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合同会社と株式会社どちらにするか

この記事の結論
  • 合同会社の登録免許税は資本金の0.7%か最低6万円の高い方、株式会社は最低15万円で、さらに株式会社だけ公証役場での定款認証が必要(2024年12月1日改正で資本金100万円未満は1万5,000円、登録免許税法別表第一・日本公証人連合会)
  • 株式会社には毎年の決算公告義務があるが合同会社にはない(会社法440条は株式会社のみに適用)
  • 将来的に他人から出資を受ける・株式を発行する可能性があるかどうかが最大の分かれ目
この記事の内容
  1. 結論:判断材料は「初期費用」「資金調達」「事務負担」の3点だけ
  2. 1点目:初期費用は合同会社のほうが最大約10万5,000円安い
  3. 2点目:他人から出資を受ける可能性があるなら株式会社
  4. 3点目:毎年の決算公告義務は株式会社だけにある
  5. 比較表:合同会社と株式会社の違い一覧
  6. 「信用度」の話は数字で語れない部分
  7. 実体験について、正直に書きます
  8. 次にやること

この記事は、一人で起業するにあたって合同会社と株式会社のどちらにするか迷っている人に向けて書いています。 結論から言うと、比較する項目は無数にありますが、一人起業なら実際に効いてくるのは「初期費用」「将来の資金調達」「毎年の事務負担」の3点だけです。この3つを自分の状況に当てはめれば、判断はそれほど難しくありません。以下、実額と条文を並べて説明します。

こんな状態ではありませんか
  • ネットで調べると比較項目が多すぎて、結局どっちがいいのか分からない
  • 「合同会社は安いけど信用が低い」というイメージだけで決めていいのか不安
  • 将来会社を大きくするかもしれないが、今の時点では判断材料が無い

結論:判断材料は「初期費用」「資金調達」「事務負担」の3点だけ

合同会社と株式会社の違いを説明するサイトは多くの項目を並べますが、一人で起業する場合に実際の意思決定を左右するのは次の3点に絞られます。

  1. 初期費用:設立時にいくら払うか
  2. 将来の資金調達:他人から出資を受ける・株式を発行する可能性があるか
  3. 毎年の事務負担:決算公告など、設立後も続くコストと手間

このうち2点目(将来、他人から出資を受ける可能性が少しでもあるか)が最も重い判断軸です。 ここが「ある」なら株式会社一択、「ない」なら残り2点(費用と事務負担)は合同会社が有利、という整理になります。以下、それぞれ見ていきます。

1点目:初期費用は合同会社のほうが最大約10万5,000円安い

設立時に必ずかかる実費は、登録免許税と(株式会社のみ)定款認証手数料です。

  • 登録免許税:合同会社は資本金の0.7%か6万円のいずれか高い方(登録免許税法別表第一第24号(1)ハ)、株式会社は資本金の0.7%か15万円のいずれか高い方(同号(1)イ)
  • 定款認証手数料:株式会社は公証役場での定款認証が必須です。2024年12月1日施行の公証人手数料令改正(令和6年政令第353号)により、「発起人全員が自然人で3人以下」「発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける」「取締役会を置かない」の3条件をすべて満たす場合に限り、資本金100万円未満は3万円から1万5,000円へ引き下げられました。条件を満たさない場合は資本金100万円未満でも3万円のままです。100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円(日本公証人連合会「定款手数料の改定」)。一人起業(発起人1名・取締役会非設置)なら通常この軽減の対象になります。合同会社はこの認証自体が不要なため、この費用はかかりません

資本金100万円のケースで単純計算すると、登録免許税の差が9万円(15万円-6万円)、定款認証手数料の差が1万5,000円で、合計最大約10万5,000円の差になります(電子定款を使い印紙代4万円を回避した場合の実額での比較。会社設立を自分でやるか代行に頼むかの費用構造は別記事[会社設立は自分でやるか代行に頼むか]で詳しく扱っています)。

2点目:他人から出資を受ける可能性があるなら株式会社

株式会社は「株式」を発行して出資者を増やす仕組みが会社法上組み込まれており、将来的に投資家からの出資(増資)を受けたり、株式公開(上場)を目指したりする経路が用意されています。

一方、合同会社は「持分」という形で出資者の権利が構成されており、新しく出資者を加える場合は定款変更などの手続きが必要になります。株式のように市場で流通させる仕組みも無いため、合同会社のまま株式上場することはできません。

一人で、自己資金の範囲で事業を続けるつもりなら、この項目の差はほぼ関係ありません。 逆に、将来的にベンチャーキャピタルや第三者からの出資を受ける可能性が少しでもあるなら、最初から株式会社にしておくほうが、あとで組織変更(合同会社から株式会社への変更)の手間とコストを避けられます。

3点目:毎年の決算公告義務は株式会社だけにある

株式会社は、毎事業年度の決算後に貸借対照表(大会社の場合は損益計算書も)を公告する義務があります(会社法440条)。公告の方法には官報・日刊新聞紙・電子公告があり(会社法939条)、これを怠ると100万円以下の過料の対象になります(会社法976条)。

合同会社を含む持分会社には、この決算公告義務にあたる規定がありません。 会社法上、決算公告義務は株式会社に関する条文(440条)にのみ定められており、持分会社の計算等に関する規定(617条以下)には公告義務は含まれていません。

ここが要点

官報公告の掲載費用は、行政書士・司法書士事務所の解説では「6万円前後」とされることが多いですが、これは業者側の紹介記事の相場観です。公式の料金表は官報公告の取次窓口である全国官報販売協同組合のサイト(https://www.gov-book.or.jp/asp/Kanpo/KanpoPrice/)に掲載されており、会社の公告は1行3,947円(税込)の従量制で、10行なら39,479円、20行なら78,958円、30行なら118,437円になります(1行=22文字詰め、本体価格×行数+消費税)。実際の決算公告(貸借対照表要旨)に必要な行数は会社の規模や記載内容によって変わるため、いくらになるかは一概には言えませんが、「6万円前後」という相場観は15〜16行程度に相当し、単価表と大きく矛盾するものではありません。

株式会社を選ぶと、毎年この公告のコストと手続きが継続的に発生します。合同会社にはこの負担がないため、一人で小さく始める場合はランニングコストの差になります。

比較表:合同会社と株式会社の違い一覧

項目 合同会社 株式会社
登録免許税 資本金の0.7%か6万円の高い方 資本金の0.7%か15万円の高い方
定款認証 不要 必須(1万5,000円〜)
決算公告義務 なし あり(会社法440条)
代表者の呼び方 代表社員(会社法599条) 代表取締役(会社法349条)
株式発行による資金調達 できない できる
株式上場(IPO) できない できる
出資者の追加 定款変更などの手続きが必要 株式発行で比較的柔軟

出典:登録免許税法別表第一、日本公証人連合会「定款手数料の改定」(2024年12月1日施行分)、会社法440条・939条・976条・599条・349条

「信用度」の話は数字で語れない部分

「合同会社は株式会社より信用が低い」という話をよく見かけますが、帝国データバンク・中小企業庁のサイトを探しても、これを裏付ける公的な統計や調査は見つかりませんでした。**** 「信用度」自体が業種・取引先ごとに受け止め方が異なり数値化しにくいテーマのため、公的な調査そのものが存在しないと考えられます。実際には、Apple Japan合同会社(2011年に合同会社へ組織変更)、グーグル合同会社・Amazon Japan合同会社(いずれも2016年に合同会社へ組織変更)のように、大企業の日本法人が合同会社形態を選んでいる例もあり、業種や取引先によって受け止め方は変わります。

一人起業で信用度が気になる場合は、「合同会社か株式会社か」よりも、実際の取引先(見込み客・仕入先・金融機関)に「合同会社でも問題ないか」を具体的に確認したほうが、実態に即した判断ができます。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、起業準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点では、まだ合同会社にするか株式会社にするかを最終確定していません。今のところ、当面は自己資金の範囲で一人で事業を進める予定で、他人から出資を受ける計画は具体的には無いため、上記の判断基準に照らすと合同会社に傾いています。ただし、これは検討段階での判断であり、実際に登記まで終えた一次情報ではありません。決めた理由と、決算公告義務の有無が実際にどう効いてくるかは、登記が終わった段階で別記事にまとめる予定です。

次にやること

まず、「将来、他人から出資を受ける可能性が少しでもあるか」だけを自分に問うてください。 あるなら株式会社、無いなら初期費用と事務負担の両方で合同会社が有利です。資本金の額が決まったら、上の比較表の数字を自分のケースに当てはめて実額を出してください。

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※本記事は2026年8月時点の法令・公証人手数料令に基づく情報整理と、筆者個人の状況に基づくものです。登録免許税・定款認証手数料は法改正により変わることがあるため、申請前に必ず法務局・公証役場の最新情報を確認してください。合同会社の「信用度」に関する記述は、帝国データバンク・中小企業庁のサイトを探した上で公的な統計・調査が見つからなかったためとしています。

出典 - 登録免許税法 別表第一第24号(1)イ・ハ(株式会社・合同会社の設立登記にかかる登録免許税・確認日2026年8月31日) - 日本公証人連合会 公式サイト「定款手数料の改定」(2024年12月1日施行分・確認日2026年8月31日、https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee) - 会社法 第440条(株式会社の計算書類の公告)、第617条(持分会社の計算書類の作成・保存)、第939条(公告方法)、第976条(過料)、第599条(合同会社の代表社員)、第349条(株式会社の代表) - 全国官報販売協同組合 公式サイト「官報公告料金表」(確認日2026年8月31日、https://www.gov-book.or.jp/asp/Kanpo/KanpoPrice/)

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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