設立のあとまで分かる会社設立ガイド 決める前の疑問から、設立のあとの手続きまで
ホーム › 40代で会社を辞めて起業する現実

40代で会社を辞めて起業する現実

この記事の結論
  • 日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」によると、開業時の年齢は40代が37.4%で最多、平均年齢は43.6歳(有効回答1,990社・回収率26.0%、調査時点2024年8月)
  • 開業費用の平均は985万円・中央値580万円、資金調達額の平均は1,197万円で自己資金293万円(24.5%)・金融機関等からの借入780万円(65.2%)の2つで9割弱を占める(同調査)
  • 勤務経験がある開業者は97.9%、管理職経験がある人は66.7%いる一方、経営経験がある人は12.5%にとどまる(同調査)
  • 開業直前の勤務先を離職した理由は「自らの意思による退職」が89.4%(同調査)
  • 起業準備にかかる期間の全国的な一次統計は確認できておらず、民間の解説記事では6〜9ヶ月程度という数字が見られるが、公庫調査・中小企業白書に準備期間の全国統計はなく目安にとどまる
この記事の内容
  1. 結論:開業者の最多層は40代、平均年齢43.6歳
  2. 開業時の年齢構成:40代が37.4%で最多
  3. 実際にいくら用意しているか:開業費用と資金調達額
  4. 資金はどこから調達しているか
  5. 起業準備にかかる期間はどのくらいか
  6. 40代ならではの事情:管理職経験はあるが経営経験は少ない
  7. 実体験:35歳の私はまだ「40代の当事者」ではない
  8. 次にやること

この記事は、40代で会社を辞めて起業しようとしていて、実際どのくらいの金額と期間を用意すればいいのか目安が見えない人に向けて書いています。 結論から言うと、開業した人の中で最も多いのは40代で、開業費用の平均は985万円・中央値580万円、資金調達額の平均は1,197万円というのが公的統計の実際の数字です(日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」)。この記事では、この数字の内訳と、40代ならではの事情、そして起業準備にかかる期間について整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 40代で会社を辞めて起業したいが、同世代の人がどのくらいの資金で開業しているのか目安がわからない
  • 住宅ローンや教育費もある中で、自己資金だけで足りるのか、借入も必要なのか判断できない
  • 起業の「準備期間」をどのくらい見ておけばいいのか、具体的な感覚がつかめない

結論:開業者の最多層は40代、平均年齢43.6歳

日本政策金融公庫総合研究所が2024年8月に実施した「2024年度新規開業実態調査」(2023年4〜9月に融資し、融資時点で開業後1年以内だった企業7,658社を対象に郵送調査を行い、1,990社が回答。回収率26.0%)によると、開業時の年齢は「40代」が37.4%で最も多く、次いで「30代」が28.6%でした。開業時の平均年齢は43.6歳です(同調査)。つまり、40代で起業するのは特別なことではなく、開業する人の中でもっとも多い年代にあたります。

一方で、開業費用の平均は985万円、中央値は580万円、開業時の資金調達額の平均は1,197万円という数字も同じ調査で示されています。ここからは、この金額の内訳と、年齢を重ねてからの起業ならではの事情を具体的に見ていきます。

開業時の年齢構成:40代が37.4%で最多

同調査で示された開業時の年齢構成は次のとおりです(2024年度)。

年齢層 割合
29歳以下 6.9%
30代 28.6%
40代 37.4%
50代 20.8%
60歳以上 6.3%

この調査は1991年度から毎年続いており、開業時の平均年齢は長期的に上昇傾向にあります。1991年度の平均年齢は38.9歳でしたが、2024年度は43.6歳まで上がっています(同調査)。「もう40代だから遅い」という前提自体が、少なくとも公的統計とは合っていません。

実際にいくら用意しているか:開業費用と資金調達額

開業費用(開業のために支出した金額)の分布は次のとおりです(2024年度、単位:%)。

開業費用 割合
250万円未満 20.1%
250万〜500万円未満 21.0%
500万〜1,000万円未満 30.7%
1,000万〜2,000万円未満 18.8%
2,000万円以上 9.4%

平均は985万円、中央値は580万円です。平均と中央値に400万円以上の差があるのは、少数の高額な開業(店舗を持つ飲食業や設備投資が大きい業種など)が平均を押し上げているためで、実際にはおよそ4割の人が500万円未満で開業しています。 なお、開業費用は長期的には少額化の傾向にあり、1991年度の平均1,440万円から2024年度は985万円まで下がっています(同調査)。この数字はあくまで全年代の平均・中央値です。調査結果の概要(公庫公式PDF)には年代別の開業費用の内訳は掲載されておらず、40代に限定した数字は公表されていません(2026年9月1日にPDF原文で確認)。

資金はどこから調達しているか

開業時の資金調達額の平均は1,197万円で、内訳は次のとおりです(2024年度、同調査、金額は平均値)。

調達先 平均額 調達額全体に占める割合
自己資金 293万円 24.5%
金融機関等からの借り入れ 780万円 65.2%
配偶者・親・兄弟・親戚等 54万円 4.5%
友人・知人等 36万円 3.0%
その他 34万円 2.8%

「金融機関等からの借り入れ」と「自己資金」の2つで、資金調達額全体の89.6%を占めています(同調査)。つまり、開業資金のすべてを自己資金でまかなっている人はむしろ少数で、多くの人が日本政策金融公庫や民間金融機関からの借り入れを組み合わせています。 法人の口座開設については、別記事[ネット銀行で法人口座を開設する]でも扱っています。

起業準備にかかる期間はどのくらいか

準備期間については、日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」(アンケート結果の概要、全15ページ)と中小企業庁「中小企業白書・小規模企業白書」の起業・創業関連の章を確認しましたが、いずれにも「構想から開業までの準備期間」を示す全国統計は見当たりませんでした(2026年8月31日確認)。民間の起業支援サイトの解説記事では「6〜9ヶ月程度が目安」という説明が複数見られますが、これは公的統計ではなく民間の目安として広まっている数字です【一次情報なし:起業準備期間の全国統計】。

目安として言えるのは、開業直前の勤務先を辞めた理由の89.4%が「自らの意思による退職」だったという事実です(2024年度、同調査)。多くの人が、勤務先の都合ではなく自分の意思とタイミングで退職し、そこから開業までの準備期間を自分で設計していることになります。準備期間そのものの厳密な平均値よりも、「何を終えたら開業するか」というチェックリストを自分で持っておくほうが実務的です。会社設立の具体的な手順は別記事[合同会社設立の全手順]、退職前後にやることの整理は別記事[会社を辞めて起業する手順]にまとめています。

40代ならではの事情:管理職経験はあるが経営経験は少ない

同調査では、開業者のキャリアについても調べています。勤務経験がある人は97.9%(n=1,958)、管理職経験がある人は66.7%(n=1,956)いる一方で、経営経験がある人は12.5%(n=1,813)にとどまります(2024年度、同調査)。つまり、40代で開業する人の多くは、部下を持つ管理職としての経験はあっても、経営者としての経験はないまま起業していることになります。

ここが要点

「管理職経験はあるが経営経験はない」のは自分だけではありません。 これは公的統計上、開業者の多数派に共通する状態です。経営の実務(資金繰り、税務、契約書の扱いなど)を勤務時代に経験していないことを前提に、会計ソフトや税理士など外部の仕組みを最初から組み込んで準備するほうが現実的です。一人社長の会計ソフトの選び方は別記事[一人社長の会計ソフトの選び方]で扱っています。

また、40代は住宅ローンや教育費が家計の中で大きな比重を占めやすい時期と重なります。自己資金として使える金額を決める際は、開業費用の目安だけでなく、当面の生活費を何ヶ月分残しておくかも合わせて検討する必要があります。この点について具体的な統計的目安は今回確認できていないため、金融機関や税理士など個別の相談先で自分の家計に当てはめて確認することをおすすめします。

実体験:35歳の私はまだ「40代の当事者」ではない

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年6月末に前職を退職し、独立に向けて準備を進めている段階ですが、1991年生まれのため2026年8月31日時点では35歳です。この記事のテーマである「40代」の当事者ではありません。そのため、40代特有の実感(住宅ローンや教育費との兼ね合い、体力面の変化など)については、当事者としての一次情報ではなく、統計と一般論として書いています。

一方で、退職してから会社の登記をまだ済ませていない(2026年8月31日時点)という状態は、年齢に関わらず共通する部分があります。実際に自分で開業費用を支出した経験がまだないため、「いくら用意したか」という金額を自分の実例として書くことはできません。この記事は、あくまで公的統計を調べて整理したものであり、実際に登記・開業した段階で、自分が用意した金額と準備にかかった期間を、別記事として一次情報でまとめる予定です。

次にやること

まず、上の表の「開業費用の分布」と「資金調達額の内訳」を見て、自分がどのゾーン(500万円未満か、500万〜1,000万円か)を目指すのかをおおまかに決めてください。 そのうえで、自己資金で足りない分をどこから調達するか(日本政策金融公庫、民間金融機関、家族・知人)を検討します。資本金の金額の決め方は別記事[資本金はいくらにするか]、会社設立を自分でやるか代行に頼むかの判断は別記事[会社設立は自分でやるか代行に頼むか]で扱っています。

freee会社設立


※本記事は日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」(2024年11月27日公表、調査時点2024年8月、回答企業1,990社)の公開資料に基づいています。起業準備にかかる期間については、同調査と中小企業庁の白書資料を確認しましたが全国平均を示す一次統計を見つけられなかったためとしています。年代別(40代限定)の開業費用・資金調達額の内訳も、今回確認できた公開資料の範囲では示されていないため、全年代の平均値として扱っています。数字は今後の調査で更新される可能性があるため、最新の調査結果は日本政策金融公庫公式サイトで確認してください。

出典 - 日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査 〜アンケート結果の概要〜」(2024年11月27日公表、https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf、2026年8月31日確認) - 日本政策金融公庫「新規開業に関する調査」一覧ページ(https://www.jfc.go.jp/n/findings/eb_findings.html、2026年8月31日確認) - 中小企業庁「2023年版中小企業白書 第2部第2章第2節 起業・創業」(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/chusho/b2_2_2.html、2026年9月1日確認、起業準備期間の統計記載なし)

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

あわせて読みたい