税理士の探し方と変え方
- 税理士の探し方には知人紹介・税理士紹介サービス・税理士会への相談・Web検索や広告・会計ソフト提携紹介の5つがあり、税理士紹介サービスは紹介先の税理士側が手数料を負担する仕組みのため利用者側の負担は原則ない
- 税理士紹介サイトの利用自体は、税理士でない者が税理士業務を行うことを禁じた税理士法第52条の「税理士業務」には当たらず、紹介業として成立している(税理士法第52条は無資格者の税務相談・申告代理等を禁止する規定であり、紹介の斡旋そのものを禁じてはいない)
- 顧問契約の多くは委任(準委任)契約にあたり、民法上は委任者・受任者のどちらからでもいつでも解除できるが、相手方に不利な時期に解除した場合はやむを得ない事由がない限り損害賠償の義務を負う(民法第651条第1項・第2項)
- 契約解除時、受任者(税理士)は委任事務にあたって受け取った金銭その他の物を委任者(依頼者)に引き渡す義務を負う(民法第646条第1項)ため、預けた資料・データの返却を求める権利がある
- 税理士変更のベストタイミングは決算申告の直後とされる(前年度の申告が完了し、新年度の記帳がまだ本格化していない切れ目のため)
- 変更時は新しい税理士が税務代理権限証書を税務署に提出し、e-Taxの利用者識別番号にひもづく代理人設定も変更する必要がある
この記事の内容
この記事は、起業したばかりで税理士をこれから探す人、そしてすでに顧問税理士がいるが「なんとなく合わない」と感じている一人社長・小さな会社の経営者に向けて書いています。 結論から言うと、税理士の探し方には知人紹介・紹介サービス・税理士会・Web検索という主に4つのルートがあり、変えるときは決算申告の直後を選び、資料の返却と税務代理権限証書の切り替えさえ押さえれば手続き自体は難しくありません。以下、探し方の比較、良い税理士の見極め方、変えるタイミング、解約から引き継ぎまでの手順の順に整理します。
- これから起業するが、税理士をどこで探せばいいのか見当がつかない
- 今の税理士は連絡が遅い、質問しても一般論しか返ってこない気がするが、変えていいものか迷っている
- 税理士を変えると角が立ちそうで、言い出し方が分からない
結論:探し方は4ルート、変え方は決算直後がねらい目
税理士の探し方は、大きく分けて次の4つです。
- 知人・取引先からの紹介
- 税理士紹介サービス(マッチングサイト)の利用
- 税理士会への相談
- Web検索・広告・会計ソフト提携紹介から自分で探す
そして、すでにいる税理士を変えたいと考えたときは、決算申告が終わった直後が動き出すタイミングとして挙げられることが多いです。前年度の申告という一区切りがついていて、新年度の記帳がまだ本格化していない切れ目にあたるためです。契約は法律上、双方いつでも解除できますが(民法第651条第1項)、資料の引き継ぎや新しい税理士への切り替えには一定の実務が発生するため、思い立ってすぐより、この区切りを待ったほうが混乱が少なくなります。
税理士の探し方|4つのルートを比較する
それぞれのルートには、確認のしやすさとスピードの面でトレードオフがあります。
| 探し方 | 実際の相性の分かりやすさ | スピード | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 知人・取引先の紹介 | 紹介者の実体験を聞けるため比較的分かりやすい | 紹介者次第で遅くなることもある | 周囲に同業種・近い規模の経営者がいる人 |
| 税理士紹介サービス | 複数名から選べるが、紹介文だけでは実際の相性は分からない | 早い(数日で候補が出ることが多い) | 早く決めたい人、比較検討したい人 |
| 税理士会への相談 | 資格・懲戒歴の有無は確認できるが、相性までは分からない | 相談窓口の対応次第 | 中立的な立場からの案内を求める人 |
| Web検索・会計ソフト提携紹介 | 発信内容から専門分野の傾向はつかめる | 自分で調べる分、時間がかかる | 特定の業種・分野に強い税理士を探したい人 |
どのルートも一長一短があるため、1つのルートだけで決めず、複数の候補と実際に話してから選ぶことをおすすめします。特に紹介サービスや広告経由の場合は、紹介文や実績だけで判断せず、面談で自社の業種・規模・相談したい内容を具体的に伝え、その場での回答の的確さを確認する価値があります。
税理士紹介サービスは無料なのに、なぜ成り立つのか
税理士紹介サービスの多くは「利用者側の費用負担は原則なし」を掲げています。これは、紹介先の税理士事務所側が紹介手数料をサービス運営会社に支払う仕組みになっているためです。利用者は登録から紹介、契約に至るまで料金がかからないというビジネスモデルが一般的とされています(調査した範囲の複数の紹介サービス事業者・比較サイトの説明による。2026年9月6日確認)。
こうした紹介業自体の適法性を疑問視する声もありますが、税理士法第52条が禁じているのは「税理士又は税理士法人でない者」が税務代理・税務書類の作成・税務相談などの税理士業務そのものを行うことであり、税理士を引き合わせる紹介・斡旋行為はこれらに該当しないため、この禁止の対象には当たらないとされています(税理士法第52条、国税庁「にせ税理士にご注意」で税理士業務の範囲を確認。紹介・斡旋行為が対象外である整理は税理士紹介事業者側の解説記事による)。友人・知人が「いい税理士がいるから紹介する」という行為が違法にならないのと同じ整理です。
「無料」だからといって紹介される税理士の質が保証されているわけではありません。 紹介手数料は税理士側の営業コストの一部であり、依頼者側の見極めが不要になるわけではない点は変わりません。
良い税理士を見極める質問リスト
面談の場では、次のような質問をしてみると、実際に付き合ったときの相性が見えやすくなります。
- 自分の業種・事業規模の顧問先は何社くらいあるか
- 質問したときの返信は、だいたい何営業日以内が目安か
- 顧問料に含まれる業務の範囲(記帳代行を含むか、月次面談の頻度、決算申告料は別途か)
- クラウド会計ソフトの対応可否と、使っているソフトの種類
- 資金調達(融資・補助金)の相談にどこまで応じてもらえるか
逆に、この場で金額や対応範囲をあいまいにしか答えない税理士は、契約後にも同じあいまいさが続く可能性がある、という点は判断材料として押さえておく価値があります。
「合わない」と感じたときに確認すること
すでに顧問税理士がいて「合わない」と感じている場合、その違和感が具体的にどこから来ているのかを一度切り分けてみることをおすすめします。
- 連絡や返信が遅く、こちらの状況説明に時間がかかっている
- 聞いたことに対して、一般論しか返ってこない、または「調べておきます」で止まる
- 自社の業種・事業フェーズに合った提案(節税・資金調達・補助金など)が出てこない
- 月次の試算表や数字の説明を求めても、機械的な報告で終わる
こうした点が複数当てはまる場合は、税理士を変えることを検討する材料になります。ただし、忙しい時期にたまたま対応が遅れただけ、という可能性もあるため、変える前に一度率直に不満を伝えて改善が見られるかを確認する、という段階を挟む考え方もあります。
税理士を変えるベストタイミング
税理士の変更は、法人税・所得税の確定申告が終わった直後が動きやすいタイミングとして紹介されることが多いです(複数の税理士事務所・会計事務所の解説記事による。2026年9月6日確認)。理由は次のとおりです。
- 前年度分の申告という一区切りがついており、途中で担当を引き継ぐより情報の切れ目がはっきりしている
- 新年度の記帳がまだ本格化していないため、引き継ぎの過渡期に記帳が二重管理になりにくい
- 決算期の直前・最中に変更すると、申告期限に間に合わなくなるリスクが相対的に高い
逆に、決算期の直前や申告期限が迫っている時期の変更は、新しい税理士が短期間で状況を把握しきれず、期限に間に合わないリスクが上がるため避けたほうがよい、という指摘が複数の解説記事で共通しています。
変え方の手順|解約通知から引き継ぎまで
税理士を変える際の実務上の流れは、おおむね次のとおりです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 新しい税理士の目処を立てる | 空白期間を作らないよう、次の税理士候補と話を進めてから解約に動く |
| 2. 現在の税理士に解約の意思を伝える | 契約書に解約予告期間の定めがあれば従う。定めがなければ、決算・申告のタイミングを踏まえて早めに伝える |
| 3. 資料・データの返却を請求する | 総勘定元帳・仕訳帳・試算表・請求書や領収書などの原本・データの返却時期を明確にする |
| 4. 税務代理権限証書を差し替える | 新しい税理士が、税務署に対して新たに税務代理権限証書を提出する |
| 5. e-Taxの代理人設定を確認・変更する | e-Taxの利用者識別番号にひもづく税理士(代理人)の登録内容を、新しい税理士とともに確認する |
資料の返却時期や範囲は、契約や事務所の実務によって差があるため、解約を伝える段階で「いつまでに、何を、どの形式(紙かデータか)で受け取れるか」を具体的に確認しておくと、引き継ぎの過渡期に記帳が止まる事態を避けやすくなります(具体的な手続きの流れは複数の税理士事務所・会計サービスの解説記事による。2026年9月6日確認。個々の契約内容・事務所の実務によって異なるため、実際の解約時期・返却方法は現在の顧問税理士に確認してください)。
解約は法律上できるのか|委任契約という位置づけ
顧問税理士との契約の多くは、法律上「委任」または「準委任」にあたる契約と位置づけられます。民法上、委任契約は当事者間の信頼関係を基礎とする契約であるため、委任者(依頼者)・受任者(税理士)のどちらからでも、いつでも解除できるとされています(民法第651条第1項)。
ただし、次の場合は損害賠償の義務が生じるとされています(民法第651条第2項)。
- 相手方に不利な時期に契約を解除したとき
- 委任者の利益だけでなく受任者の利益にもなる委任を、委任者が解除したとき
いずれも「やむを得ない事由があるとき」は除かれます。実務上は、契約書に解約予告期間(1か月前・2か月前など)の定めがあるケースが多く、その場合はまず契約書の規定に従うのが基本です。
また、契約を解除した際、税理士は委任事務にあたって受け取った金銭その他の物を依頼者に引き渡す義務を負います(民法第646条第1項)。預けた帳簿・領収書・データは、依頼者の所有物として返還を求める権利がある、という位置づけになります。
「解約したいと言い出しにくい」という感情面のハードルと、法律上・契約上できるかどうかは別の話です。 契約書に予告期間の定めがあればそれに従い、なければ決算申告の区切りを待って、早めに伝えるという対応で足ります。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者で、この記事を書いている時点ではまだ顧問税理士と契約しておらず、実際に税理士を「変えた」経験はありません。今はまさに、知人からの紹介と税理士紹介サービスの両方で候補を探している段階です。この記事は、税理士事務所・会計サービスが公開している解説記事と、民法・税理士法の条文を確認して整理したものであり、自分が実際に税理士を変更する過程でつまずいた経験を書いているわけではないことを断っておきます。契約後、実際に税理士とのやり取りで感じたことがあれば追記します。
次にやること
まず、自分が今どちらの立場かをはっきりさせてください。 これから税理士を探すなら、知人紹介と紹介サービスの両方に同時に声をかけ、最低2〜3名と面談してから決めることをおすすめします。すでにいる税理士に違和感があるなら、変える前に一度、感じている不満を具体的に伝えて改善の余地があるかを確認し、それでも解消しないと判断したら、直近の決算申告が終わるタイミングを目安に、資料の返却時期を確認したうえで解約を伝えてください。
※本記事は2026年9月6日時点で調査した内容と、筆者個人の状況に基づくものです。税理士の選定・契約解除の判断は個々の状況によって異なるため、実際の契約内容の確認や解約の手続きは、現在の顧問税理士および契約書の記載を優先してください。
出典 - 民法第651条第1項・第2項(委任の解除) - 民法第646条第1項(受任者による受取物の引渡し等) - 税理士法第52条(税理士業務の制限) - にせ税理士にご注意|国税庁(2026年9月6日確認。税務代理・税務書類の作成・税務相談が税理士業務であり、これを行えるのは税理士・税理士法人・通知弁護士等に限られることを確認。紹介・斡旋行為との違いへの直接の言及はこのページにはない) - 税理士紹介は違法ではない理由と紹介手数料の仕組みを解説|失敗しない税理士選び(2026年9月6日確認。紹介サービスの手数料が税理士側負担である仕組み、紹介・斡旋行為が税理士法上の禁止対象に当たらないとする整理を確認) - 顧問税理士を変更したい…ベストタイミングや手続きの流れ、注意点などを詳しく解説|TOMAコンサルタンツグループ(2026年9月6日確認。変更のベストタイミング・資料回収の実務を確認) - 税理士が代理受領できる電子通知について|e-Tax(国税庁)(2026年9月6日確認。税務代理権限証書とe-Taxの代理人設定に関する制度を確認) - 税理士との顧問契約を解除するには?手順やタイミングを解説|SOVA GROUP(2026年9月6日確認。解約通知・資料返却の実務を確認) - 税理士紹介サービスの手数料相場・具体的な提携条件は事業者ごとに異なるため、本記事では仕組みの一般論のみを記載し、個々の金額には踏み込んでいません(2026年9月6日確認)