適格請求書発行事業者の登録申請書の書き方
- 適格請求書発行事業者の登録申請書は国税庁サイトから様式を入手でき、提出方法はe-Taxと書面(郵送)の2通り(消費税法第57条の2、国税庁)
- e-Taxでの提出には電子証明書(マイナンバーカードなど)が必要(国税庁「e-Taxで適格請求書発行事業者の登録申請書を提出される方へ」)
- 書面提出の送付先は税務署ではなく所轄地域の「インボイス登録センター」(国税庁)
- 登録番号は法人が「T+法人番号(13桁)」、個人事業者等は法人番号を使わない別採番の「T+13桁」(国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト)
- 新設法人が設立事業年度の初日から登録を受けるには、その課税期間の末日までに登録申請書を提出する必要がある(消費税法施行令第70条の4「新たに設立された法人等の登録時期の特例」、国税庁)
この記事の内容
この記事は、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録申請書をこれから出そうとしていて、何を書けばいいか、e-Taxと書面のどちらで出せばいいか分からない人に向けて書いています。 結論から言うと、書く書類は1種類ですが、出し方は「e-Tax」と「書面(郵送)」の2通りあり、送り先も記入項目もそれぞれ少し違います。以下、申請書の内容、提出方法ごとの手順、登録番号の形式、登録が完了するまでの流れの順に整理します。
- 登録申請書をダウンロードしたが、どこに何を書けばいいか分からない
- e-Taxで出したほうが早いと聞いたが、何を準備すればいいのか分からない
- 書面で出す場合、税務署の窓口に持っていけばいいのか郵送すればいいのか分からない
結論:書類は1種類、出し方は2つ、番号の形が違う
適格請求書発行事業者になるための書類は「適格請求書発行事業者の登録申請書」1種類だけです(消費税法第57条の2)。提出方法はe-Taxか書面(郵送)のどちらかを選べ、e-Taxのほうが処理が早い傾向があります。書面で出す場合の送り先は最寄りの税務署ではなく、地域ごとに指定された「インボイス登録センター」です。登録が済むと通知される登録番号は、法人か個人事業者かで形式が違います。
書面提出とe-Tax提出は、書く内容自体はほぼ同じですが、送り先と通知の受け取り方が違います。 e-Taxなら通知も電子データで届くため、紙のやり取りが1往復減ります。
適格請求書発行事業者の登録申請書とは何か
適格請求書発行事業者の登録申請書は、インボイス(適格請求書)を発行できる事業者になるために税務署へ提出する書類です(消費税法第57条の2第2項)。様式は国内事業者用と国外事業者用が分かれており、国内で事業を行う個人事業者・法人はどちらも「登録申請書(国内事業者用)」を使います(国税庁「D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」)。様式はExcel形式・PDF形式のいずれも国税庁サイトから入手できます。
登録を受けると、請求書にインボイス制度が定める記載事項(登録番号・適用税率・消費税額など)を満たした「適格請求書」を発行できるようになります。これにより、取引先(課税事業者)はその請求書をもとに仕入税額控除を受けられるようになります。逆に言えば、この登録をしていない事業者が発行する請求書では、取引先は原則として仕入税額控除を受けられません。
提出方法は2つ:e-Taxと書面、どちらが早いか
提出方法は次の2通りです。
| 提出方法 | 必要なもの | 送り先 | 通知の受け取り方 |
|---|---|---|---|
| e-Tax | 電子証明書(マイナンバーカードなど) | e-Tax(電子送信) | 登録通知データ(電子)で受け取る |
| 書面(郵送) | 申請書の印刷・押印(法人は代表者名で記名) | 所轄地域の「インボイス登録センター」宛に郵送 | 登録通知書(紙)が郵送で届く |
e-Taxでの提出には「e-Taxソフト」または「e-Taxソフト(WEB版)」を使います。e-Taxソフト(WEB版)はパソコンのほかスマートフォン・タブレットからも利用できますが、スマートフォン・タブレットからの利用が認められているのは個人事業者のみで、法人はパソコンからの利用に限られます(国税庁「登録申請手続のe-Taxに関するよくある質問」)。書面提出の場合の送付先は、税務署の窓口ではなく、各国税局が設置している「インボイス登録センター」宛の郵送です(国税庁「各局(所)インボイス登録センターのご案内」)。管轄は事業者の所在地によって決まるため、提出前に自分の地域を担当するセンターを国税庁サイトで確認する必要があります。
国税庁は「登録通知時期の目安」を公表しており、その中でe-Taxのほうが書面より早く処理される傾向が示されています。ただし目安の日数は申請の混み具合によって時期ごとに変動するため、この記事では具体的な週数・月数の断定は避けます。申請前に国税庁サイトの最新の目安を確認してください(2026年9月4日確認、国税庁「登録通知時期の目安について」)。
申請書に書く主な項目
登録申請書(国内事業者用)に書く主な項目は次のとおりです(国税庁「D1-64」の申請書様式・記載要領)。
- 提出年月日、提出先の税務署名
- 個人事業者:住所(納税地)、氏名、生年月日
- 法人:本店または主たる事務所の所在地、名称、代表者氏名、法人番号
- 提出時点で課税事業者か免税事業者か(該当する欄にチェック)
- 免税事業者の場合、登録要件の確認欄(納税管理人の届出の有無、消費税法に違反して罰金以上の刑を受けたことがないか等)
- 事業者区分・登録希望日など、必要に応じて記載する欄
個人事業者と法人で書く欄の名称(「氏名」か「名称・代表者氏名」か)が変わる以外は、書式の骨格は共通です。法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで確認できる13桁の番号を、通知書などを見ながら正確に転記します。
e-Taxで提出する手順
e-Taxで登録申請データを作成・送信する大まかな流れは次のとおりです(国税庁「D1-64」、e-Tax「e-Taxで適格請求書発行事業者の登録申請書を提出される方へ」)。
- マイナンバーカードなどの電子証明書を用意する
- e-Taxソフト(WEB版)または対応するe-Taxソフトにログインする(マイナンバーカード読み取り、または利用者識別番号での認証)
- 利用者情報を登録・確認する
- メインメニューから「申請・納付手続を行う」を選び、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を選択する
- 画面の案内に沿って必要項目を入力し、登録申請データを作成する
- 電子署名を付与して送信する
- 送信後、受付結果・登録通知データをe-Tax上で確認する
なお、e-Taxソフト(WEB版)を使う場合、2022年10月11日以降は旧様式での送信ができなくなっており、新様式に対応したソフトを使う必要があります(e-Tax「e-Taxで適格請求書発行事業者の登録申請書を提出される方へ」、2026年9月4日確認)。すでに古い案内を見て準備している場合は、最新のe-Taxソフトを使っているか確認してください。
書面で提出する場合の送り先
書面で提出する場合は、申請書を印刷し、必要事項を記入・押印(法人の場合は代表者名を記名)したうえで、自分の事業所の所在地を管轄する「インボイス登録センター」宛に郵送します(国税庁「各局(所)インボイス登録センターのご案内」)。税務署の窓口に直接持ち込む方法ではなく、郵送が前提になっている点に注意が必要です。 どのセンターが自分の管轄になるかは、国税庁サイトの一覧で都道府県ごとに確認できます。
書面提出の場合、登録通知は紙の「登録通知書」として郵送で届きます。到着まで一定の期間がかかるため、取引先への案内など期限がある場合は余裕を持って提出する必要があります。
登録番号の形式は法人と個人事業者で違う
登録が完了すると通知される登録番号の形式は、法人か個人事業者等かで異なります(国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト「登録番号とは」)。
| 事業者の種類 | 登録番号の形式 |
|---|---|
| 法人番号を持つ法人 | T + 法人番号(13桁) |
| 個人事業者・法人番号を持たない事業者 | T + 13桁の番号(マイナンバーは使わず、法人番号と重複しないよう別に採番される) |
法人の場合は、すでに国税庁の法人番号公表サイトで公表されている法人番号の頭に「T」を付けた番号がそのまま登録番号になります。個人事業者の場合はマイナンバー(個人番号)がそのまま使われるわけではなく、登録の際に新しく13桁の番号が割り振られます。
登録が完了するまでの期間
登録申請書を提出してから登録番号が通知されるまでの期間は、提出方法(e-Taxか書面か)と、その時期の申請の混雑状況によって変わります。国税庁は「登録通知時期の目安」を随時更新して公表しており、e-Taxのほうが書面より早く通知される傾向が示されています(国税庁、2026年9月4日確認)。申請書に記載漏れ・誤りがあると、内容確認のためさらに時間がかかることも国税庁の案内に明記されています。取引先への案内期限が決まっている場合は、申請前に最新の目安を確認し、余裕を持って提出することをおすすめします。
新設法人が設立事業年度の初日から登録を受けたい場合
新しく設立した法人が、設立事業年度の初日(=事業を開始した課税期間の初日)から登録を受けたい場合は、その課税期間の末日までに、課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を提出する必要があります(消費税法施行令第70条の4、消費税法施行規則第26条の4「新たに設立された法人等の登録時期の特例」)。この期限内に申請書が提出され、税務署長により登録簿への登載が行われれば、実際に登録番号が通知されるのがその後になったとしても、課税期間の初日にさかのぼって登録を受けたものとみなされます(国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問11)。なお、設立時点で免税事業者の場合は、登録申請書と併せて課税選択届出書も提出する必要があります(消費税法第9条第4項)。
この特例を使うかどうかは、そもそも設立事業年度から課税事業者としてインボイスを発行したいかどうかの判断と結びついています。資本金1,000万円未満の新設法人は、設立第1期は原則として消費税が免除され、設立第2期も特定期間(設立第1期の開始日から6か月間)の課税売上高と給与等支払額がいずれも1,000万円以下であれば引き続き免除されます(国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」)。免税の恩恵とインボイス登録のどちらを優先するかを先に決めておく必要があります。この判断軸はインボイス登録は設立時にやるか|免税の恩恵と取引先の都合で整理しています。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点ではまだ登記が完了しておらず、適格請求書発行事業者の登録申請書もまだ提出していません。設立時にインボイス登録を同時に行うか、免税期間を優先するかもまだ決めていない段階です。実際に申請書を提出した段階で、e-Taxと書面のどちらを選んだか、実際にかかった通知までの日数を、この記事に追記します。
次にやること
まず、自分がe-Taxと書面のどちらで提出できる環境にあるか(マイナンバーカードなどの電子証明書があるか)を確認してください。 電子証明書があればe-Taxのほうが処理が早い傾向があるため、通知を急ぐ理由がある場合はe-Taxを優先します。提出前には、国税庁の「登録通知時期の目安」ページで最新の処理期間を確認し、取引先への案内期限から逆算して提出日を決めてください。新設法人で設立事業年度の初日から登録を受けたい場合は、その課税期間の末日までに提出する期限があることを忘れないようにしてください。
※本記事は2026年9月4日時点で調査した内容と、筆者個人の状況に基づくものです。登録申請の可否や有利判定は個々の状況によって変わるため、実際の提出前に税理士または税務署にご確認ください。
出典 - 消費税法 第57条の2(適格請求書発行事業者の登録等) - 消費税法 第9条第4項(小規模事業者に係る納税義務の免除、課税選択届出) - 消費税法施行令 第70条の4、消費税法施行規則 第26条の4(新たに設立された法人等の登録時期の特例) - D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁(2026年9月4日確認。提出方法・様式・提出先を確認) - 各局(所)インボイス登録センターのご案内|国税庁(2026年9月4日確認。書面提出時の送付先が税務署ではなくインボイス登録センターであること、窓口への直接持込みはできず郵送のみであることを確認) - e-Taxで適格請求書発行事業者の登録申請書を提出される方へ|e-Tax(2026年9月4日確認。e-Taxソフトの新様式への切り替え時期を確認) - 登録申請手続のe-Taxに関するよくある質問|国税庁(2026年9月6日確認。e-Taxソフト・e-Taxソフト(WEB版)の種類、電子証明書の要否、スマートフォン・タブレット利用が個人事業者限定であることを確認) - 登録番号とは|国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト(2026年9月4日確認。登録番号の形式が法人と個人事業者等で異なることを確認) - インボイス制度に関するQ&A 問11(新たに設立された法人等の登録時期の特例)|国税庁(2026年9月6日確認。新設法人が課税期間の末日までに登録申請書を提出すれば課税期間の初日に登録を受けたとみなされることを確認) - No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例|国税庁(2026年9月6日確認。資本金1,000万円未満の新設法人の設立第1期・第2期の免税要件を確認) - インボイス登録は設立時にやるか|免税の恩恵と取引先の都合(設立時の免税とインボイス登録の判断軸を参照)