコード付きの申請書と添付書面を印刷し、法務局へ郵送または持参して受領された段階で、はじめて登記申請が受け付けられます(法務局「株式会社の設立の登記をしたい方(QRコード付き書面申請)」)。
なお、実務では「申請情報の一部だけを電子送信し添付書類を後日提出する」進め方を指して「特例方式」と呼ぶ場合がありますが、これは司法書士など実務者側の通称であり、法務局・法務省の商業登記の案内ページではこの用語は使われていません。この記事では法務局の表記に合わせて「書面申請」と呼びます。
この記事の執筆時点で確認できた範囲を、完全オンライン方式と書面申請(QRコード付き書面申請書)で整理すると次のようになります。
| 項目 | 完全オンライン方式 | 書面申請(QRコード付き書面申請書) |
|---|---|---|
| 電子証明書 | 必要(マイナンバーカード等) | 不要 |
| 申請の受付が成立するタイミング | 申請書情報をオンライン送信した時点 | 法務局が紙の申請書・添付書面を受領した時点 |
| 添付書類の提出方法 | 電子署名を付けてオンライン送信 | 印刷して郵送または法務局へ持参 |
| ICカードリーダライタ | 必要 | 不要 |
| 印鑑届書の扱い | 別途提出が必要な場合がある | 郵送・持参の書類と合わせて提出 |
違いは添付書類だけでなく、申請書そのものを電子データのまま送信して受け付けてもらえるか、紙で提出して初めて受け付けてもらえるかにあります。 書面申請の場合、オンラインでデータを送っただけでは受付が完了していない点に注意してください。
株式会社と合同会社で電子署名する人が違う
電子署名を行う人は、会社の形態によって決まっています。
- 株式会社:代表取締役本人がマイナンバーカードを使ってオンラインで申請できます(法務局「株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)」)
- 合同会社:代表社員本人がマイナンバーカードを使ってオンラインで申請できます(法務局「合同会社の設立の登記をしたい方(オンライン申請)」)
司法書士などの代理人に依頼する場合は、代理人自身の電子証明書で申請することも可能ですが、その場合は委任状など別の添付書類が必要になります。自分(代表取締役・代表社員本人)で申請するか、代理人に依頼するかで、準備すべき電子証明書が変わる点は事前に整理しておく必要があります。
「24時間以内に完了する」という話をどう扱うか
会社設立の解説記事では、「完全オンライン申請・役員が一定人数以内・電子納付・補正なしといった条件を満たせば、原則24時間以内に登記が完了する」という説明がよく紹介されています。
これは法務省が公式に案内している制度です。 法務省のページ「完全オンライン申請による法人設立登記の『24時間以内処理』について」によると、令和2年(2020年)3月17日から、次の条件をすべて満たす場合に、オンライン申請を受け付けた時点から起算して原則24時間以内に登記を完了するとされています(法務省)。
- 株式会社または合同会社の設立登記であること
- 役員等が5人以内であること(株式会社は設立時取締役・設立時会計参与・設立時監査役・設立時会計監査人の合計、合同会社は業務執行社員の合計)
- 添付書面情報(定款、発起人の同意書、就任承諾書等)がすべて電磁的記録(PDFファイル)により作成され、申請書情報と併せて送信されていること(完全オンライン申請であること)
- 登録免許税の納付が電子納付であること(収入印紙は対象外)
- 補正がないこと
つまり「24時間以内」は、添付書類を郵送・持参する方式(後述する書面申請)では対象にならず、電子証明書を使った完全オンライン申請かつ電子納付の場合にのみ当てはまる数字です。
一方で、システムの利用時間帯については法務省の別のページで確認できます。登記・供託オンライン申請システムの利用時間は、平日が8時30分から23時まで、休日が8時30分から18時までで、年末年始(12月29日〜1月3日)は利用できません(法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」)。24時間以内に処理されるとしても、システム自体が24時間稼働しているわけではない、という点は押さえておいてください。
「24時間以内」は、役員5人以内・完全オンライン・電子納付・補正なしという条件が揃った場合の話です。条件を1つでも外れる(添付書類を郵送する、収入印紙で納付する、役員が6人以上いる等)と、この扱いの対象外になります。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。この記事を書いている2026年9月7日時点で、私自身はまだ合同会社の設立準備の段階にあり、申請用総合ソフトを使ったオンライン申請を実際に行ったことはありません。マイナンバーカードとICカードリーダライタは手元にありますが、申請者情報の登録もこれからです。
そのためこの記事は、実際に自分で登記をオンライン申請した記録ではなく、法務局・登記情報システムの公式案内を基にした「調査した範囲では」の整理です。実際に申請用総合ソフトをインストールして申請してみたら、ここに書いた流れとどこが違ったか、どこでつまずいたかを、この記事に実体験として追記します。
申請前チェックリスト:自分の場合はどの方式か、24時間以内の条件に入るか
ここまでの内容を、申請ボタンを押す前に1つずつ確かめられる形にしました。□ に印を付けながら進めてください。条件は、この記事の上で挙げた法務局・法務省の案内に書かれているものだけを使っています。
方式を決める
□
マイナンバーカードなどの電子証明書を持っている(持っていなければ、書面申請=QRコード付き書面申請書の方式になる)
□
マイナンバーカードで電子署名する場合、ICカードリーダライタが手元にある
□
電子署名をするのは、株式会社なら代表取締役本人、合同会社なら代表社員本人になっている(代理人に頼む場合は、委任状など別の添付書類を用意する)
「24時間以内」の対象になるか
□
役員等が5人以内である(株式会社は設立時取締役・設立時会計参与・設立時監査役・設立時会計監査人の合計、合同会社は業務執行社員の合計)
□
定款・発起人の同意書・就任承諾書などの添付書面が、すべてPDFになっている
□ 登録免許税を電子納付にする(収入印紙は対象外)
□ 記載の食い違いなどで補正が入らないよう、送信前に書類を見直した
申請する日と、送ったあと
□ 申請用総合ソフトをインストールし、申請者情報の登録を済ませた
□
送信する時間が、平日8時30分〜23時、休日8時30分〜18時に収まっている(12月29日〜1月3日は利用できない)
□ 送信したあとに出す書類(印鑑届書など)を確認し、手元に用意した
上の□に1つでも印が付かないものがあれば、その項目が「24時間以内」の対象外になる原因か、申請が止まる原因になります。 先に埋められるものから埋めておくと、申請書情報の作成で手が止まりません。
会社設立をオンラインで進める手順:送信したあと、登記が終わるまで
ここまでは「送るまで」でした。送信したあとに何をするかは、記事の上のほうでは触れていません。法務省の案内と、会社設立サービス各社の解説(マネーフォワード、freee)で共通して扱われている、送信後の流れをまとめます。
- 申請用総合ソフトの「処理状況表示」画面を開く
- 「到達」を確認する(申請書情報がシステムに届くと表示され、申請番号と到達日時が分かる)
- 「受付確認」を確認する(登記所が受け付けると表示され、受付番号と受付年月日が分かる)
- 登録免許税を電子納付する(利用できる金融機関は「e-Gov電子納付」で確認する。法務局の案内)
- 「補正」ボタンが出ていないか見る(出たらボタンから内容を確認し、同じシステム上で直す)
- 登記完了の連絡を待つ(「24時間以内」の対象なら、受付から原則24時間以内)
処理の目安は、法務省の案内で次のとおりです(登記申請の多い時期を除く)。
| 申請を受け付けた時間帯 | 処理時間の区分 |
|---|---|
| 8時30分〜正午 | 午前 |
| 正午〜15時00分 | 午後(1) |
| 15時00分〜17時15分 | 午後(2) |
法務省の例では、3月17日(火)の午前10時に申請すると、完了の目安は翌18日(水)の午前です。3月27日(金)の午後3時に申請した場合は、土日をはさむため、3月30日(月)の午後(2)が目安になっています。
次に詰まりやすいのは「会社設立日はいつになるか」と「補正」
会社設立日: freeeの解説では、設立日は登記が完了した日ではなく、登記所が申請を受け付けた日に基づくとされています。システムの利用時間は夜まででも、登記所の受付は平日の17時15分までです。17時15分を過ぎて送ると、受付確認が出るのは登記所の翌開庁日になり、設立日もそちらになる、という説明です。設立日を「この日にしたい」場合は、前日までに書類を整え、17時15分より前に送るのが安全です。
補正: 書類に不備があると「補正」ボタンが出ます。軽微な不備で、期限内に直せれば手続きは続きます。期限内に直せなければ却下されます(freeeの解説)。補正が入ると、この記事の前半で書いた「24時間以内」の対象から外れます(法務省)。
印鑑: オンラインの設立登記では、印鑑の提出は任意です(法務省)。出す場合は、印鑑届書を法務局へ持参・郵送するか、設立登記の申請と一緒にオンラインで出すかの2通りです。設立後にあとから出す場合は、印鑑届書の原本の提出が必要とされています(freeeの解説)。
定款の認証: 株式会社の場合、登記の前に公証役場での定款認証があります。法務局のオンライン申請の案内ページには、この手続きの詳細は書かれていません。認証の日取りと手数料は、公証役場の案内で別に確認してください。
次にやること
まずは登記・供託オンライン申請システムの「申請者情報登録」を行い、申請用総合ソフトをパソコンにインストールしてください。 マイナンバーカードで電子署名をする予定であれば、対応するICカードリーダライタも用意しておきます。マイナンバーカードを使わない場合は、添付書類を郵送・持参する前提で、書面をどこまで先に準備できるかを確認しておくと、申請書情報の作成をスムーズに進められます。
※本記事は2026年9月7日時点で確認した法務局・登記情報システムの公式案内を基にした一般的な手順の説明であり、筆者個人が実際にオンライン申請を行った結果ではありません。ソフトの動作環境や画面の仕様は変更される場合があるため、実際の申請前に最新の公式案内を確認してください。
出典 - 株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)|法務局(申請の10ステップ、マイナンバーカード・ICカードリーダライタの要否、添付書類省略の条件。2026年9月確認) - 合同会社の設立の登記をしたい方(オンライン申請)|法務局(代表社員による電子署名。2026年9月確認) - 申請用総合ソフトとは|登記・供託オンライン申請システム(ソフトの定義、電子証明書が無くても申請書作成が可能である旨。2026年9月確認) - 商業・法人登記のオンライン申請について|法務省(システムの利用時間帯。2026年9月確認) - 完全オンライン申請による法人設立登記の「24時間以内処理」について|法務省(令和2年3月17日開始、役員5人以内・完全オンライン・電子納付・補正なしの条件。2026年9月確認) - 株式会社の設立の登記をしたい方(QRコード付き書面申請)|法務局(書面申請の受付タイミング、データ送信だけでは受け付けられない旨。2026年9月確認) - 法人登記をオンライン申請で行う方法と流れ|freee(到達・受付確認・補正の画面、会社設立日の考え方、登記所の受付17時15分。民間サービスの解説。2026年10月確認) - 合同会社の設立登記はオンライン申請できる?|マネーフォワード クラウド会社設立(到達・受付のお知らせ、電子納付の流れ。見出しの確認のみ。2026年10月確認)