会社の税金カレンダー
- 法人税・地方法人税の確定申告・納付期限は各事業年度終了の日の翌日から2月以内(法人税法74条1項)
- 消費税の確定申告・納付期限も課税期間終了の日の翌日から2月以内(消費税法45条1項)
- 源泉所得税は原則、徴収した月の翌月10日までに納付するが、給与の支給人員が常時10人未満なら納期の特例により年2回(1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日)にまとめられる(所得税法183条1項・216条)
- 住民税の特別徴収も原則は徴収月の翌月10日納入だが、常時10人未満の事業所は納期の特例で年2回(6〜11月分を12月10日、12〜5月分を6月10日)にできる(地方税法321条の5・321条の5の2)
- 社会保険料は対象月の翌月末日までに納付(健康保険法164条・厚生年金保険法82条)
- 労働保険料は毎年6月1日から7月10日までに前年度の精算と当年度の概算申告・納付を行う年度更新で処理し、概算保険料が一定額以上なら7月10日・10月31日・1月31日の3期に分割できる(労働保険の保険料の徴収等に関する法律15条)
- 固定資産税の標準的な納期は4月・7月・12月・2月中で市町村の条例により定められる(地方税法362条)
- 償却資産は毎年1月31日までにその年1月1日時点の所有状況を市町村に申告する(地方税法383条)
この記事の内容
この記事は、会社を設立したばかりで、1年を通してどのタイミングで何の税金・保険料の支払いが発生するのか全体像がつかめていない一人社長・小規模法人の経営者に向けて書いています。 結論を先に言うと、会社にかかるお金は「決算月に連動して動くもの(法人税・消費税・法人住民税など)」と「暦で日付が固定されているもの(源泉所得税・住民税の特別徴収・社会保険料・労働保険・固定資産税)」の2種類に分かれます。この2つを分けて把握すれば、資金繰りの見通しは立てやすくなります。以下、条文の出どころつきで順に整理します。
- 会社を設立したばかりで、1年間にどの税金・保険料がいつ発生するのか全体像が分からない
- 決算月が3月でない会社の場合、税金の支払いタイミングが世間で言われる「3月・5月」と違うのではないかと不安がある
- 源泉所得税や社会保険料など、決算と関係なく毎月・毎年決まった日に発生するお金の管理が漏れそうで怖い
結論:税金・保険料は「決算連動型」と「暦固定型」の2種類
会社にかかるお金の支払いタイミングは、大きく2つのグループに分けて考えると整理しやすくなります。
決算連動型は、会社の決算月によって申告・納付の月がずれます。法人税・地方法人税・消費税・法人住民税・法人事業税がこれにあたり、いずれも「事業年度終了の日の翌日から2月以内」が基準です(法人税法74条1項、消費税法45条1項)。暦固定型は、会社の決算月に関係なく、暦の上で日付が決まっています。源泉所得税・住民税の特別徴収・社会保険料・労働保険料・固定資産税がこれにあたります。
「3月決算・5月申告」という言い方をよく聞きますが、これは決算月が3月の会社の場合の話であって、決算月が違えば申告・納付の月もそのままずれます。まず自社の決算月を基準に考えることが出発点になります。
決算連動型①:法人税・地方法人税
法人税(および地方法人税)の確定申告書は、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に提出し、同じ期限までに納付します(法人税法74条1項)。たとえば3月決算の会社であれば、申告・納付の期限は5月末です。定款等の定めにより株主総会が2月以内に開催できない場合など、一定の要件を満たすと申告期限を1月延長できる特例もあります(法人税法75条の2)。ただし、この延長特例は申告書の提出期限だけが対象で、納付自体の期限は延長されません(延長された期間分の利子税が別途かかります)。
一定規模以上の会社には、期中に「中間申告」の義務も発生します。前事業年度の確定法人税額をもとに計算した金額(前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除し、6を乗じた金額)が10万円を超える場合、事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内に中間申告書を提出し、納付します(法人税法71条1項)。3月決算の会社であれば、11月末が中間申告・納付の期限です。この基準額が10万円以下であれば、中間申告書の提出は不要です(同項ただし書)。
決算連動型②:消費税
消費税(および地方消費税)の確定申告・納付期限も、法人税と同じく課税期間終了の日の翌日から2月以内です(消費税法45条1項)。法人税の申告期限の延長特例を受けている法人は、「消費税申告期限延長届出書」を提出することで、消費税の確定申告期限も1月延長できます(消費税法45条の2)。延長には別途この届出書の提出が必要で、法人税の特例を受けているだけでは自動的に延長されない点に注意してください。
消費税にも中間申告の制度があり、前課税期間の確定消費税額(国税部分)に応じて回数が変わります。
| 前課税期間の確定消費税額(国税部分) | 中間申告の回数 | 各回の納付時期の目安 |
|---|---|---|
| 48万円以下 | 原則不要 | ― |
| 48万円超400万円以下 | 年1回 | 課税期間開始後6月を経過した日から2月以内 |
| 400万円超4,800万円以下 | 年3回 | 3月ごとの中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 1月ごとの中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内 |
(消費税法42条・43条)
事業を始めたばかりの会社は前課税期間の実績がないため、設立1期目・2期目は原則として中間申告は発生しません。売上が伸びて納税額が増えてきた段階で、資金繰り上のインパクトとして意識しておく必要があります。
決算連動型③:法人住民税・法人事業税
法人住民税(道府県民税・市町村民税)と法人事業税も、法人税と同じタイミング、つまり事業年度終了の日の翌日から2月以内に申告・納付します(地方税法53条1項、地方税法321条の8第1項、地方税法72条の25第1項)。実務上は、法人税の申告と合わせて同時期に処理することがほとんどです。
法人住民税のうち「均等割」は、その事業年度の所得の有無にかかわらず、資本金等の額や従業員数に応じた一定額が課されます(地方税法52条、地方税法312条)。赤字の年であっても納付義務があるため、決算連動型の中でも特に見落としやすい項目です。均等割の具体的な金額の考え方は範囲が広いため、この記事では触れず、別の記事で扱います。
暦固定型:源泉所得税・住民税特別徴収・社会保険料・労働保険
ここからは、決算月に関係なく暦の上で日付が決まっている支払いです。従業員(社長本人を含む役員報酬も対象)を雇う・役員報酬を出す時点で発生します。
| 項目 | 原則の納付期限 | 特例を使った場合の納付期限 |
|---|---|---|
| 源泉所得税 | 徴収した月の翌月10日(所得税法183条1項) | 常時10人未満の場合、納期の特例により年2回:1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日(所得税法216条) |
| 住民税の特別徴収 | 徴収した月の翌月10日(地方税法321条の5) | 常時10人未満の場合、納期の特例により年2回:6〜11月分は12月10日、12〜5月分は6月10日(地方税法321条の5の2) |
| 社会保険料(健康保険・厚生年金) | 対象月の翌月末日(健康保険法164条・厚生年金保険法82条) | 特例なし |
| 労働保険料(労災・雇用保険) | 毎年6月1日から7月10日までに前年度精算+当年度概算の年度更新(労働保険の保険料の徴収等に関する法律15条) | 概算保険料が一定額以上の場合、7月10日・10月31日・1月31日の3期に分割納付可 |
源泉所得税と住民税特別徴収の「納期の特例」は、どちらも税務署・市区町村への事前の申請と承認が必要です。 何もしなければ原則どおり毎月納付になります(源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、地方税法321条の5の2)。年2回にまとめると資金繰りが楽になる一方、まとめた分だけ1回あたりの納付額は大きくなるため、資金を計画的に確保しておく必要があります。
労働保険料は、常時雇用する従業員がいる会社に発生します。役員報酬のみで従業員を雇っていない一人社長の会社であれば、原則として労働保険の適用対象にはなりません。
固定資産税・償却資産税:不動産や事業用資産を持つ場合
会社名義で不動産を所有している場合、固定資産税がかかります。標準的な納期は4月・7月・12月・2月中で、実際の納期日は市町村の条例で定められるため自治体によって異なります(地方税法362条)。自社の納税通知書で必ず確認する必要があります。
パソコンや什器備品などの事業用資産(償却資産)を所有している場合は、毎年1月31日までに、その年1月1日時点で所有している償却資産の状況を、資産の所在地の市町村に申告する義務があります(地方税法383条)。これは納税ではなく申告の義務であり、この申告内容にもとづいて後日、固定資産税(償却資産分)の納税通知書が送られてくる流れです。
3月決算の会社を例にした1年分の一覧表
決算連動型と暦固定型を組み合わせると、3月決算・従業員数が少なく源泉所得税と住民税特別徴収について納期の特例の承認を受けている会社の場合、おおむね次のような1年になります。決算月が違えば、決算連動型の欄はそのままスライドします。
| 時期 | 発生する主な支払い |
|---|---|
| 5月 | 前期分の法人税・地方法人税・消費税・法人住民税・法人事業税の申告・納付 |
| 6月 | 前年12月〜当年5月分の住民税特別徴収(納期の特例。6月10日) |
| 6月1日〜7月10日 | 労働保険の年度更新(前年度精算+当年度概算) |
| 7月10日 | 1〜6月分の源泉所得税(納期の特例)/労働保険料の分割納付第1期(該当する場合) |
| 10月31日 | 労働保険料の分割納付第2期(該当する場合) |
| 11月 | 当期の法人税・消費税の中間申告・納付(該当する場合) |
| 12月 | 6〜11月分の住民税特別徴収(納期の特例。12月10日) |
| 1月20日 | 7〜12月分の源泉所得税(納期の特例) |
| 1月31日 | 償却資産の申告/労働保険料の分割納付第3期(該当する場合) |
| 4月・7月・12月・2月中(市町村の条例による) | 固定資産税(不動産を所有している場合) |
| 毎月末日 | 社会保険料(健康保険・厚生年金。従業員・役員報酬がある場合) |
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点ではまだ登記が完了しておらず、上記の税金・保険料を自分の会社として実際に納付した経験はありません。そのため、この記事は自分が体験した記録ではなく、各法令・通達の一次情報を調査して整理したものです。設立後、実際に納付を経験した段階で、想定と違った点や、資金繰り上つまずいた点があればこの記事に追記します。
次にやること
まず、自社の決算月を基準に、法人税・消費税・法人住民税・法人事業税の申告・納付期限(決算月の2か月後の末日)をカレンダーに書き込んでください。 そのうえで、従業員や役員報酬がある場合は源泉所得税と社会保険料の支払月を毎月の固定予定として登録し、源泉所得税と住民税特別徴収について納期の特例を使うかどうかを税務署・市区町村への申請状況とあわせて確認してください。固定資産税・償却資産税は、自治体から届く納税通知書・申告案内の実際の日付で上書きしてください。中間申告の要否や均等割の具体的な金額など、自社の数字にもとづく判断が必要な部分は、顧問税理士に確認することをお勧めします。
※本記事は2026年9月6日時点で確認した法令・国税庁公式情報・各自治体の公開情報と、筆者個人の状況に基づくものです。実際の申告・納付期限や納期の特例の承認要件は、事業年度・従業員数・自治体の条例によって変わるため、実際の判断は顧問税理士・社会保険労務士にご確認ください。
出典 - 法人税法 第74条 第1項(確定申告書の提出期限。事業年度終了の日の翌日から2月以内) - 法人税法 第75条の2(確定申告書の提出期限の延長の特例) - 法人税法 第71条 第1項(中間申告。前事業年度の確定法人税額をもとにした金額が10万円を超える場合の提出義務) - 消費税法 第45条 第1項(確定申告書の提出期限。課税期間終了の日の翌日から2月以内) - 消費税法 第45条の2(法人の確定申告書の提出期限の特例。「消費税申告期限延長届出書」の提出により1月延長) - 消費税法 第42条・第43条(中間申告。前課税期間の確定消費税額に応じた48万円・400万円・4,800万円の基準) - 地方税法 第53条 第1項、第321条の8 第1項、第72条の25 第1項(法人住民税・法人事業税の申告納付期限) - 地方税法 第52条、第312条(法人住民税均等割。所得の有無にかかわらず課される旨) - 所得税法 第183条 第1項(源泉徴収した所得税の納付期限。原則、徴収した月の翌月10日) - 所得税法 第216条(源泉所得税の納期の特例。常時10人未満の場合の年2回納付) - 地方税法 第321条の5(特別徴収した住民税の納入期限。原則、徴収した月の翌月10日) - 地方税法 第321条の5の2(住民税特別徴収の納期の特例。常時10人未満の場合の年2回納入) - 健康保険法 第164条、厚生年金保険法 第82条(社会保険料の納付期限。対象月の翌月末日) - 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第15条(労働保険料の年度更新・概算保険料の分割納付) - 地方税法 第362条(固定資産税の納期。標準として4月・7月・12月・2月中で市町村の条例により規定) - 地方税法 第383条(償却資産の申告義務。毎年1月31日までにその年1月1日時点の所有状況を申告)