登録免許税の払い方と登記申請書の書き方
- 合同会社設立登記の登録免許税は資本金の0.7%か6万円の高い方(登録免許税法別表第一)
- 納付は原則現金納付だが(登録免許税法21条)、実務上は法務局や郵便局で購入した収入印紙を申請書に貼り付ける方法が広く使われている
- 登録免許税法22条は税額3万円以下の登記等について印紙納付を認めており、それを超える金額の登記でどこまで印紙納付が認められるかの具体的な政令根拠は執筆時点で未特定(要確認)
- 登記申請書には商号・本店・登記の事由・登記すべき事項・課税標準金額・登録免許税額・添付書類一覧・申請人の住所氏名を記載し、様式は法務局が公式サイトで公開している
この記事の内容
この記事は、合同会社の登記申請書を自分で作ろうとしていて、登録免許税をいくら・どうやって払えばいいのか、申請書に何を書けばいいのか分からず不安な人に向けて書いています。 結論から言うと、合同会社設立の登録免許税は資本金の0.7%か6万円の高い方で、払い方は現金納付か収入印紙のどちらかです。申請書には商号・本店・登記の事由・登録免許税額などを決められた項目に沿って書きます。以下、税額の計算方法、払い方2種類の違い、申請書に書く項目を順に並べます。
- 登録免許税がいくらになるのか、資本金からどう計算するのか分からない
- 「現金で払う」「印紙で払う」の両方の説明を見かけて、どちらを選べばいいのか分からない
- 登記申請書という書類に何をどこまで書けばいいのか、様式のイメージがつかめない
「登録免許税 納付書」で調べている方には先に結論だけ書きます。現金納付を選ぶときに使う納付書は、税務署の窓口に置いてある「領収済通知書」という3枚複写の用紙です。書く項目は年度・税目番号(登録免許税は221)・税務署名/税務署番号・住所氏名・本税額・合計額が中心で、白紙から自分で作る書類ではありません。具体的な書き方は下の「登録免許税の納付書(領収済通知書)の書き方」にまとめました。
結論:税額は資本金の0.7%か6万円の高い方、払い方は2通り
合同会社を設立する登記にかかる登録免許税は、資本金の額の0.7%か6万円のいずれか高い方です(登録免許税法別表第一)。[合同会社設立の全手順]の記事でも触れた通り、資本金が857万円までは6万円が下限としてかかります。
払い方は大きく分けて「収入印紙で納める」か「現金で納める」かの2つです。どちらを選んでも税額そのものは変わりません。 違うのは、印紙をどこで買うか、領収証書をどう扱うかという手続きの部分です。登記申請書には、この税額と、商号・本店・登記の事由といった基本項目を決められた順番で記載します。
合同会社の登録免許税はいくらか
登録免許税法別表第一は、合同会社の設立登記について「資本金の額の1000分の7(これによって計算した税額が6万円に満たないときは、申請件数1件につき6万円)」と定めています。つまり計算式はシンプルで、資本金×0.7%と6万円を比べて、高い方が実際の税額になります。
- 資本金100万円の場合:100万円×0.7%=7,000円<6万円 → 税額は6万円
- 資本金1,000万円の場合:1,000万円×0.7%=7万円>6万円 → 税額は7万円
分岐点は資本金約857万円です。多くの一人起業のケースでは資本金がこれより少ないため、実質的には「合同会社の登録免許税は6万円」と考えて差し支えありません。なお株式会社の設立登記の場合は、同じ登録免許税法別表第一で下限が15万円と定められており、合同会社より初期費用が高くなります。この差は[合同会社と株式会社どちらにするか]の記事でも扱っています。
登録免許税の2つの払い方
登録免許税の納付方法には、大きく分けて次の2つがあります。
- 現金納付:登録免許税は原則として現金で納付すると定められており(登録免許税法21条)、税務署や日本銀行歳入代理店(多くの銀行の窓口)で納付したうえで、その領収証書を登記申請書に貼り付けて提出します。
- 印紙納付:登録免許税法22条は、税額が3万円以下の登記等その他政令で定めるものについて、印紙による納付を認めています。実務上は、法務局や郵便局で購入した収入印紙を登記申請書に貼り付けて提出する方法が、会社設立登記でも広く使われています。
合同会社設立の登録免許税は最低でも6万円で、条文上の「3万円以下」という基準だけを見ると印紙納付の対象外に見えます。この差を埋めているのが登録免許税法施行令第29条で、同条第三号は「印紙により登録免許税を納付することにつき特別の事情があると登記機関が認めた場合」にも印紙納付を認めています(登録免許税法施行令29条3号)。会社設立登記はこの規定の運用対象として、収入印紙による納付が実務上広く使われています。金額の大きい登記を控えている場合や、窓口の案内がこの記事と異なる場合は、申請前に管轄の法務局窓口で「収入印紙で納められるか」を直接確認することをおすすめします。
登録免許税の納付書(領収済通知書)の書き方
現金納付を選んだ場合に使う納付書は、正式には「領収済通知書」という国税共通の3枚複写の用紙です。手順は次の通りです。
- 用紙を用意する:自分で作成・印刷する書類ではなく、税務署の窓口に備え付けてある領収済通知書を使います。持ち物は登録免許税額が分かるもの(登記申請書の控えや計算メモ)で足ります。
- 必要事項を記入する:年度(4月1日〜翌年3月31日の会計年度を2桁で)、税目番号(登録免許税は221)、税務署名・税務署番号(窓口の用紙にあらかじめ印字されていることが多い)、住所・氏名(会社の本店・商号)、本税欄に税額(¥記号なし)、合計額欄に同じ税額(¥記号あり)を書きます。
- 窓口で現金と一緒に提出する:記入した用紙と現金を、税務署の窓口か、登録免許税を取り扱う金融機関(日本銀行歳入代理店)の窓口に出して納付します。
- 領収証書を受け取り、申請書に貼る:3枚綴りのうち1枚が領収印を押されて返却されます。これを登記申請書の登録免許税額を記載した書面に貼り付け、申請書に押した印鑑で契印して提出します。登録免許税の納付そのものには、登記申請とは別の提出期限は定められておらず、通常は申請書の提出と同じタイミングで手続きします。
この用紙自体をどこで手に入れるかで詰まる人が多い実態があります。領収済通知書は税務署の窓口に置いてあるのが基本で、銀行の窓口には備え付けがないことがあります。先に税務署で用紙を入手してから、納付する金融機関へ持ち込むのが確実な流れです。なおオンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)を使う場合は、この紙の納付書は使わず電子納付の画面から手続きするため、書き方自体が変わります。
収入印紙で納める場合の注意点
収入印紙で納める場合、実務でよく案内されているのは次のような流れです。
- 収入印紙は法務局内の印紙売り場や郵便局で購入する(法務局によっては庁舎内に印紙の売店がない場合もあるため、事前に確認しておくと安心)
- 購入した収入印紙は、登記申請書の該当ページ(登録免許税額を記載した箇所の下など)に貼り付ける
- 貼り付けた収入印紙に自分で消印・割印をしない。 消印は法務局側が行うものとされており、申請人が先に印を押してしまうと、正しい手続きとして扱われない可能性があります
現金納付の場合は、銀行や税務署で先に納付を済ませ、発行された領収証書を申請書に貼り付ける必要があるため、法務局に行く前にもう一度別の窓口に行く手間がかかります。窓口を1か所で済ませたい場合は、収入印紙での納付の方が動線が短くなります。 なお、法務局の庁舎内に印紙の売店(印紙売りさばき所)があるかどうかは庁舎ごとに異なり、実際に東京法務局多摩法務局証明サービスセンターのように収入印紙の販売を終了した庁舎もあります。全国の庁舎を横断して印紙売店の有無をまとめた法務省・法務局の一次資料は見当たらなかったため、この点は(一次情報は確認できず)として扱っています。
登記申請書に何を書くか
合同会社設立登記申請書には、主に次の項目を記載します。様式そのものは法務局が公式サイトで記載例つきの雛形を公開しており、これに沿って埋めていく形になります。
- 商号:「合同会社◯◯」のように会社法6条2項に沿った名称
- 本店:登記簿に載る所在地
- 登記の事由:「令和◯年◯月◯日社員の合意により設立の手続終了」のように、いつ設立の手続きが終わったかを書く
- 登記すべき事項:商号・本店・目的・資本金額・代表社員の氏名住所など、登記簿に反映させたい内容一式
- 課税標準金額:資本金の額
- 登録免許税:上で計算した税額(最低6万円)
- 添付書類:定款、代表社員の就任承諾書、払込みを証する書面、資本金の額の計上に関する証明書、印鑑届書など、[合同会社設立の全手順]の記事で挙げた書類の一覧
- 申請人の住所・氏名:代表社員の情報
- 連絡先の電話番号:法務局から書類の不備を確認する連絡が来ることがあるため必須
- あて先:本店所在地を管轄する法務局の名称
これらは商業登記法・商業登記規則に基づく記載事項ですが、実際に書くときは法務局が配布している記載例をそのまま埋めていく形が最も早く、条文を1つずつ確認しながら自作する必要はありません。
「登記すべき事項」はどう提出するか
申請書の中でも特に分量が多くなるのが「登記すべき事項」です。法務局の案内では、次のいずれかの方法で提出する扱いになっています。
- 別紙に印刷して申請書に添付する
- CD-Rなどの記録媒体に記録して提出する
- オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)を使う場合は、テキストデータとしてそのまま送信する
窓口で紙の申請書を出す場合は、別紙かCD-Rのどちらかを選ぶことになります。手書きで登記簿の内容をすべて書き写す必要はなく、法務局の記載例に沿ってワープロソフトで作成した文書をそのまま別紙として使えます。
比較表:収入印紙納付と現金納付
| 項目 | 収入印紙で納付 | 現金で納付 |
|---|---|---|
| 税額 | 変わらない(資本金の0.7%か6万円の高い方) | 変わらない |
| 事前に行く場所 | 法務局内の印紙売り場・郵便局(印紙を購入) | 税務署・日本銀行歳入代理店(現金納付) |
| 法務局での手続き | 申請書に印紙を貼付して提出(消印は法務局側) | 領収証書を申請書に貼付して提出 |
| 窓口の数 | 印紙購入と申請を近い動線で済ませやすい | 納付窓口と法務局の2か所を回る必要がある |
| 向いている人 | 手続きの動線を短くしたい人 | すでに税務署等で他の納付予定がある人 |
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。この記事を書いている2026年8月31日時点で、私自身はまだ登記申請書を作成する段階まで進んでおらず、実際に登録免許税を収入印紙・現金のどちらで納めたかという経験はありません。[合同会社設立の全手順]や[電子定款で4万円節約する方法]の記事でも書いた通り、定款作成自体がまだこれからの段階です。
そのため、この記事の内容は登録免許税法・商業登記法などの法令と法務局の公開情報を基にした「調査した範囲では」の整理であり、収入印紙をどこで買ったか、窓口でどんな案内を受けたかといった実際の体験ではありません。実際に登記申請まで進めた段階で、どちらの納付方法を選んだか、窓口でのやり取りがどうだったかを、この記事に追記するか別記事にまとめます。
計算例:資本金300万円の合同会社なら登録免許税はいくらか
ここまでに出てきた制度と数字だけを使って、実際に1つ計算してみます。
- 資本金:300万円
- 会社形態:合同会社1社を新規設立(増資や他の登記事由は無し)
計算は次の通りです。
- 資本金300万円 × 0.7%(登録免許税法別表第一) = 21,000円
- 21,000円と6万円を比べる → 6万円の方が高い
- 高い方の6万円が、この会社の登録免許税額になる
つまり資本金300万円で合同会社を設立する場合、登録免許税は6万円です。上の「合同会社の登録免許税はいくらか」で触れた通り、分岐点は資本金約857万円のため、資本金がこれ以下であればこの記事の他の資本金額でも同じく6万円になります。857万円を超える場合は、資本金×0.7%の方が6万円より高くなるので、その計算結果がそのまま税額です。
この6万円を、収入印紙で納めるなら法務局内の印紙売り場か郵便局で購入して申請書に貼り、現金で納めるなら税務署か銀行窓口で払ってその領収証書を申請書に貼ります(具体的な手順は上の「登録免許税の2つの払い方」「収入印紙で納める場合の注意点」を参照してください)。
次にやること
まず、自分の会社の資本金額を決めて、登録免許税がいくらになるかを計算してください。 資本金×0.7%と6万円を比べて、高い方が税額です。そのうえで、印紙を法務局内で購入できるかを事前に管轄の法務局へ確認しておくと、申請当日に慌てずに済みます。申請書そのものは、法務局が公開している記載例をダウンロードして項目を埋めていくところから始めてください。
※本記事は2026年8月時点の法令・法務局の公開情報に基づく情報整理と、筆者個人の状況に基づくものです。登録免許税の納付方法や登記申請書の様式は法務局の運用変更により変わることがあるため、実際の申請前には管轄の法務局、または司法書士・行政書士に最新情報を確認してください。法務局庁舎内での印紙販売の有無は庁舎ごとに異なり、全国横断の一次資料が見当たらなかったため(一次情報は確認できず)としています。
出典 - 登録免許税法 別表第一(合同会社・株式会社の設立登記にかかる登録免許税額)、第21条(現金納付の原則)、第22条(印紙納付ができる場合)(e-Gov法令検索、2026年8月31日確認) - 国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」合同会社:資本金の1000分の7・6万円未満は6万円/株式会社:資本金の1000分の7・15万円未満は15万円 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm (2026年8月31日確認) - 登録免許税法施行令 第29条3号(印紙納付ができる場合の政令規定)(e-Gov法令検索、2026年8月31日確認) - 会社法 第6条2項(商号)(e-Gov法令検索、2026年8月31日確認) - 商業登記法・商業登記規則(設立登記申請書の記載事項) - 法務局 公式サイト「商業・法人登記の申請書様式」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 、「合同会社設立登記申請書」記載例(2026年8月31日確認) - 領収済通知書(登録免許税の納付書)の税目番号「221」および記入項目:厚生労働省・農林水産省・国土交通省の公表資料(いずれも国税共通の領収済通知書様式に基づく、2026年9月23日確認) - 現金納付の領収証書を登記申請書に貼付・契印する実務の流れ:司法書士事務所の解説記事(2026年9月23日確認)