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海外在住のまま日本で会社を作れるか

この記事の結論
  • 2015年3月16日の法務省通達(平成27年3月16日民商第29号通知)により、内国株式会社の代表取締役全員が日本に住所を有しない場合でも設立登記・就任登記が受理される取り扱いに変わった(法務省)
  • 海外在住の発起人・取締役は、印鑑証明書の代わりに本国官憲または公証人が作成した署名証明書(サイン証明書)を提出する。作成場所は本国・日本・第三国のいずれでも認められる(日本公証人連合会・法務省)
  • 本店所在地について会社法・商業登記法は住所を制限しておらず、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記できる
  • 制度上は設立できても、代表者全員が海外在住のままだと法人名義の銀行口座開設は実務上ほぼ通らないとする専門家の解説が複数ある(2026年9月確認)
  • 経営管理ビザは日本に来て事業の経営に参画し会社から報酬を得る場合に必要になる在留資格で、海外に住んだまま名前だけ代表者として登記する場合は対象にならない
この記事の内容
  1. 結論:登記はできる、ただし実務の壁は別にある
  2. 代表取締役が海外に住んでいても会社は作れるか
  3. 発起人・取締役が海外在住の場合に必要な書類は何か
  4. 本店所在地は日本国内に置く必要があるか
  5. 最大の壁:法人名義の銀行口座は開設できるか
  6. 経営管理ビザは必要になるか
  7. 制度上できることと、実務で通ることを比較する
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. チェックリスト:海外在住のまま会社を作る前に確認すること
  10. 次にやること

この記事は、海外に住んでいる(または近く海外に移住する)状態のまま、日本で株式会社や合同会社を作れるかどうかを知りたい人に向けて書いています。 結論から言うと、代表者が海外在住のままでも会社の設立登記自体はできます。 2015年の法務省通達で「代表取締役の最低1人は日本に住所が必要」という要件が撤廃されたためです。ただし、登記が通ることと、その後に会社として実際に活動できることは別問題です。特に法人名義の銀行口座開設は、代表者全員が海外在住のままだと実務上かなり厳しいという壁があります。この記事では、制度上の要件と実務上の壁を分けて整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 海外に住んでいるが、日本国内に会社を作りたい。そもそも設立できるのか分からない
  • 「代表者は日本に住所が必要」という古い情報と「不要になった」という新しい情報が両方出てきて、どちらが正しいか分からない
  • 制度上できるとしても、実際に会社として動かすうえで何がハードルになるのか分からない

結論:登記はできる、ただし実務の壁は別にある

代表取締役(株式会社の場合)や代表社員(合同会社の場合)の全員が海外に住所を持つ状態でも、日本で会社の設立登記を申請できます。 これは2015年(平成27年)3月16日の法務省通達によって明文化された取り扱いで、日本人であることも、日本国内に住所を持つ役員が1人以上いることも、もはや要件ではありません(法務省)。

一方で、登記が受理されることと、その会社が実際に日本国内で銀行口座を開き、取引先と契約し、事業を回せることは別の話です。制度上の要件は解消されても、実務上の壁(特に銀行口座開設)は別に残っています。 この2つを分けて理解することが、この記事の一番の要点です。

ここが要点

「代表者は日本に住所が必要」という情報は、2015年3月16日より前の古い取り扱いです。 それ以前は代表取締役のうち最低1人は日本国内に住所を持っている必要がありましたが、この要件は撤廃されました。今ネットで見かける「住所がないと作れない」という記述は、この通達より前の情報がそのまま残っているケースが多いので注意してください。

代表取締役が海外に住んでいても会社は作れるか

法務省が公表している「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」というページに、次のように明記されています。「代表取締役の全員が海外に居住していても、日本において会社の設立登記を申請することができます(日本人であることも必要ありません。)」(法務省)。

この取り扱いは株式会社の代表取締役に限らず、合同会社の代表社員(および法人が代表社員の場合の職務執行者)についても同様に、全員が日本に住所を有していなくても登記できるように改められています(法務省の公式ページに合同会社を明示した記載は見当たらなかったが、同じ2015年3月16日の取扱い変更として複数の司法書士事務所の解説記事で一致して説明されている。2026年9月確認)。つまり、「代表者は海外在住のまま、会社だけ日本に作る」という形自体は、2026年9月現在の制度では問題なく認められています。

発起人・取締役が海外在住の場合に必要な書類は何か

日本国内に住んでいる人が会社を作る場合、印鑑証明書を発起人・役員それぞれが用意します。海外在住の場合、日本の印鑑登録制度そのものが使えないため、代わりに署名証明書(サイン証明書)を用意します(日本公証人連合会)。

署名証明書は、次のいずれかの機関で発行してもらえます(法務省)。

  • 本国に所在する本国官憲(大使館・領事館など)が作成したもの
  • 日本に所在する本国官憲(本国の在日大使館・領事館)が作成したもの
  • 第三国に所在する本国官憲が作成したもの
  • 本国に所在する公証人が作成したもの

海外在住の日本人であれば、現地の日本大使館・領事館で署名証明書を発行してもらうのが一般的な流れです。日本に住民票を持たない外国籍の人であれば、その人の本国官憲(本国の大使館・領事館、または本国に所在する公証人)が作成した署名証明書を用意します(日本公証人連合会)。定款認証の際には、発起人全員分の署名証明書の提出が必要です。

この書類のやり取りは、日本国内で完結する印鑑証明書の取得よりも時間がかかります。 在外公館の予約状況や郵送のやり取りによっては、設立準備のスケジュールに数週間単位で影響することがあるため、余裕を持って動く必要があります。

本店所在地は日本国内に置く必要があるか

代表者の住所とは別の論点として、「会社の本店所在地」をどこに置くかという要件があります。会社法・商業登記法には、本店所在地として登記できる住所を制限する規定はなく、実際に営業している場所と異なるバーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記することも可能とされています。特定商取引法上の連絡先としても、一定の要件を満たせばバーチャルオフィスの住所が認められるという整理が消費者庁の資料で示されています。

ただし、この記事のテーマである「代表者が海外在住かどうか」とは別に、本店所在地は日本国内の住所である必要があるという点は変わりません。海外の住所を本店所在地として登記することはできないため、代表者が海外在住であっても、本店所在地はバーチャルオフィスなどを使って日本国内に確保する必要があります。

最大の壁:法人名義の銀行口座は開設できるか

制度上の要件が整理された一方で、実務上の壁として繰り返し指摘されているのが法人名義の銀行口座開設です。複数の行政書士・税理士の解説記事では、代表者全員が海外在住のままだと、以前は日本国内に協力者がいれば口座開設できるケースもあったが、現在はそれでもほぼ通らなくなっているとされています(2026年9月確認の複数の専門家解説にもとづく。金融機関ごとの個別の審査基準は公表されていないため、この記述自体が確定的な基準ではありません)。

背景として、2020年前後から金融機関がマネーロンダリング対策の観点で法人口座開設の審査を厳格化してきた流れがあり、新設法人・外国籍・非居住者・実体の見えにくい事業所という要素が重なるほど、確認に時間がかかり慎重な審査になりやすいと説明されています。実務的な対応としてよく紹介されているのは、日本に居住する人を役員(取締役・代表社員)として加えるという方法です。代表者が全員海外在住のままだと口座開設のハードルが高いため、日本在住の役員を1人置くことで審査が通りやすくなるという整理です。

ここが要点

「登記ができること」と「銀行口座が開けること」は別の話です。 登記だけなら代表者全員が海外在住でも通りますが、その後の実務(法人口座・税務署への届出対応・取引先からの信用)まで見据えるなら、日本在住の協力者を役員に加えるかどうかを設立前に検討しておく必要があります。

経営管理ビザは必要になるか

「海外在住のまま日本の会社の代表者になる」ことと、「日本に来て会社を経営する」ことは、在留資格の扱いが異なります。出入国在留管理庁の整理では、日本法人の代表取締役に就任し、その法人から報酬が支払われる場合、短期間の来日であっても「経営・管理」の在留資格(経営管理ビザ)に該当するとされています。一方で、代表者に就任していない場合や、就任していても法人から報酬を受け取らない場合は、短期滞在の在留資格で来日することになります(出入国在留管理庁、行政書士事務所の解説記事にもとづく整理。2026年9月確認)。

つまり、海外に住んだまま来日せず、名前だけ代表者として登記して報酬も受け取らないという形であれば、経営管理ビザは直接の対象になりません。 一方で、実際に日本に来て経営に参画し、会社から報酬を得る場合には経営管理ビザの取得が必要になります。経営管理ビザの上陸基準は2025年10月16日に改正され、資本金等の要件が500万円以上から3,000万円以上に引き上げられ、常勤職員も「2名以上」の選択制から「1名以上」の必須要件に変わりました(出入国在留管理庁)。改正前から在留している人には2028年10月16日までの経過措置があります(出入国在留管理庁)。経営管理ビザの取得を検討する段階になったら、出入国在留管理庁の最新の公表資料か、入管業務を扱う行政書士に個別に確認してください。

制度上できることと、実務で通ることを比較する

論点 制度上の扱い 実務上の注意点
代表者の住所 全員が海外在住でも設立登記できる(法務省・2015年通達) 特になし
発起人・取締役の証明書類 印鑑証明書の代わりに署名証明書(サイン証明書)で代替できる 在外公館の予約・郵送で準備に時間がかかる
本店所在地 日本国内の住所であれば制限なし。バーチャルオフィス可 海外の住所は本店所在地にできない
法人名義の銀行口座 制度上の禁止規定はない 代表者全員が海外在住のままだと実務上開設が難しいとされる
経営管理ビザ 来日せず報酬も受け取らなければ対象外 実際に来日して経営・報酬を受け取るなら必要

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、日本国内に住んだまま合同会社の設立準備を進めている当事者で、海外在住のまま会社を作った実体験はありません。この記事で書いた内容は、法務省・出入国在留管理庁の公表資料と、行政書士・税理士など専門家による解説記事を調査した範囲でまとめたものです。実際に海外在住のまま設立を進める場合は、書類の準備期間や銀行口座の審査状況など、この記事だけでは分からない個別の事情が出てくるはずなので、司法書士・行政書士に早めに相談することをおすすめします。

チェックリスト:海外在住のまま会社を作る前に確認すること

海外在住のまま設立を進める場合、以下を1つずつ確認してください。

  • □ 代表者(取締役・社員)全員の署名証明書(サイン証明書)を、どこの機関で取得するか決めているか(本国の大使館・領事館か、公証人か)
  • □ 署名証明書の取得にかかる期間を、在外公館の予約状況を含めて確認したか
  • □ 本店所在地を日本国内のどこに置くか(自宅・レンタルオフィス・バーチャルオフィスなど)決めているか
  • □ 法人名義の銀行口座開設について、日本在住の役員を加える必要があるかどうかを検討したか
  • □ 開設を予定している金融機関に、非居住者代表者の法人口座について事前に相談したか
  • □ 実際に来日して経営に参画し報酬を受け取る予定があるかどうか、そしてその場合に経営管理ビザが必要になるかどうかを整理したか
  • □ 司法書士・行政書士など、海外在住者の会社設立を扱った実績のある専門家に相談する予定を立てたか

次にやること

まず、法人名義の銀行口座をどう開けるかを先に検討してください。 代表者の住所要件は制度上クリアされていますが、口座開設は実務上の壁として残っているため、日本在住の協力者を役員に加えるかどうかをここで決めておくと、その後の書類準備や本店所在地の選定もスムーズに進みます。方針が固まったら、海外在住者の会社設立を扱った実績のある司法書士・行政書士に、必要書類の一覧と想定スケジュールを個別に確認してください。


※本記事は2026年9月9日時点で調査した法務省・出入国在留管理庁の公表情報と、行政書士・税理士等による解説記事にもとづくものです。個別の判断は司法書士・行政書士・税理士にご確認ください。

出典 - 外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について|法務省(代表取締役全員が海外居住でも設立登記を申請できること、日本人であることも要件でないこと、署名証明書の発行機関の種類を確認。2026年9月確認) - 平成27年3月16日民商第29号通知(代表取締役のうち最低1人は日本に住所を有していなければならないという従前の取り扱いが廃止された旨。外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について|法務省に通知番号・日付の明記があることを確認。2026年9月確認) - Q5. 外国人や外国会社は、発起人になることができますか。|日本公証人連合会(海外在住の発起人はサイン証明書(署名証明書)を印鑑証明書の代わりに提出すること、本国の公証人または大使館・領事館で発行されることを確認。2026年9月確認) - 本店所在地は会社法911条3項3号により株式会社の設立登記の登記事項とされているが、住所の種類(バーチャルオフィスか否か)を制限する規定は同条文には見当たらない。この「制限がない」という整理は法務省・消費者庁の一次資料には直接の記載がなく、複数のバーチャルオフィス事業者・司法書士事務所の解説記事の一致にもとづく(2026年9月確認) - 代表者全員が海外在住のままだと法人名義の銀行口座開設が実務上難しいこと、日本在住の役員を加える対応が取られていることについて、複数の税理士・行政書士事務所の解説記事で確認(2026年9月確認。金融機関ごとの個別審査基準は非公表のため、確定的な基準ではない) - 外国人経営者の在留資格基準の明確化について|出入国在留管理庁在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について|出入国在留管理庁(2025年10月16日施行で資本金等の要件が500万円以上から3,000万円以上に、常勤職員要件が「2名以上」の選択制から「1名以上」の必須要件に変わったこと、改正前から在留する人には2028年10月16日までの経過措置があることを確認。2026年9月確認) - 日本法人の代表取締役に就任し報酬を受け取る場合は短期滞在でも経営管理ビザに該当し、就任していない・報酬を受け取らない場合は対象外であることについて、行政書士事務所の解説記事で確認(2026年9月確認)

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会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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