法人税の中間納付
- 中間申告・中間納付は、事業年度が6か月を超える普通法人が事業年度開始から6か月経過後2か月以内に行う手続き(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」令和6年10月版・法人税法71条・72条)
- 前事業年度の確定法人税額をもとに計算した金額が10万円以下(前事業年度が12か月なら前期の法人税額が20万円以下が目安)なら提出不要
- 方法は「前年度実績による予定申告」と「仮決算による中間申告」の2択で選択可能
- 設立1期目には前事業年度が存在しないため中間申告は発生せず、前期に一定以上の利益が出た2期目から急に対象になる
- 消費税の中間申告は基準も判定時期も別制度で、法人税と混同しないよう整理
この記事の内容
この記事は、法人を設立して2期目に入った経営者で、「中間申告」「中間納付」という通知や案内に心当たりがなく戸惑っている人に向けて書いています。 結論を先に言うと、これは滞納でも誤りでもなく、法人税の制度上、事業年度の途中で税金を1回前払いする決まりがあるためです。1期目には基本的に来ないため、2期目に初めて経験して驚く経営者が多いという構造です。
- 1期目にはなかった「中間申告書」の案内が2期目に急に届いて、何かの間違いかと不安になる
- いくらから対象になるのか、いくら納めればいいのかが分からない
- 決算のタイミングでまとまった納税をしたばかりなのに、また支払いが来るのかと資金繰りが心配になる
結論:中間申告・中間納付とは何か
中間申告とは、国税庁の説明によれば「事業年度の中間点で納税をするための手続き」です(出典参照)。決算で1年分の所得を確定させて税額を計算し納付する「確定申告」とは別に、事業年度の途中で一度、税額の一部を前払いする仕組みだと考えてください。
対象になるのは、事業年度が6か月を超える普通法人です。原則として、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に、中間申告書を提出し、納付すべき税額があればその期限までに納付する必要があります(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」令和6年10月版16ページ、法人税法71条・72条)。
「中間」という名前のとおり、1年分の決算を待たずに事業年度の折り返し地点で一度納税するのが、この制度の正体です。
なぜ「2年目に突然」来るのか
中間申告が必要かどうかを判定する基準は、「前事業年度の確定法人税額」です。設立1期目には、そもそも比較対象になる「前事業年度」が存在しません。そのため1期目には中間申告の判定対象自体が生じず、通知も来ません。
2期目に入ると話が変わります。1期目(前事業年度)の決算で法人税額が確定しているため、2期目はその実績をもとに中間申告が必要かどうかが判定されます。1期目の業績が順調で法人税額が一定額を超えていた場合、2期目の事業年度開始から6か月経過後に、初めて中間申告・中間納付の対象になります。「1期目は来なかったのに2期目にいきなり来た」という驚きは、この判定の仕組みそのものが理由です。
中間申告が必要になるかどうかの基準
中間申告が必要かどうかは、次の算式で計算します(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」16ページ)。
(事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日までに確定した前事業年度の法人税額 ÷ 前事業年度の月数) × 中間期間の月数
この算式で計算した金額が10万円以下、またはその金額がない場合は、中間申告書の提出は不要です(同資料、法人税法71条1項)。
前事業年度が12か月(通常の1年決算)であれば、この算式は「前期の法人税額の半分」とほぼ同じ意味になります。つまり目安として、前期の法人税額が20万円を超えていた場合に、2期目の中間申告・中間納付の対象になると考えておくとイメージしやすくなります(前事業年度の月数が12か月でない場合は算式どおりに計算し直す必要があります)。
| 判定対象 | 内容 |
|---|---|
| 判定基準 | 前事業年度の確定法人税額をもとに算式で計算した金額 |
| 提出不要となる基準 | 算式の計算結果が10万円以下、またはその金額がない場合 |
| 目安(前期が12か月決算の場合) | 前期の法人税額がおおむね20万円以下なら対象外 |
| 1期目の扱い | 前事業年度が存在しないため、中間申告の判定自体が発生しない |
出典:国税庁「法人税のあらましと申告の手引」令和6年10月版16ページ、法人税法71条1項
中間申告には2つの方法がある
中間申告には2種類の方法があり、どちらを選ぶかは法人が選択できます(同資料16ページ)。
| 方法 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 前年度実績による中間申告(予定申告) | 前事業年度の確定法人税額をもとに、算式で計算した金額をそのまま中間分として申告・納付する | 今期も前期並み、またはそれ以上の業績が見込める場合。手間が少ない |
| 仮決算による中間申告 | 事業年度開始から6か月間を1つの事業年度とみなして仮に決算を行い、その所得に基づいて税額を計算・申告する | 前期より業績が悪化している、または一時的な利益で前期の税額が跳ね上がった場合 |
何も手続きをしなければ「前年度実績による中間申告(予定申告)」があったものとみなされます。国税庁の資料には「中間申告書を提出すべき法人がその提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限において、前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)があったものとみなされます」と明記されています(同資料16ページ)。つまり、何もしなくても前年度実績に基づく金額の納付義務は発生するという点に注意が必要です。
なお仮決算による中間申告は、①予定申告の算式で提出不要になる場合(災害損失金額がある場合を除く)、②仮決算による税額が予定申告の算式で計算した金額を超える場合、には選択できません(同資料16ページ)。
今期の利益が前期より明らかに落ち込んでいる、あるいは前期に一時的な利益(資産売却など)で法人税額が跳ね上がった場合は、仮決算による中間申告を検討する価値があります。前年度実績のまま予定申告すると、実態より多い金額を前払いすることになりかねません。
中間納付の期限といつまでに納めるか
提出・納付の期限は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内です(同資料16ページ)。たとえば4月1日開始・3月31日終了の事業年度であれば、6か月経過日は9月30日、その翌日から2か月以内、つまり11月30日までが期限の目安になります(実際の起算日・期限日は事業年度の日付によって変わるため、自社の決算日をもとに所轄税務署または顧問税理士に確認してください)。
納付方法は、確定申告時の納付と同じく複数の選択肢があります。国税庁の資料では、事務所等から手続きが完結する「キャッシュレス納付」(ダイレクト納付・インターネットバンキング・クレジットカード・スマホアプリ決済)と、コンビニ納付・金融機関または税務署窓口での納付が案内されています(同資料43ページ)。クレジットカード納付には決済手数料がかかり、スマホアプリ納付・QRコードによるコンビニ納付は納付税額30万円以下の場合が対象です(同資料43ページ)。
消費税の中間申告と混同しない
「中間申告」という言葉は、消費税にも存在します。ただし判定の基準・時期は法人税とはまったく別の制度です。法人税の中間申告は前事業年度の法人税額を基準にしますが、消費税の中間申告は前課税期間の確定消費税額を基準に、年1回・3回・11回のいずれかの回数に分かれます(消費税の詳細な基準額は本記事の対象外のため、国税庁タックスアンサーNo.6609または顧問税理士に確認してください)。
なお国税庁の資料には、「消費税について、法人の設立事業年度とその翌事業年度は、新設法人に該当する場合等を除き原則として免税事業者となります」との記載があります(同資料45ページ注記)。設立から2期程度は消費税自体が免税事業者になっているケースが多く、その場合は消費税の中間申告も発生しません。「法人税の中間納付」と「消費税の中間申告」を同じものと思い込んで慌てないよう、どちらの通知なのかをまず確認してください。
資金繰りへの備え方
中間納付でつまずきやすいのは、金額そのものより「決算直後にまた納税がある」というタイミングです。1期目の決算で法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税をまとめて納め、その数か月後には2期目の中間納付がやってくる、という流れになるため、資金繰り表に決算月だけでなく中間納付の月もあらかじめ組み込んでおくことが実務上の対策になります。
前期の法人税額(確定申告書の税額)が分かった時点で、前述の算式(または簡易的に「前期の法人税額の半分」)を使えば、2期目の中間納付額はおおむね事前に見積もれます。決算が終わったタイミングで、次の中間納付の有無と概算額を確認しておくと、資金繰りの見通しが立てやすくなります。
なお、地方税である法人住民税・法人事業税にも同様の中間申告・中間納付の制度があります。基準額や取り扱いの細部は地方税法・各自治体の運用によるため、法人税の中間納付と合わせて、顧問税理士に一度まとめて確認しておくことをお勧めします。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、起業準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点ではまだ法人の決算を一度も終えていません。そのため、中間申告・中間納付を自分自身が実際に経験したという体験談ではなく、国税庁の公式資料を調査して整理した記事です。この点は正直に書いておきます。実際に2期目を迎え、中間納付を経験した段階で、一次情報として別記事にまとめる予定です。
次にやること
まず、1期目(前事業年度)の確定申告書に記載された法人税額を確認してください。 前事業年度が12か月決算で、その法人税額がおおむね20万円を超えていれば、2期目の事業年度開始から6か月を経過したあと2か月以内に、中間申告書の提出と納付が必要になる可能性があります。正確な金額は前述の算式で計算する必要があるため、確定申告書の控えを手元に、顧問税理士または所轄の税務署に確認することをお勧めします。
※本記事は2026年9月時点の国税庁公式資料の調査整理と、筆者個人の状況に基づくものです。税額や制度は個別の事情・法改正により変わることがあるため、実際の判断は顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。
出典 - 法人税のあらましと申告の手引(令和6年10月・国税庁)16ページ「(2)中間申告」(中間申告の定義・対象・算式・10万円以下の提出不要基準・予定申告と仮決算の選択・未提出時のみなし規定・関係法令として法71条,72条①〜④,73条,76条を確認、2026年9月1日確認) - 同資料43ページ「6 納付の方法」(キャッシュレス納付・コンビニ納付・窓口納付の各方法、スマホアプリ納付・QRコードコンビニ納付は納付税額30万円以下が対象と明記、2026年9月1日確認) - 同資料45ページ「(1)法人を設立したとき」注記2(消費税について法人の設立事業年度とその翌事業年度は新設法人に該当する場合等を除き原則として免税事業者となる旨を確認、2026年9月1日確認) - 法人税法第71条(中間申告)条文(事業年度が6月を超える普通法人の中間申告義務、算式により計算した金額が10万円以下またはその金額がない場合は提出不要である旨を確認、2026年9月1日確認) - No.6609 中間申告の方法(国税庁タックスアンサー)(消費税の中間申告が前課税期間の確定消費税額に応じて年1回・3回・11回に分かれる旨、詳細な基準額(48万円超・400万円超・4,800万円超)は本記事の対象外として案内、2026年9月4日確認)