設立のあとまで分かる会社設立ガイド 決める前の疑問から、設立のあとの手続きまで
ホーム › 合同会社に出資者(社員)を追加する手続き

合同会社に出資者(社員)を追加する手続き

この記事の結論
  • 合同会社に出資者を加える方法は主に2つあり、①新たに出資をして社員として加入する方法(会社法604条)と、②既存社員の持分の全部または一部を譲り受けて社員になる方法(会社法585条)がある
  • どちらの方法でも、社員の氏名または名称は定款の絶対的記載事項にあたるため定款の変更が必要になる(定款に別段の定めがある場合を除き総社員の同意、会社法637条)
  • 合同会社における新規加入の効力は、定款変更に加えて出資に係る払込み・給付を履行した時に生じる。定款変更時に履行が済んでいなければ、履行を完了した時点で効力が生じる(会社法604条2・3項)
  • 既存社員の持分譲渡による加入は原則として他の社員全員の承諾が必要。ただし業務を執行しない有限責任社員が持分を譲渡する場合は、業務を執行する社員全員の承諾で足りる(会社法585条1・2項)
  • 新たな出資による払込み・給付額は、その全部または一部を資本金ではなく資本剰余金に計上できる。株式会社と異なり2分の1という上限の定めがなく、合同会社は任意の割合で配分できる(会社計算規則30条・31条)
  • 合同会社の登記事項は業務執行社員の氏名等・代表社員の氏名等・資本金の額などに限られ、業務を執行しない一般の社員の氏名・住所は登記事項ではない(会社法914条6・7号)。そのため非業務執行社員が加入し、出資額を全額資本剰余金に計上した場合は変更登記が不要になるケースがある(RSM汐留パートナーズ司法書士法人の解説による)
  • 業務執行社員が加入する場合、または資本金の額が増加する場合は、変更が生じた日から2週間以内に本店所在地の登記所で変更登記をする必要がある(会社法915条1項)。登録免許税は資本金1億円以下の会社で社員変更のみなら1万円(1億円超は3万円)、資本金が増加する場合は増加額の1000分の7を加算する(3万円に満たない場合は3万円。登録免許税法別表第一・二十四、GVA法人登記の整理による)
この記事の内容
  1. 結論:出資者を増やす方法は「新規加入」と「持分譲渡」の2つ
  2. 出資者を追加する2つの方法をまず比較する
  3. 方法1:新たに出資して社員に加入する
  4. 加入の効力はいつ生じるか(合同会社だけの特徴)
  5. 方法2:既存社員の持分の一部を譲り受けて加入する
  6. どちらの方法でも必要になる定款変更の手続き
  7. 新しく加入する社員の責任(有限責任)
  8. 出資額は必ず資本金になるのか
  9. 変更登記が必要になるとき・不要になるとき
  10. 登記の期限と登録免許税
  11. 実体験について、正直に書きます
  12. 計算例:社員が1人増えたときの登録免許税はいくらか
  13. 次にやること

この記事は、合同会社を経営していて、新しく出資してくれる人が見つかった、または既存の社員から持分の一部を譲り受けて事業に加わってもらいたいが、何をどこまで手続きすればいいか整理できていない人に向けて書いています。 結論から言うと、合同会社に出資者を加える方法は「新たに出資をして社員として加入する」方法と「既存社員の持分を譲り受けて加入する」方法の2つがあり、どちらを選んでも定款の変更が必要になります。この記事では、この2つの方法の違い、定款変更の進め方、資本金への計上の仕方、そして変更登記が必要になる場合・不要になる場合の違いを整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 出資してくれる人が見つかったが、合同会社にどうやって加わってもらえばいいか分からない
  • 合同会社の「社員」が従業員ではなく出資者を指すという点が、そもそも紛らわしい
  • 定款変更や登記が必要と聞いたが、何を・いつまでにやればいいのか整理できていない

結論:出資者を増やす方法は「新規加入」と「持分譲渡」の2つ

合同会社に新しく出資者を加える方法は、大きく分けて2つしかありません。1つは、その人が新たに会社へ出資をして、新しい社員として加入する方法(会社法604条)。もう1つは、既に社員である人が持っている持分の全部または一部を、その人に譲り渡してもらう方法(会社法585条)です。 どちらの方法でも、社員の氏名または名称は定款に必ず記載する事項(絶対的記載事項)にあたるため、社員が増える以上は必ず定款の変更が必要になります。 会社にお金が入るかどうか(資本金が増えるかどうか)は方法によって変わりますが、定款変更が要る点は共通です。

ここが要点

「社員を増やす」と「資本金を増やす」は別の話です。 新規加入(方法1)では会社に新しい出資が入るため資本金や資本剰余金が増える可能性がありますが、持分譲渡(方法2)は既存社員が持っていた持分を移すだけなので、会社にお金は入らず資本金も変わりません。

出資者を追加する2つの方法をまず比較する

項目 方法1:新規加入(会社法604条) 方法2:持分譲渡(会社法585条)
会社にお金が入るか 入る(新たな出資) 入らない(既存社員間・第三者間での持分の移転)
資本金・資本剰余金 増える可能性がある 変わらない
必要な同意 総社員の同意による定款変更(会社法637条) 原則、他の社員全員の承諾(業務を執行しない有限責任社員の持分譲渡は業務執行社員全員の承諾で足りる)
効力発生のタイミング 定款変更+出資の払込み・給付の履行完了時 譲渡の合意(および必要な承諾)が整った時

方法1:新たに出資して社員に加入する

新たに社員を加入させること自体は、会社法604条1項で認められています。ただし、加入する社員の氏名または名称は定款の絶対的記載事項のため、加入には定款の変更が必要です。 合同会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって定款を変更できます(会社法637条)。つまり、既存の社員全員が「この人を新しい出資者として迎える」ことに同意し、定款の社員に関する記載を書き換える、という流れになります。

加入の効力はいつ生じるか(合同会社だけの特徴)

ここで合同会社特有の注意点があります。社員の加入は、原則として定款変更をした時点で効力が生じます(会社法604条2項)。 ただし合同会社に限っては、定款変更をした時点で新しい社員となる人がまだ出資の払込み・給付を完了していない場合、履行を完了した時に初めて社員としての効力が生じます(会社法604条3項)。つまり、定款変更前に出資を済ませておけば定款変更と同時に社員になりますが、定款変更のほうが先になった場合は、払込みが完了するまで加入の効力が生じません。これは、合同会社の社員が全員有限責任であることと関係しており、「出資したことにする」だけの名目上の加入が成立しない仕組みになっています。実務上は、定款変更の同意を取ったあと、速やかに出資金の払込みを行い、払込みを証明できる状態(通帳の記録など)を残しておくことが必要です。

方法2:既存社員の持分の一部を譲り受けて加入する

もう1つの方法は、既存の社員が持っている持分の全部または一部を、新しく加わる人に譲り渡してもらう方法です。この場合、社員は他の社員の全員の承諾がなければ、持分の全部または一部を他人に譲渡することができません(会社法585条1項)。ただし例外があり、業務を執行しない有限責任社員が持分を譲渡する場合は、業務を執行する社員全員の承諾があれば足ります(会社法585条2項)。一人合同会社のように社員が1人しかいない会社で持分の一部を他人に譲渡する場合は、その1人(=業務執行社員)自身の判断で進められることになりますが、譲渡に伴って定款の変更が必要になる点は同じです。持分譲渡の場合は会社に新たな出資が入るわけではないため、資本金・資本剰余金は変動しません。

どちらの方法でも必要になる定款変更の手続き

方法1・方法2のいずれであっても、実務の流れは次のようになります。

  1. 既存の社員間で、誰を・どの方法で加入させるかについて合意する
  2. 総社員の同意(方法2で非業務執行社員の持分譲渡の場合は業務執行社員全員の同意)により、定款の社員に関する記載を変更する(会社法637条)
  3. 方法1の場合は、新しい社員が出資の払込み・給付を履行する
  4. 必要に応じて、変更登記を申請する(登記の要否は後述)

定款そのものを公証役場で再認証する必要はなく、社員間の同意によって定款の内容を書き換え、変更後の定款を会社で保管する扱いになります(定款変更に公証人の認証は不要)。

新しく加入する社員の責任(有限責任)

合同会社の社員は、どの方法で加入した場合であっても、出資額を限度とする有限責任です(会社法576条4項、580条2項)。新しく加入する社員も、既存の社員と同じく、出資した金額を超えて会社の債務を負うことはありません。この点は株式会社の株主と同じ立場であり、合名会社の無限責任社員のような追加責任を負うことはありません。

出資額は必ず資本金になるのか

方法1で新たな出資が入る場合、その全額が資本金になるとは限りません。株式会社の場合、出資額の2分の1を超えない範囲でしか資本準備金に回せず、残りの2分の1以上は必ず資本金に計上しなければならない、という制約があります(会社法445条2項・3項)。合同会社を含む持分会社にはこの2分の1という上限の定めがなく、出資された財産の額の全部または一部を資本金にするか資本剰余金にするか、会社が任意の割合で決めることができます(会社計算規則30条・31条)。極端に言えば、新たな出資の全額を資本剰余金に計上し、資本金の額を一切増やさない、という設計も可能です。

ここが要点

出資額を全額資本剰余金に計上すると、登記簿上の資本金額は変わりません。 資本金額を対外的な信用の目安として見せたい場合は資本金に計上し、逆に登記事項を動かしたくない場合や税務上の理由(資本金額に連動する均等割など)で資本金額を抑えたい場合は資本剰余金に計上する、という使い分けが実務上行われています。

変更登記が必要になるとき・不要になるとき

合同会社の登記事項は会社法914条に列挙されており、社員に関わる部分は「業務執行社員の氏名または名称」(同条6号)と「代表社員の氏名または名称・住所」(同条7号)の2つに限られます。業務を執行しない一般の社員(出資はするが経営には関わらない社員)の氏名・住所は、そもそも登記事項ではありません。

ケース 変更登記の要否
新しく加入する人が業務執行社員になる、または代表社員になる 必要(業務執行社員・代表社員の氏名等が変わるため)
新しく加入する人が業務を執行しない一般の社員で、出資額を全額資本剰余金に計上した 不要になりうる(登記事項である資本金の額も、業務執行社員・代表社員の氏名等も変わらないため)
出資額の全部または一部を資本金に計上し、資本金の額が変わった 必要(資本金の額は登記事項のため)

このように、同じ「社員が1人増える」という出来事でも、その人が業務執行社員になるか、出資額をどう計上するかによって、登記が必要かどうかが変わります(RSM汐留パートナーズ司法書士法人の解説による)。登記の要否を誤ると、後から気づいて過料の対象になりかねないため、加入の設計段階で司法書士に確認しておくことをおすすめします。

登記の期限と登録免許税

変更登記が必要になる場合、変更が生じた日から2週間以内に、本店所在地を管轄する登記所で変更登記を行う必要があります(会社法915条1項)。期限を過ぎても登記申請自体は受理されますが、代表者個人が100万円以下の過料の対象になり得ます(会社法976条1号)。

登録免許税は、社員(業務執行社員・代表社員)の変更のみであれば、資本金1億円以下の会社で1万円、1億円を超える会社で3万円です。これに加えて、新たな出資により資本金の額が増加した場合は、増加した資本金の額に1000分の7を乗じた額が加算されます(その額が3万円に満たないときは3万円)(登録免許税法別表第一・二十四(一)、GVA法人登記の解説による整理)。出資額をどれだけ資本金に計上するかによって、この加算額も変わってくることになります。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、社員が私1人の一人合同会社として設立を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点ではまだ登記が完了しておらず、実際に出資者を追加した経験はありません。この記事を調べたきっかけは、将来的に事業に協力してくれる人が現れた場合に、その人を出資者として迎える手続きがどうなっているのかを、設立前のうちに把握しておきたかったためです。現時点の私の会社は社員1人だけなので、この記事で扱った「新規加入」と「持分譲渡」のどちらも実務では未経験です。実際に出資者を迎える段階になったら、どちらの方法を選び、資本金と資本剰余金の配分をどう決めたかを、この記事に追記します。

計算例:社員が1人増えたときの登録免許税はいくらか

「登記の期限と登録免許税」で説明した税率を使い、実際にいくらになるかを確認します。以下の会社の規模・出資額は説明のための仮の数字であり、実在する会社の話ではありません。

前提: - 資本金300万円の合同会社(資本金1億円以下) - 新しい出資者1名が100万円を出資して社員に加入する(方法1:新規加入) - 加入する人は業務執行社員になる(代表社員にはならない) - 出資額100万円の全額を資本金に計上する(資本剰余金には計上しない)

項目 金額 根拠
① 業務執行社員の変更登記 1万円 資本金1億円以下の会社の社員変更登記(登録免許税法別表第一・二十四)
② 資本金増加(100万円)への加算 3万円 増加額100万円×1000分の7=7,000円だが、3万円に満たないため3万円が適用される(登録免許税法別表第一・二十四)
合計 4万円 ①+②

もし出資額100万円の全額を資本剰余金に計上し、資本金を一切増やさなければ、②は発生せず、①の1万円だけで済みます。 ただしこの場合も、加入する人が業務執行社員になる以上、①の変更登記自体は必要です(「変更登記が必要になるとき・不要になるとき」の表を参照)。出資額をどこまで資本金に計上するかは、資本金額を対外的な信用として見せたいかどうかとあわせて、司法書士に相談しながら決めるとよいでしょう。

次にやること

まず、新しく迎える人が「新たに出資をして加入する」のか「既存社員の持分を譲り受ける」のか、どちらの方法になるかを社員間で確認してください。 そのうえで、総社員の同意(または業務執行社員全員の同意)によって定款を変更し、方法1であれば出資の払込みを完了させます。新しく加入する人が業務執行社員になるか、出資額を資本金と資本剰余金にどう配分するかによって変更登記の要否と登録免許税が変わるため、この設計は司法書士に相談したうえで進めることをおすすめします。


※本記事は2026年9月7日時点で調査した会社法・会社計算規則・登録免許税法の条文および実務解説サイトの情報と、筆者個人の状況に基づくものです。定款変更・登記の要否や登録免許税額など個別の判断は司法書士にご確認ください。

出典 - 会社法第585条(持分の譲渡) - 会社法第604条(社員の加入) - 会社法第637条(定款の変更) - 会社法第576条・第580条(社員の責任) - 会社法第445条第2項・第3項(株式会社の資本金・資本準備金への計上) - 会社法第914条(合同会社の登記事項) - 会社法第915条・第976条(変更登記の期限と過料) - 会社計算規則第30条・第31条(資本金の額・資本剰余金の額) - 会社法第604条 社員の加入|法令集 - 合同会社に新たに出資をした社員が加入するときの手続きと登記|RSM汐留パートナーズ司法書士法人 - 合同会社に新たに出資をした場合でも登記が不要であるとき|RSM汐留パートナーズ司法書士法人 - 会社法第585条 持分の譲渡|法令集 - 会社計算規則 第30条 資本金の額|法令集 - 合同会社の出資金は「資本金」にすべき?「資本剰余金」にすべき?|シアエスト司法書士・行政書士事務所 - 商業・法人登記の登録免許税一覧|GVA 法人登記(社員変更登記・資本金増加時の登録免許税額の整理。2026年9月確認)

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

この記事に関係する無料の道具(登録不要・その場で使える)
あわせて読みたい