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一人社長の経理を自分でやる範囲

この記事の結論
  • 一人社長でも法人である以上、記帳・決算・申告の義務は個人事業と同じ重さで発生する(法人税法・会社法)
  • 毎月やることは記帳・請求書発行・入金確認・経費仕訳の4つに絞れる
  • 年1回でいいことは、決算・法人税及び消費税の申告(事業年度終了日の翌日から2か月以内、法人税法74条)、法定調書合計表と給与支払報告書の提出(いずれも翌年1月31日)、償却資産税の申告(1月31日、地方税法383条)、役員報酬を届け出ているなら社会保険の算定基礎届(対象は7月1日現在の被保険者、提出期限は7月10日、日本年金機構)
  • 源泉所得税は「納期の特例」の届出をすれば年2回(7月10日・翌年1月20日)にまとめて納付できる(国税庁)
  • 自分でできるのはクラウド会計ソフトの銀行連携で完結する記帳まで、決算・申告は税務判断が伴うため税理士に任せるのが基本線
この記事の内容
  1. 結論:毎月は「記帳」だけ、年1回は「申告」をまとめて
  2. なぜ一人社長でも経理の義務は個人事業より重いのか
  3. 毎月やること:4つに絞れる
  4. 年1回でいいこと:期限と根拠を一覧に
  5. 自分でやる範囲・税理士に任せる範囲の分け方
  6. クラウド会計ソフトで自動化できる範囲
  7. 役員報酬を出すなら気をつけること
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. 次にやること

この記事は、従業員を雇わず一人で会社を経営している人、またはこれから一人社長になる人に向けて書いています。 聞きたいことは1つのはずです。「経理は自分でどこまでやれば足りて、どこから税理士に頼むべきか」。結論から言うと、毎月やることは記帳まわりの4つだけに絞れます。決算・申告など年1回のまとまった手続きは、税務の判断が伴うため税理士に任せるのが基本線です。この記事では、その線引きを具体的に整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 一人社長になったが、経理の何を毎月やればいいのか分からない
  • 税理士に全部任せると費用がかさむので、自分でできる範囲を知りたい
  • 「年1回でいい」と聞くものが多いが、具体的に何をいつまでにやればいいのか整理できていない

結論:毎月は「記帳」だけ、年1回は「申告」をまとめて

一人社長の経理は、毎日発生する作業と、年に1回だけ発生する作業がはっきり分かれているのが特徴です。毎日・毎月やることは記帳・請求書発行・入金確認・経費仕分けの4つで、これはクラウド会計ソフトの銀行口座連携を使えば自分で十分に回せます。一方、決算・法人税や消費税の申告、法定調書の提出といった年1回のまとまった手続きは、税務上の判断や書式の正確さが求められるため、自分でやろうとすると時間がかかるうえに、間違えると加算税・延滞税のリスクがあります。この記事では、この2つを分けて、それぞれ何をいつまでにやればいいかを整理します。

なぜ一人社長でも経理の義務は個人事業より重いのか

「一人でやっているから経理も簡単」と考えがちですが、法人である以上、経理・申告の義務は従業員が何十人いる会社とほぼ同じ重さで発生します。個人事業の白色申告のように「家計簿に毛が生えた程度でよい」とはいきません。法人税の確定申告書の提出期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内と法人税法74条で定められており、これは一人社長の会社にも例外なく適用されます。決算を組んで申告書を作る作業自体は、簿記や税法の知識がないと自己流でやりきるのは難しく、ここが個人事業との一番の違いです。

ここが要点

「一人だから簡易でいい」わけではありません。 義務の重さは会社の規模ではなく「法人かどうか」で決まります。だからこそ、毎月の記帳は自分でやって費用を抑えつつ、年1回の申告は専門家に任せる、という分業が現実的な選択になります。

毎月やること:4つに絞れる

一人社長が毎月やることは、次の4つに整理できます。

  1. 記帳 — 事業用の預金口座・クレジットカードの入出金を、勘定科目ごとに仕訳する
  2. 請求書の発行 — 売上が発生したら請求書を作り、取引先に送る
  3. 入金確認 — 発行した請求書どおりに入金があったかを預金口座で確認する
  4. 経費の仕訳とレシート整理 — 事業に使った経費のレシート・領収書を保存し、記帳に反映する

このうち記帳は、クラウド会計ソフトに銀行口座やカードを連携させておけば、入出金データが自動で取り込まれ、勘定科目の予測まで出るため、手入力に比べて作業時間は大きく減ります(記帳にかかる月間時間についての公的な統計は見当たらず、取引件数や自動仕訳の精度によって個人差があるため、ここでは時間数を断定しません。2026年9月確認)。請求書発行・入金確認・経費整理も、月次でまとめて処理する運用にすれば、日々の業務時間を圧迫しません。

年1回でいいこと:期限と根拠を一覧に

年1回(または年2回)でいい手続きは、期限がそれぞれ違うため、一覧で押さえておくと抜け漏れを防げます。

手続き 期限の目安 根拠・出典
決算・法人税及び消費税の確定申告 事業年度終了日の翌日から2か月以内 法人税法74条(国税庁)
法定調書合計表の提出 支払いが確定した年の翌年1月31日 国税庁 法定調書の種類及び提出期限
給与支払報告書の提出(市区町村へ) 翌年1月31日 地方税法317条の6(法定調書合計表と同時期に処理するのが実務上一般的)
償却資産税の申告(事業用の器具・備品などがある場合) 毎年1月31日(賦課期日は1月1日) 地方税法383条(総務省 固定資産税の概要)
社会保険の算定基礎届(役員報酬を社会保険に届け出ている場合) 対象は毎年7月1日現在の被保険者、提出期限は7月10日まで 日本年金機構
源泉所得税の納付(納期の特例を届け出ている場合) 年2回:7月10日(1〜6月分)・翌年1月20日(7〜12月分) 所得税法216条・217条(国税庁 No.2505)

※上記は従業員を雇わず、代表者本人のみが役員報酬を受け取っている「一人社長」を前提にした一覧です。従業員を1人でも雇うと、労働保険の年度更新(毎年6月1日〜7月10日、厚生労働省)など、新しく発生する手続きがあります。

自分でやる範囲・税理士に任せる範囲の分け方

分け方の考え方はシンプルです。「判断が要らない作業」は自分で、「判断が要る作業」は税理士に。

  • 自分でやってよい: 銀行口座・カードから自動で取り込める記帳、請求書の発行、経費のレシート保存。ここは判断の幅が狭く、クラウド会計ソフトの補助で十分に対応できます。
  • 税理士に任せたほうがよい: 決算(利益の確定・税額計算)、法人税・消費税の申告書作成、役員報酬の金額設定(定期同額給与の要件があり、法人税法34条により期の途中の変更は通常改定・臨時改定事由・業績悪化改定事由などの要件を満たさないと損金不算入になる制約がある)。ここは税法の解釈や有利不利の判断が絡み、間違えると追徴課税につながるリスクがあります。
ここが要点

自分で全部やろうとすると、決算・申告の作業に何日もかかったうえで、間違いに気づかず提出してしまうことがあります。失うリスクは加算税・延滞税と、修正申告にかかる時間です。 税理士報酬・記帳代行費用には公的な統一相場は存在せず、自由化されています。比較サイトや税理士事務所の解説では、記帳代行が月数千円〜数万円、丸投げの顧問契約で月数万円程度とする例が多く見られますが、金額は取引件数や依頼範囲で変わるため、ここでは幅のある目安として書いています(2026年9月確認)。毎月の記帳を自分でやるだけでも、税理士に依頼する場合の記帳代行費用を抑えられるので、まずはそこから始めるのが現実的です。

クラウド会計ソフトで自動化できる範囲

freeeやマネーフォワードクラウド会計などのクラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携すると、入出金データを自動で取り込み、過去の仕訳履歴から勘定科目を推測してくれます。一人社長が毎月の記帳を自分でやる場合、この自動化の恩恵が特に大きく、手入力が必要なのは「推測が外れた仕訳の修正」と「現金で支払った経費の入力」程度に絞られます。決算書・申告書の作成機能を持つソフトもありますが、申告書は最終的に税理士のチェックを通すか、税理士に作成そのものを依頼するのが安全です。ソフトが計算した数字が税法上正しいとは限らないためです。

役員報酬を出すなら気をつけること

一人社長が自分に役員報酬を支払う場合、経理の負担が一段増えます。役員報酬から源泉所得税を天引きして納付する義務が発生し、さらに社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する場合は、毎年7月の算定基礎届で標準報酬月額を届け出る必要があります。源泉所得税は原則毎月納付ですが、給与の支給人員が常時10人未満なら「納期の特例」を税務署に届け出ることで、年2回(7月10日・翌年1月20日)にまとめて納付できます(所得税法216条・217条)。この特例を使わないと、毎月10日までに納付が発生し、事務負担が跳ね上がります。 役員報酬を出す予定があるなら、設立後早めに「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出しておくとよいでしょう。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、起業準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点では、まだ自分の会社を設立して一人社長として経理を回した経験はありません。そのため、この記事は法令・国税庁や日本年金機構などの公式情報をもとに整理した「これからやるべきことの見取り図」であり、自分が実際に記帳や決算を回してみてどう感じたか、という体験談ではありません。この点は正直に書いておきます。実際に法人を設立し、決算・申告を一巡させた段階で、一次情報として別記事にまとめる予定です。

次にやること

まず、クラウド会計ソフト(freeeまたはマネーフォワードクラウド会計)に事業用の銀行口座・カードを連携させて、毎月の記帳を自分で回せる状態を作ってください。 そのうえで、決算・申告のタイミングだけは税理士に相談する、という分業を最初から決めておけば、経理にかける時間と費用の両方を無理なく抑えられます。


※本記事は2026年9月時点の法令・国税庁および日本年金機構・総務省の公式情報整理と、筆者個人の状況に基づくものです。制度は変更されることがあるため、実際の手続きの前には必ず所轄の税務署・年金事務所・市区町村、または税理士に最新情報を確認してください。

出典 - 法人税の確定申告書の提出期限 国税庁(nta.go.jp) - 法定調書の種類及び提出期限 国税庁(nta.go.jp) - 償却資産(固定資産税)の申告(地方税法383条) 総務省 固定資産税の概要(soumu.go.jp) - 定時決定(算定基礎届、対象は7月1日現在の被保険者、提出期限は7月10日) 日本年金機構(nenkin.go.jp) - 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 国税庁 No.2505(nta.go.jp) - 労働保険の年度更新について(毎年6月1日〜7月10日) 厚生労働省(mhlw.go.jp) - 役員給与の損金不算入(定期同額給与) 法人税法34条

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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