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美容室の法人化

この記事の内容
  1. 結論:個人から法人へは、条件がそろえば承継届で済む
  2. 法人を作っただけで、届出は引き継がれるのか
  3. 承継届と新規開設届は、何が違うのか
  4. 計算例:3店舗の人が、新規開設扱いになったときの手数料
  5. 文例:個人から法人へ営業を譲る覚書
  6. チェックリスト:法人化の前に保健所へ確かめること
  7. 個人で店を守ってきた人が、不安になるのは自然なこと
  8. 次にやること

個人で美容室を開いている人が、法人にするときに「保健所に出した美容所の届出は、そのまま法人に引き継げるのか」で迷ったときに読む記事だ。新しく届け出直すのか、承継の届出で済むのか、営業を止めなくていいのか、を答える。

「法人にしたら、また検査を受けて、店を休まないといけないのか」と不安になっている人もいると思う。先に言っておくと、条件がそろえば、新規の開設届をやり直さず「承継届」で済む。ただし、その条件は「事業を譲る契約があること」で、法人を作っただけでは満たさない。

結論:個人から法人へは、条件がそろえば承継届で済む

東京都保健医療局の案内(美容所の各種申請・届出手続き)では、営業を譲り受けたときは承継届を出す。この中に「個人⇄法人」が入っている(2026年10月5日確認)。神奈川県の公式ページ(理容所・美容所の開設・変更等手続きについて)には、個人から法人への切替のように事業譲渡がある場合、令和5年12月13日以降の譲渡なら「開設者の地位の承継届」で手続きできる、とある(2026年10月5日確認)。

状況 出す届出
事業譲渡の契約がある(個人→法人など)。譲渡日が令和5年12月13日以降 承継届
事業譲渡の契約がない、または施設を移転・大きく増改築する 新規開設届(東京都の案内では、施設の移転、大規模な増改築、建て替えも新規開設届)
法人の代表者を変える、施設を小さく増改築する 変更届
営業をやめる 廃止届

つまり、法人化で見るのは「譲渡の契約を作れるか」「店の場所や設備を変えるか」の2つだ。

法人を作っただけで、届出は引き継がれるのか

引き継がれない。個人と法人は別の名義だからだ。開設者(保健所の届出に載っている、店の持ち主)が個人から法人に変わるので、何らかの届出が要る。

昔は、開設者が変わるたびに新規の開設届が要った。令和5年12月13日に理容師法と美容師法が改正され、事業譲渡でも、合併・分割・相続と同じように、承継の届出で開設者の地位を移せるようになった(福岡市・大田区・神奈川県のページ。2026年10月5日確認)。根拠の条文は美容師法第12条の2で、千葉県の手続きページも、美容所の承継届(譲渡)の根拠としてこの条を挙げている(2026年10月5日確認)。条文は、承継した人が「遅滞なく」、その事実を証する書面を添えて都道府県知事に届け出る、という内容だ(条文の原文全文は今回開けておらず、検索結果の要約と各自治体のページで確認した)。

ここで気になるのは「許可が切れて、休業になるのでは」という点だ。美容所は、各自治体のページの見出しを見ると「届出」の手続きとして案内されている。承継届を出す場合に、営業を止める期間が必要になるかは、今回見た自治体のページには記載が見つからなかった(2026年10月5日確認)。ここは保健所に、日付を出して聞いてほしい。

承継届と新規開設届は、何が違うのか

見た範囲で比べると、次の表のとおりだ(2026年10月5日確認。自治体ごとに書類と手数料は違う)。

承継届 新規開設届
使える場面 事業譲渡・合併・分割・相続 新しく開く、移転、大規模な増改築など
提出時期 譲渡後に「速やかに」(福岡市)、「遅滞なく」(新宿区。美容師法第12条の2も「遅滞なく」) 開設前。保健所の検査を受けてから営業
主な書類 承継届、譲渡契約書など譲渡を証する書類、法人の登記事項証明書(神奈川県は検査確認済証の原本も) 開設届、平面図、免許証、医師の診断書、法人なら登記事項証明書
手数料 福岡市・大田区・神奈川県のページに記載なし 神奈川県16,060円、福岡市16,000円、大田区24,000円
現地検査 神奈川県は譲渡日から6か月以内に施設の調査を行うと記載。ほかは今回見たページに記載なし 保健所の職員が現地で検査

書類の中で、法人にする人が用意で迷うのは「譲渡を証する書類」だ。東京都の案内には「譲渡契約書等」、大田区のページには「譲渡契約書の写しや両当事者による覚書等」とある(2026年10月5日確認)。個人事業から自分の法人に譲るときも、この書類が必要になる。

法人の登記事項証明書は、東京都の案内では「6か月以内に発行のもの(原本)」とされている(2026年10月5日確認)。

計算例:3店舗の人が、新規開設扱いになったときの手数料

承継届にできる契約を作れなかったときの、費用の差を見る。

前提(すべて仮置き)

  • 個人で3店舗を経営している。3店舗とも同じ自治体
  • 譲渡の契約がなく、3店舗すべてに新規開設届を出すことになった
  • 手数料は、自治体のページに載っている額をそのまま使う
自治体(2026年10月5日確認) 1店舗の手数料 3店舗の計算 合計
福岡市 16,000円 16,000円 × 3 48,000円
神奈川県 16,060円 16,060円 × 3 48,180円
大田区 24,000円 24,000円 × 3 72,000円

新規開設なら、手数料だけで4万8,000円〜7万2,000円がかかる。承継届の手数料は、福岡市・大田区・神奈川県のページには記載が見つからなかった(同日確認)ので、この表の差額としては出せない。金額より大きいのは、新規開設では検査が入るぶん、開店の日付を検査待ちに合わせないといけないことだ。福岡市のページでは、書類の提出から確認済通知書の交付まで約1週間とある(2026年10月5日確認)。

文例:個人から法人へ営業を譲る覚書

保健所に出す「譲渡を証する書類」の、覚書の形の文例を置く。大田区のページは「両当事者による覚書等」を挙げている。〇〇のところを自分の内容に書き換えて使う。ただし、提出書類として通るかは自治体で違うので、出す前に保健所に見せて確認してほしい。

営業譲渡に関する覚書

譲渡人 〇〇 〇〇(住所:〇〇県〇〇市〇〇 〇-〇-〇)と、
譲受人 株式会社〇〇(所在地:〇〇県〇〇市〇〇 〇-〇-〇、
代表取締役 〇〇 〇〇)は、次のとおり合意する。

第1条(譲渡する営業)
譲渡人は、下記の美容所の営業を、譲受人に譲渡する。
 美容所の名称  〇〇
 美容所の所在地 〇〇県〇〇市〇〇 〇-〇-〇

第2条(譲渡日)
譲渡日は、令和〇年〇月〇日とする。

第3条(施設・設備)
譲渡人は、上記の美容所の施設・設備を、現状のまま譲受人が使用できるようにする。

第4条(届出)
譲受人は、譲渡日後、速やかに管轄の保健所に承継の届出を行う。

令和〇年〇月〇日
譲渡人 〇〇 〇〇  印
譲受人 株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇  印

譲渡日は、令和5年12月13日より後にする。この記事では、覚書の中身が法的に十分かは判断しない。取引先との契約や店舗の賃貸借の引き継ぎなど、届出以外の話は、税理士か弁護士に確かめてほしい。

チェックリスト:法人化の前に保健所へ確かめること

東京都の案内は「事前に保健所に相談してください」としている(2026年10月5日確認)。法人を登記する前に聞けるかは自治体で違うので、電話で確かめる。次の項目を、1つずつ確かめてほしい。

□ 譲渡日が令和5年12月13日より後で、譲渡の契約書か覚書を作れる □ 店の場所、いすの台数、面積を変えない(変えると新規開設扱いになることがある) □ 承継届を出す保健所の名前と、窓口の電話番号を控えた □ 承継届に必要な書類の一覧を、保健所から受け取った □ 法人の登記事項証明書(6か月以内・原本)をいつ取れるかを確認した □ 承継届を出す前に、営業を止める日が要るかを、保健所に日付を出して聞いた □ 承継のあと、個人名義で出した届出の扱い(廃止届が要るか)を聞いた □ 承継届で現地検査があるか、手数料がかかるかを聞いた □ 従業者(スタッフ)の届出が、法人化で変わるかを聞いた

「承継のあと、個人の届出をどうするか」は、東京都の承継届の必要書類の欄に廃止届の記載は見当たらなかった(2026年10月5日確認)。ただ、それで不要と言い切れる材料は今回見た範囲になかったので、保健所に確認する項目に入れた。

個人で店を守ってきた人が、不安になるのは自然なこと

美容室は、お客さんの顔が見えて、スタッフの生活もかかっている仕事だ。届出のことで営業に穴が空いたら、と考えると、法人化の日を決めるのが怖くなる。

慌てなくていい。承継届は、新規の開設届をやり直さずに開設者を移せる手続きだ。「いつまでに、何を出せばいいか」を、保健所に先に聞けば、手戻りは減る。法人化の日と、届出の日は、順番を決めて別々に進めても構わない。

調べた範囲では、この記事の内容はここまでだ。自治体ごとの書類と手数料、承継届で検査があるかは、店のある保健所に確かめてほしい。税金や社会保険の手続きは、この記事では扱っていない。

次にやること

店を管轄している保健所(東京23区なら店のある区の衛生課)に電話して、次の一言を伝える。「個人で美容室をやっていて、法人にする予定です。事業譲渡の承継届で出せるか、必要な書類は何かを教えてください」。聞いた内容は、日付と担当者の名前を添えてメモに残す。

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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