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設立2期目にやること

この記事の結論
  • 資本金1,000万円未満の新設法人は基準期間がない事業年度は原則免税だが(消費税法12条の2、国税庁No.6503)、特定期間(前事業年度開始から6か月)の課税売上高が1,000万円を超えると2期目から課税事業者になる。ただし課税売上高に代えて特定期間の給与等支払額の合計額で判定することもでき、どちらか一方が1,000万円以下なら免税を維持できる(消費税法9条の2、国税庁質疑応答事例)
  • 法人税の中間申告は前事業年度の確定法人税額をもとに算式で計算した金額が10万円を超えると必要になり、1期目には前事業年度が存在しないため発生しないが、2期目は1期目の実績で判定される(法人税法71条1項)
  • 消費税の中間申告は前課税期間の確定消費税額(国税部分)が48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回になる(消費税法42条、国税庁No.6609)
  • 均等割は1期目が事務所を有していた月数で按分される月割計算だったのに対し、2期目は通常12か月分のフル金額になる(地方税法52条3項・312条4項)
この記事の内容
  1. 結論:2期目に変わる3つのこと
  2. 変化1. 消費税が免税から課税に切り替わるか
  3. 変化2. 法人税の中間納付が発生するか
  4. 変化3. 均等割が月割からフル金額になる
  5. 消費税にも中間申告があるが、多くはまだ関係ない
  6. 2期目に確認すべき3点のチェックリスト
  7. 実体験について、正直に書きます
  8. 次にやること

この記事は、会社を設立して1期目の決算を終え、2期目に入った一人社長・小規模法人の経営者に向けて書いています。 結論を先に言うと、2期目には1期目には無かった判定・支払いが3つ発生する可能性があります。消費税が免税から課税に切り替わるかどうかの判定、法人税の中間納付、そして均等割が月割からフル金額に変わることです。どれも「1期目は無かったのに2期目に急に来た」と感じやすい変化なので、以下、それぞれ何を・いつ確認すればよいかを整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 1期目は消費税を気にしなくてよかったが、2期目もそのままでいいのか不安
  • 中間申告・中間納付という通知が来る可能性があると聞いたが、自分の会社が対象かわからない
  • 均等割の金額が1期目より増えている気がするが、計算方法を理解できていない

結論:2期目に変わる3つのこと

1期目は「前の期がない」という理由だけで、多くの判定が自動的に有利な側(免税・中間申告なし・月割)に倒れています。2期目になると、この「前の期がない」という前提が崩れ、1期目の実績が判定材料として使われ始めます。具体的には次の3つです。

変化 1期目 2期目
消費税 原則免税(資本金1,000万円未満の場合) 1期目前半の実績次第で課税事業者になり得る
法人税の中間納付 前事業年度が無いため発生しない 1期目の確定法人税額次第で発生し得る
均等割 事務所を有していた月数で按分(月割) 通常12か月分のフル金額
ここが要点

3つとも「1期目の実績や状態」が2期目の扱いを決めるという共通の構造を持っています。 つまり2期目に何が起きるかは、1期目の途中(前半6か月)や1期目の決算内容を見返せば、事前にある程度予測できます。

変化1. 消費税が免税から課税に切り替わるか

資本金1,000万円未満で設立した法人は、基準期間(前々事業年度)がない1期目・2期目について、原則として消費税が免税になります(消費税法12条の2、国税庁タックスアンサーNo.6503)。「2期目まで免税」と言われるのはこの原則を指していますが、これには例外があります。

例外は、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合です。特定期間とは、法人の場合、原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間を指します(消費税法9条の2)。つまり2期目にとっての特定期間は「1期目の最初の6か月」です。この期間の課税売上高が1,000万円を超えると、2期目は課税事業者になります。

ここで見落とされやすいのが、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することもできるという規定です(消費税法9条の2、国税庁「特定期間の給与等支払額の範囲」質疑応答事例)。特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、同じ期間に支払った給与等の合計額が1,000万円以下であれば、免税を維持できます。課税売上高と給与等支払額のどちらか一方が1,000万円以下であれば、有利な方を選んで判定できる、という仕組みです。

特定期間(1期目の最初の6か月)の状態 2期目の消費税
課税売上高・給与等支払額の両方が1,000万円超 課税事業者になる
課税売上高は1,000万円超、給与等支払額は1,000万円以下 免税を維持できる
課税売上高が1,000万円以下 免税を維持できる

なお、資本金1,000万円以上で設立した法人は、この特定期間の判定を待たず、1期目から課税事業者になります(消費税法12条の2)。この記事は資本金1,000万円未満で設立した一人社長・小規模法人を主な対象にしています。特定期間の判定そのものをさらに詳しく確認したい場合は、別記事で扱う予定です。

変化2. 法人税の中間納付が発生するか

法人税の中間申告は、前事業年度の確定法人税額をもとに算式で計算した金額が10万円を超える場合に必要になります(法人税法71条1項)。1期目には前事業年度が存在しないため、この判定自体が発生しません。2期目は1期目の実績をもとに判定されるため、1期目の業績次第で、2期目の事業年度開始から6か月経過後に中間申告・中間納付の対象になります。

前事業年度(1期目)が12か月決算であれば、目安として1期目の確定法人税額がおおむね20万円を超えていた場合に対象になると考えておくとイメージしやすくなります(1期目の事業年度が12か月でない場合は、算式どおりに月数で按分し直す必要があります)。中間申告の算式・2つの申告方法・納付期限といった詳細は、[法人税の中間納付|2年目に突然くる支払い]の記事で扱っています。

変化3. 均等割が月割からフル金額になる

法人住民税の均等割は、資本金等の額と従業員数の区分に応じた定額の税金です。資本金等の額1,000万円以下・従業員50人以下の最低区分であれば、標準税率で道府県民税均等割2万円、市町村民税均等割5万円、合計年7万円がかかります(地方税法52条1項・312条1項)。

1期目は、多くの場合この金額をそのまま払っていません。 事業年度が1年に満たない設立初年度は、事務所を有していた月数で按分する月割計算になるためです(地方税法52条3項・312条4項)。月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数は切り捨てますが、事務所を有していた期間全体が1か月に満たない場合は1か月として扱います。

たとえば1期目が7か月営業だった場合、均等割は年7万円ではなく「7万円×7/12」に相当する金額になります。2期目は通常、事業年度が12か月フルで回るため、月割の適用がなくなり、年7万円(最低区分の場合)がそのままかかります。 「1期目より2期目の均等割が増えている」と感じたときは、計算間違いではなく、月割からフル金額への切り替わりであることがほとんどです。均等割の仕組み自体は[法人住民税の均等割|赤字でも年7万円かかる仕組み]の記事で詳しく扱っています。

消費税にも中間申告があるが、多くはまだ関係ない

消費税にも、法人税とは別に中間申告の制度があります。前課税期間の確定消費税額(地方消費税を除く国税部分)に応じて、次のように申告回数が変わります(消費税法42条、国税庁タックスアンサーNo.6609)。

前課税期間の確定消費税額(国税部分) 中間申告の回数
48万円以下 原則不要
48万円超400万円以下 年1回
400万円超4,800万円以下 年3回
4,800万円超 年11回

ただし、この判定は「前課税期間に確定した消費税額」があって初めて意味を持ちます。 前述のとおり1期目が免税事業者だった場合、1期目に確定消費税額はそもそも発生しないため、2期目に消費税の中間申告が来ることもありません。2期目から課税事業者になった場合でも、その課税期間の消費税額が確定するのは2期目の決算時点なので、消費税の中間申告が実際に問題になるのは早くても3期目以降になります。「2期目に免税から課税に切り替わるかどうか」と「消費税の中間申告が来るかどうか」は、別のタイミングの話として区別しておいてください。

2期目に確認すべき3点のチェックリスト

2期目に入ったら、次の3点を順に確認しておくと、変化に事前に気づけます。

  1. 1期目の最初の6か月(特定期間)の課税売上高と給与等支払額を、それぞれ集計する。 どちらか一方が1,000万円以下なら、2期目も消費税は免税のままです。
  2. 1期目の確定申告書に記載された法人税額を確認する。 12か月決算でおおむね20万円を超えていれば、2期目の中間申告・中間納付の対象になる可能性があります。
  3. 2期目の均等割は月割ではなくフル金額になる前提で、資金計画に組み込む。 最低区分なら年7万円(自治体の超過課税がある場合はこれより高くなります)。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点ではまだ登記が完了しておらず、1期目の決算も経験していません。そのため、この記事は自分が2期目を実際に経験した記録ではなく、国税庁・地方税法の公開情報を調査して整理したものです。実際に1期目の決算を終え、2期目にこれらの判定を自分で行う段階になったら、実務でつまずいた点や税理士に確認した内容を、この記事または各詳細記事に実体験として追記します。

次にやること

まず、1期目の最初の6か月(特定期間)の課税売上高と給与等支払額を集計し、どちらも1,000万円を超えていないかを確認してください。 ここで免税が続くかどうかが決まります。そのうえで、1期目の確定申告書の法人税額を確認して中間納付の可能性を見積もり、2期目の均等割はフル金額(最低区分なら年7万円)を前提に資金計画へ組み込んでください。判定に迷う場合や自社の資本金・従業員数が最低区分に当てはまらない場合は、顧問税理士または所轄の税務署・都道府県税事務所に確認することをお勧めします。


※本記事は2026年9月6日時点で確認した法令・国税庁公式情報と、筆者個人の状況に基づくものです。消費税の課税事業者判定・中間申告の要否・均等割の金額は、事業年度の月数や自治体の条例(超過課税)によって個別に変わるため、実際の判断は顧問税理士または所轄の税務署・都道府県税事務所・市区町村にご確認ください。

出典 - 消費税法 第9条の2(特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例。特定期間の課税売上高に代えて給与等支払額の合計額により判定できる規定を含む) - 消費税法 第12条の2(新設法人の納税義務の免除の特例。資本金1,000万円以上の新設法人は基準期間がない事業年度も課税事業者となる旨) - No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例|国税庁 - No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき|国税庁 - 特定期間の課税売上高による免税事業者の判定(質疑応答事例)|国税庁 - 特定期間の給与等支払額の範囲(質疑応答事例)|国税庁 - 法人税法 第71条1項(中間申告。前事業年度の確定法人税額をもとに算式で計算した金額が10万円以下の場合は提出不要である旨) - 法人税のあらましと申告の手引(令和6年10月・国税庁)16ページ「(2)中間申告」 - 消費税法 第42条(中間申告。前課税期間の確定消費税額に応じた申告回数の区分) - No.6609 中間申告の方法|国税庁 - 地方税法 第52条1項・3項(道府県民税均等割の標準税率・月割計算) - 地方税法 第312条1項・4項(市町村民税均等割の標準税率・月割計算) - 法人事業税・法人都民税|仕事と税金|東京都主税局

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会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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