法人住民税の均等割
- 法人住民税は「均等割」と「法人税割」の2本立てで、均等割は所得の有無にかかわらず必ず発生する定額の税金(地方税法)
- 資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下の最低区分では、道府県民税均等割が年2万円(地方税法第52条1項)、市町村民税均等割が年5万円(同第312条1項)、合計で年7万円が標準税率(東京23区の場合は都民税として合算、東京都主税局)
- 均等割は資本金等の額・従業員数が増えるほど段階的に金額が上がる仕組みで、事業年度が1年未満の設立初年度は月数で按分計算される(地方税法第52条3項・第312条4項)
この記事の内容
この記事は、これから法人を作ろうとしていて、「赤字でも税金がかかる」と聞いて不安になった人に向けて書いています。 結論から言うと、それは本当で、法人住民税の「均等割」という部分は、利益が出ているかどうかに関係なく、資本金1,000万円以下・従業員50人以下という一番小さい区分でも年7万円が発生します。以下、なぜ赤字でもかかるのか、金額はどう決まるのか、いつ・どう払うのかを順に整理します。
- 「赤字なら税金はかからない」と思っていたのに、法人住民税は赤字でも払うと聞いて混乱している
- 均等割という言葉の意味が分からず、法人税割とどう違うのか区別できていない
- 具体的にいくらかかるのか、自分の会社の規模ではどの金額になるのか分からない
結論:最低区分は年7万円、赤字でも発生する
法人住民税は「均等割」と「法人税割」の2本立てで構成されており、このうち均等割は、所得の有無にかかわらず、資本金等の額と従業員数の区分に応じて必ず発生する定額の税金です(地方税法)。もっとも小さい区分である資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下の法人であれば、道府県民税均等割が年2万円、市町村民税均等割が年5万円、合計で年7万円が標準税率です(地方税法第52条1項・第312条1項)。
一人起業や小規模な法人の多くはこの最低区分に当てはまります。この7万円は、開業初年度で売上がゼロでも、決算が赤字でも、必ず納めることになる固定費として、事前に資金計画へ組み込んでおく必要があります。
なぜ赤字でもかかるのか:均等割と法人税割の違い
法人住民税が「赤字でもかかる」という感覚とずれるのは、法人住民税の中身が2種類に分かれていることを知らないまま話を聞くためです。
| 区分 | 課税の基準 | 赤字のとき |
|---|---|---|
| 均等割 | 資本金等の額・従業員数(所得とは無関係) | 発生する(定額) |
| 法人税割 | 法人税額(所得に連動) | 法人税がゼロなら、法人税割もゼロになる |
法人税割は、その事業年度の法人税額を基準に計算されるため、赤字で法人税額がゼロであれば、法人税割もゼロです。一方で均等割は、資本金等の額と従業員数という所得とは無関係な指標で金額が決まるため、赤字であっても、そもそも法人税がかからないほど利益が小さくても、金額は変わりません。「赤字なら法人の税金はゼロになる」という理解は、法人税割の部分だけを見た誤解です。
7万円の内訳:道府県民税2万円+市町村民税5万円
均等割は、都道府県に納める分と市区町村に納める分の合計です。資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下の最低区分での標準税率は次の通りです。
| 項目 | 標準税率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 道府県民税均等割 | 年2万円 | 地方税法第52条1項 |
| 市町村民税均等割 | 年5万円 | 地方税法第312条1項 |
| 合計 | 年7万円 |
ここでの「標準税率」とは、法律で定められた基準となる税率のことで、自治体によってはこれより高い「制限税率」の範囲内で条例により引き上げている場合があります。市町村民税均等割については、標準税率に1.2を乗じた率が制限税率の上限と定められています(地方税法第312条2項)。道府県民税均等割を定める地方税法第52条には、こうした制限税率の定めは置かれていません(e-Govの条文で確認、2026年9月1日)。実際にどの自治体がいくら上乗せしているか(超過課税の採用状況)は自治体ごとに異なるため、正確な金額は本店所在地の都道府県・市区町村に直接確認してください。
金額は資本金と従業員数で段階的に上がる
均等割の金額は、資本金等の額が大きくなるほど、また従業員数が多くなるほど、段階的に上がっていく仕組みです(地方税法第52条・第312条)。道府県民税均等割は資本金等の額のみで5段階に区分され、市町村民税均等割は資本金等の額と従業員数(50人超か以下か)の組み合わせでさらに細かく区分されています。
この記事では、一人起業や小規模法人の多くが該当する最低区分(資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下)の金額を中心に扱います。 それ以外の区分の標準税率も地方税法の本則の表で定められており(道府県民税は資本金等の額で5区分・年2万〜80万円=第52条、市町村民税は資本金等の額×従業者数で9区分・年5万〜300万円=第312条。e-Govの条文で確認、2026年9月1日)、実際の税額はこれに自治体の超過課税が上乗せされる場合があります。 資本金を1,000万円以上に設定する予定がある場合や、従業員を50人超雇う見込みがある場合は、均等割の区分が上がる点も踏まえて、資本金額を[資本金はいくらにするか|1円設立をやめた理由]の記事とあわせて検討してください。
東京23区の場合はどうなるか
東京23区(特別区)は、地方税法第734条により、道府県民税にあたる部分と市町村民税にあたる部分を、まとめて「都民税」として東京都に一括で納める扱いになっています。資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下であれば、都民税均等割として年7万円(道府県民税相当2万円+市町村民税相当5万円の合計)を都に納める形になり、金額自体は他の道府県・市町村に本店を置く場合と変わりません(地方税法第734条、東京都主税局「法人事業税・法人都民税」)。
23区外に本店を置く場合は、都道府県への納付と市区町村への納付が別になりますが、最低区分での合計額は同じく年7万円です。
設立初年度は月割計算になる
均等割は1年分まとめて年2万円・5万円という金額ですが、これは事業年度が1年間続いた場合の金額です。会社を設立した初年度のように事業年度が1年に満たない場合は、事務所を有していた月数で按分計算されます。月数は暦に従って計算し、1か月を超える部分の端数は切り捨てる一方、事務所を有していた期間全体が1か月に満たない場合は1か月として扱います(地方税法第52条3項・第312条4項)。
たとえば年の途中に設立した場合、初年度の均等割は7万円そのものではなく、設立日から決算日までの月数に応じて減額されます。「年内に設立すると年またぎで均等割が二重にかかる」という誤解については、[会社設立を年内にするか年明けにするか|税金と手間の差]の記事で詳しく扱っています。
いつ・どうやって払うか
均等割は、法人税割・法人事業税・消費税(課税事業者の場合)などとあわせて、事業年度終了後2か月以内に、都道府県・市区町村への申告納付という形で納めます。決算月をいつにするかによって、この納税タイミングが自社の資金繰りと重なるかどうかが変わってくるため、決算月の決め方は[会社の決算月はいつにするか|設立日から逆算する決め方]の記事を参考にしてください。
休眠状態で事業を行っていない期間も、均等割は原則として発生し続けます。「動いていない会社だから税金もかからないはず」という判断は誤りです。ただし、休業の届出(異動届出書等)を行うことで均等割の減免を検討してもらえる自治体があるとされています。東京都主税局の減免制度に関する公表ページには、一般の営利法人を対象にした休業中の均等割減免制度についての記載は確認できませんでした(2026年9月1日確認)。減免の運用は自治体ごとに異なるとみられるため、この点は(一次情報は確認できず)として扱います。休業を検討する場合は、法人を解散・清算せずに均等割を軽減できないか、本店所在地の都道府県税事務所・市区町村の税務担当窓口に直接相談してください。
払わないとどうなるか
地方税を滞納すると、延滞金が加算されるほか、督促・財産の差押えといった滞納処分の対象になり得ます(地方税法)。滞納処分の具体的な手続きや延滞金の税率は年・自治体により変わるため、この記事では立ち入りません。資金繰りが厳しく納税が難しい場合は、滞納する前に本店所在地の都道府県税事務所・市区町村の税務担当窓口に相談することをおすすめします。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、起業準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている2026年9月1日時点でまだ法人を設立しておらず、均等割を実際に払った経験はありません。
そのため、この記事の内容は自分が納税した記録ではなく、地方税法・東京都主税局の公開情報に基づく整理です。実際に法人を設立し、初めての決算・申告を終えた段階で、実際に払った均等割の金額と、按分月数の実務上の計算過程を、この記事に追記します。
次にやること
まず、自分が設立予定の法人の資本金額と、当面の従業員数の見込みを確認し、最低区分(資本金1,000万円以下・従業員50人以下)に収まるかどうかを確かめてください。 収まる場合、均等割は年7万円(設立初年度は月割)として資金計画に組み込めば足ります。そのうえで、決算月をいつにするかで納税タイミングが変わるため、[会社の決算月はいつにするか|設立日から逆算する決め方]の記事もあわせて確認してください。均等割を含めた税額の簡易シミュレーションは、freee会社設立のようなサービスの機能でも試算できる場合があります。
※本記事は2026年8月〜9月時点の法令・公的機関の公式情報と、筆者個人の状況に基づくものです。均等割の区分・税率は法改正や自治体の条例改正により変わることがあるため、実際の納税額は本店所在地の都道府県・市区町村、または税理士に確認してください。均等割の標準税率の区分と金額、市町村民税の制限税率(1.2倍)、道府県民税に制限税率の定めがないことは、地方税法第52条・第312条の条文で確認しています(e-Gov、2026年9月1日)。超過課税の採用状況と滞納時の延滞金の詳細は自治体・年度により異なるため、本記事では扱っていません。
出典 - 地方税法 第52条1項・3項(道府県民税均等割の標準税率・月割計算) - 地方税法 第312条1項・2項・4項(市町村民税均等割の標準税率・制限税率・月割計算) - 地方税法 第734条(都における普通税の特例。特別区内では道府県民税・市町村民税相当分を合わせて都民税として課税する根拠) - 東京都主税局「法人事業税・法人都民税|仕事と税金」https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/work/a1(均等割税率表:資本金等の額1,000万円以下・従業員数50人以下・23区内で年7万円と確認) - 上記の一次情報は[資本金はいくらにするか|1円設立をやめた理由][会社の決算月はいつにするか|設立日から逆算する決め方][会社設立を年内にするか年明けにするか|税金と手間の差]の各記事で確認済みの内容を、均等割の仕組み単体の観点で再整理したものです