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役員報酬は設立初月を日割りで払うか

この記事の内容
  1. 設立初月の日割りは、そもそも必要なのか
  2. 初年度は「3か月以内」に決めないと、何が困るのか
  3. 日割りにすると、「同額」のルールに引っかかるのか
  4. 日割りの計算例|設立日が11月16日の場合
  5. 社会保険料は、設立月から払うのか
  6. 初年度の金額は、どう決めればいいのか
  7. 設立初月の役員報酬チェックリスト
  8. 次にやること
  9. 参考

月の途中で会社を作った人が迷うのが、設立した月の役員報酬です。 日割りで払うのか、その月は払わないのか。この記事は、法人を作ったばかりの(またはこれから作る)一人社長に向けて、初年度の決め方を整理します。

結論を先に置きます。 - 初年度の役員報酬は、設立の日から3か月以内に決める(国税庁 No.5211) - 設立初月の日割りは、法律で「払わなければならない」ものではない。会社が決めること - 日割りにするかは、初月の端数の扱いと、社会保険料の発生の2点で決める

つまり、初月の扱いより「いつ・いくらを決めたか」を議事録に残すほうが大事です。

設立初月の日割りは、そもそも必要なのか

必要ではありません。 役員報酬は、会社と役員の間で「いくら払うか」を決めて払うものです。日割りを義務づける条文は、調べた範囲では見当たりませんでした(2026年10月確認)。

選べる形は3つあります。

  • A: 設立日から日割りで払う(初月だけ少ない額)
  • B: 設立月は払わず、翌月から毎月同額を払う
  • C: 設立月から満額を払う

「日割りにしないと違法」ということはありません。 ただ、税金の面では、あとで説明する「同額」のルールがあるので、どれでも同じとは言い切れません。

初年度は「3か月以内」に決めないと、何が困るのか

役員報酬は、原則として会社の経費(損金)になりません。 例外として経費にできる形の1つが「定期同額給与」です。1か月以下の一定の期間ごとに、毎回同じ額を払う給与のことです(法人税法34条1項、国税庁 No.5211)。

設立1期目は、設立の日から3か月以内に最初の金額を決めれば、この形として扱われます(国税庁 No.5211)。 決めずに払い始めたり、3か月を過ぎてから決めたりすると、あとで「同額のルールを満たさない」と見られる恐れがあります。

期の途中の変更ルールは、別の記事で整理しています。 → 役員報酬の変更はいつできるか|期首3ヶ月ルール

日割りにすると、「同額」のルールに引っかかるのか

ここが一番気になるところだと思います。初月だけ額が違うからです。

日割りの初月(たとえば15万円)と、翌月以降(30万円)。 見た目は「毎回同じ額」ではありません。

ただ、設立月は、そもそも1か月に満たない期間です。 この端数の月を日割りにしたとき、税務上どう扱われるかは、この記事では国税庁の公開資料で確かめられていません。【各自確認:日割りの初月が定期同額給与に当たるかを、顧問税理士または所轄の税務署に】

確認できていない以上、ここで「問題ない」「問題がある」とは書けません。 安全側に倒すなら、次の2つの選び方があります。

  • 税理士か税務署に、日割りの初月で定期同額給与になるかを聞く
  • 初月は払わず、翌月から期末まで同額にする(B案)。この形でも、決める前に同じ窓口で確かめておくと安心です

どちらも、決める前に一言確認すれば足ります。 初月の十数万円で悩み続けるより、聞いて終わらせるほうが早いです。

日割りの計算例|設立日が11月16日の場合

仮に次の条件で計算します。

  • 設立日: 11月16日、決算日は翌年10月31日(設立1期目は約11.5か月)
  • 毎月の役員報酬: 30万円
  • 日割りは暦日で計算(11月は30日)
案 初月(11月)の支給 12月〜10月(11か月) 初年度の合計
A: 日割り 15万円 330万円 345万円
B: 初月は払わない 0円 330万円 330万円
C: 満額 30万円 330万円 360万円

計算の中身です。 - A: 11月16日〜30日は15日間。30万円 × 15日 ÷ 30日 = 15万円。15万円 + 30万円 × 11か月 = 345万円 - B: 30万円 × 11か月 = 330万円 - C: 30万円 × 12か月 = 360万円

AとBの差は15万円です。 初年度の金額としては小さいですが、同じ会社が払う社会保険料や源泉所得税にも、少しずつ響きます。

日割りの計算方法(暦日か、営業日か)は、法律で決まっていません。決めたら、議事録に書いておきます。

社会保険料は、設立月から払うのか

法人は、社長ひとりでも社会保険(健康保険・厚生年金)の強制適用事業所になります(健康保険法3条3項、厚生年金保険法6条)。 役員報酬が出る社長は、被保険者になります。

保険料は月単位です。厚生年金は資格を取得した月から数え、各月につき保険料を取ります(厚生年金保険法19条1項・81条2項)。健康保険も、保険料は各月につき計算します(健康保険法156条)。月の途中で資格を取っても、日割りにする定めはありません(e-Gov法令検索で条文を確認、2026年10月4日)。 設立月に報酬を払うかどうかで、この月の保険料の扱いが変わる可能性があります。

また、報酬をゼロにすると、社会保険に入れなくなるケースがあります。 くわしくは、こちらの記事に整理しました。 → 役員報酬を無報酬にできるか|社会保険に入れなくなる問題

退職してすぐ会社を作る人にとっては、国保・任意継続との切り替えにも関わります。 お金の話は、不安になりやすい部分です。ここは1人で抱えず、年金事務所の窓口か社労士に聞いて大丈夫です。

初年度の金額は、どう決めればいいのか

日割りにするかより先に、「月額をいくらにするか」を決めます。 決め方の考え方は、次の記事にまとめています。 → 役員報酬の決め方|社会保険料と税金のバランス

初年度は売上が読みにくいので、最初は低めに置く人が多いようです(調査した範囲の一般的な説明です)。 ただ、後から上げる場合は、期首3か月のルールが壁になります。 下げやすく、上げにくい。この非対称を知ったうえで決めておくと、あとで困りません。

設立初月の役員報酬チェックリスト

設立から3か月以内に、次を1つずつ確かめてください。

□ 設立日と決算日が決まっていて、設立1期目が何か月あるか分かっている □ 役員報酬の月額を決めた(株主総会または社員総会の決議。会社法361条1項) □ 設立初月は、日割り・払わない・満額のどれにするか決めた □ 日割りにする場合、計算方法(暦日など)を決めた □ 決議の日付・金額・支給開始月を、議事録に書いた □ 初月の扱いが定期同額給与に当たるか、税理士か税務署に確認した □ 社会保険の加入手続き(年金事務所)のスケジュールを確認した □ 給与の支払いが始まったら、源泉所得税の手続きを確認した(給与支払事務所等の開設届出書など)

1つ目から順に埋めれば、迷う箇所は2〜3個に減ります。

次にやること

設立日から数えて、3か月後の日付をカレンダーに入れてください。 その日までに、役員報酬の月額と設立初月の扱いを決議して、議事録に残します。 日割りで迷ったら、決める前に税理士か税務署に1回だけ聞いてください。

参考

  • 国税庁 タックスアンサー No.5211 役員に対する給与
  • 法人税法34条1項
  • 会社法361条1項
  • 健康保険法3条3項、厚生年金保険法6条

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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