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電子定款で4万円節約する方法

この記事の結論
  • 紙の定款には印紙税法別表第一(第6号文書)により一律4万円の印紙税がかかる
  • 電子定款は紙の文書が存在しないため印紙税の課税原因である「文書の作成」に該当せず、印紙税はかからない(国税庁の見解による)
  • 株式会社は電子定款でも公証人の認証が必要(会社法30条1項)だが、合同会社などの持分会社は電子・紙を問わず認証が不要(会社法575条1項、同30条1項は株式会社のみ適用)
  • 自分で電子定款を作るにはマイナンバーカード・対応ICカードリーダー・電子署名ソフトが必要で、これらの実費と学習時間が「浮いた4万円」を実質的に目減りさせる場合がある
この記事の内容
  1. 結論:電子定款なら印紙税4万円はかからない
  2. なぜ紙の定款には4万円の印紙税がかかるのか
  3. 電子定款だと印紙税がかからない理由
  4. 自分で電子定款を作るために必要なもの
  5. 株式会社は電子定款でも公証人の認証が必要
  6. 自分でやる場合の5つの落とし穴
  7. 比較表:自分でやる場合と代行サービスを使う場合
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. 次にやること

この記事は、会社設立の定款を「電子定款」にして印紙税4万円を節約したいが、自分でやる方法が分からず不安な人に向けて書いています。 結論から言うと、電子定款にすれば印紙税4万円はかかりません。ただし自分で電子定款を作るには、マイナンバーカードやICカードリーダーなどの機材と、電子署名の作業が必要になり、ここでつまずくと「浮いたはずの4万円」が時間や別の実費に置き換わるだけになります。以下、節約できる理由と、自分でやる場合の具体的な落とし穴を並べます。

こんな状態ではありませんか
  • 電子定款にすると4万円浮くと聞いたが、なぜ税金がかからなくなるのか仕組みが分からない
  • 自分で電子定款を作ろうとしているが、何を用意すればいいのか分からない
  • 「自分でやると大変」という話をよく見るが、具体的に何が大変なのか事前に知っておきたい

結論:電子定款なら印紙税4万円はかからない

会社設立の際に作成する定款(原始定款)は、紙で作ると印紙税法上の課税文書にあたり、一律4万円の印紙税がかかります(印紙税法別表第一)。これをPDFなどの電磁的記録で作成し、電子署名を付ける「電子定款」にすると、そもそも紙の文書が存在しないため、この4万円はかかりません。

ここまでは多くの解説記事に書かれている話です。問題は、この節約を自分で実行しようとした場合に、代わりに何が必要になるかです。 マイナンバーカード、対応するICカードリーダー、電子署名用のソフトをそろえ、慣れない操作を自分でこなす必要があります。実費だけで見れば4万円より安く収まることが多いですが、時間と手間まで含めた損益分岐は人によって変わります。

なぜ紙の定款には4万円の印紙税がかかるのか

印紙税は、印紙税法別表第一に列挙された「課税文書」を作成したときにかかる税金です。会社の定款(原始定款)はこの一覧表の中に含まれており、税額は資本金の額にかかわらず一律4万円と定められています(印紙税法別表第一)。

これは株式会社・合同会社を問わず、紙で定款を作った場合に共通してかかる負担です。合同会社は株式会社と違って公証人の認証が不要ですが([合同会社設立の全手順]の記事で扱った通り)、認証の有無と印紙税の有無は別の話で、紙で作る限りはどちらの会社形態でも4万円がかかります。

電子定款だと印紙税がかからない理由

印紙税は「文書」に対して課される税金です。国税庁は「電磁的記録により作成された定款」について、印紙税の課税対象とはならないとの見解を公表しています(国税庁「電磁的記録により作成された定款」)。電磁的記録(PDFなど)で作成し電子署名を付けた定款は紙の文書を伴わないため、印紙税法が課税の要件とする「文書の作成」に該当しないという整理です。この見解に基づき、実務上、電子定款には印紙税がかかりません。

つまり、紙と電子で定款の中身自体は変わらなくても、課税されるかどうかは「紙で作ったかどうか」だけで決まります。ここが電子定款の節約効果の根拠です。

自分で電子定款を作るために必要なもの

自分で電子定款を作って公証役場に提出するには、次のものをそろえる必要があります。

  • マイナンバーカード:署名用電子証明書付きのもの。これが電子署名の元になります
  • ICカードリーダライタ:マイナンバーカードの読み取りに対応した機種
  • PDF作成・電子署名ソフト:定款のPDFに電子署名を付与できるもの。登記・供託オンライン申請システムが提供する「PDF署名プラグイン」を使う場合、有償のAdobe Acrobat(Acrobat Readerでは不可)が必要です(登記・供託オンライン申請システム「PDF署名プラグインについて」)
  • 法務省の「申請用総合ソフト」:登記・供託オンライン申請システムで提供されている無料ソフト。公証役場・法務局とのオンラインでのやり取りに使う
  • 公証役場の予約:電子定款の認証を受ける公証役場を決め、事前に問い合わせ・予約をする(株式会社の場合)

これらのうち、ICカードリーダーはマイナンバーカードの公的個人認証サービスに対応した機種であれば数千円台で購入できます(対応機種はJ-LIS「公的個人認証サービスポータルサイト」で確認できます)。一方、電子署名にAdobe Acrobatなど有償ソフトが必要になる場合は、その費用と印紙税4万円との比較が必要になります。

株式会社は電子定款でも公証人の認証が必要

電子定款だからといって、認証の手続き自体が不要になるわけではありません。株式会社は、定款について公証人の認証を受ける必要があります(会社法30条1項)。 これは紙でも電子でも変わらず、電子定款の場合はオンライン(テレビ電話方式など)で認証を受ける形になります。

一方、合同会社などの持分会社は、会社法30条1項の適用対象外であり、そもそも定款認証そのものが不要です(会社法575条1項)。この違いは[合同会社設立の全手順]の記事でも整理した通りで、電子定款にするかどうかとは別の論点です。株式会社を作る場合は、印紙税4万円をなくしても、認証の手間そのものはなくなりません。

自分でやる場合の5つの落とし穴

落とし穴 内容 対策の考え方
ICカードリーダーの相性 一部の機種は申請用総合ソフトや電子署名ソフトに対応していない 購入前に対応機種として案内されているものか確認する
マイナンバーカードのロック 署名用電子証明書のパスワードは一定回数間違えるとロックされる 事前にパスワードを確認し、ロック時は市区町村窓口での再設定が必要になる点を把握しておく
有償ソフトの費用 電子署名にAdobe Acrobatなど有償ソフトが必要になる場合がある サブスク費用を含めて印紙税4万円との差額を計算する
公証役場とのやり取りの時間 電子定款の認証予約・書類確認は平日日中中心で、やり取りに日数がかかることがある 設立日を急ぐ場合は余裕を持ったスケジュールを組む
やり直しの手間 電子署名や書式の不備があると再作成が必要になる 初めての場合は代行サービスの利用も選択肢に入れる

この5つのうち、時間の見積もりを誤ることが一番のつまずきどころです。 印紙税4万円を浮かせるために数日分の作業時間を使うことになったとき、その時間の価値をどう考えるかは人によって変わります。

比較表:自分でやる場合と代行サービスを使う場合

項目 自分で電子定款を作る freeeなど設立サービスを使う
印紙税4万円 かからない かからない(電子定款で作成されるため)
必要な機材 マイナンバーカード・ICカードリーダー・署名ソフトを自分でそろえる サービス側の環境で作成されるため個人での準備は基本不要
かかる実費 機材・ソフト代(数千円〜、有償ソフトを使う場合は増える) 電子定款の代行費用は無料〜5,000円程度(freeeの場合、通常5,000円だがfreee会計・freee人事労務の年間契約で0円。※2026年8月時点の調査。freee「電子定款で収入印紙代4万円がおトク」)
作業時間 操作に慣れていない場合は数時間〜数日かかることがある 案内に沿って入力するため比較的短時間で済むことが多い
向いている人 機材をすでに持っている・自分で完結させたい人 初めての設立で手間を減らしたい人

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。この記事を書いている2026年8月31日時点で、私自身はまだ定款を作成する段階まで進んでおらず、電子定款を実際に自分で作った経験はありません。[合同会社設立の全手順]の記事でも書いた通り、会社形態自体もまだ最終確定していない段階です。

そのため、この記事の内容は、印紙税法・会社法などの法令と一般的な実務解説を基にした「調査した範囲では」の整理であり、実際に自分でICカードリーダーを使って電子署名を試した実体験ではありません。実際に電子定款の作成まで進めた段階で、どこで時間がかかったか、想定外だった点は何かを、この記事に追記するか別記事にまとめます。

次にやること

まず、電子定款にするかどうかより先に、自分がマイナンバーカード(署名用電子証明書付き)を持っているかを確認してください。 カードとパスワードがそろっていれば、あとはICカードリーダーと署名ソフトの準備だけです。自分で機材をそろえて挑戦するか、freeeなどの設立サービスに電子定款の作成部分だけ任せるかは、そのあとで比べれば十分間に合います。

freee会社設立


※本記事は2026年8月時点の法令・公式情報に基づく情報整理と、筆者個人の状況に基づくものです。電子定款の作成手順や必要な機材、代行サービスの料金は法務局・公証役場のシステム更新や各社の改定により変わることがあるため、実際の作成前には必ず管轄の公証役場・法務局、または司法書士・行政書士に最新情報を確認してください。

出典 - 印紙税法 別表第一(第6号文書、定款にかかる印紙税額) - 会社法 第30条1項(株式会社の定款認証)、第575条1項(持分会社の定款の作成) - 国税庁「電磁的記録により作成された定款」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/24/01.htm ※2026年8月31日確認 - 日本公証人連合会「9-4 定款認証」https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4 ※2026年8月31日確認 - 登記・供託オンライン申請システム「PDF署名プラグインについて」https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/security/pdf_sign_inst.html ※2026年8月31日確認 - 公的個人認証サービスポータルサイト「ICカードリーダライタのご用意」https://www.jpki.go.jp/prepare/reader_writer.html ※2026年8月31日確認 - freee会社設立「電子定款で収入印紙代4万円がおトク」https://www.freee.co.jp/launch/teikancp/ ※2026年8月31日確認

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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