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確定拠出年金の移換手続き

この記事の内容
  1. 結論:企業型DCは退職から6か月以内、iDeCoは種別変更届を出す
  2. 退職と独立の準備で手いっぱいなのは、当たり前
  3. 自動移換になると何が困るのか
  4. 手順:企業型DCからiDeCoへ資産を移す流れ
  5. 掛金の上限は、独立すると変わる
  6. 国民年金保険料の免除を受けていると、iDeCoの加入者にはなれない
  7. 計算例:放置した場合の手数料と、上限の空き枠
  8. チェックリスト:独立が決まったら、この順に確かめる
  9. 次にやること

会社員をやめて独立する人が、退職後に忘れやすい手続きがひとつある。会社で入っていた確定拠出年金(企業型DC)や、自分で入っていたiDeCoの「その後」の手続きだ。この記事は、これから独立する人、すでに独立した人に向けて、やらないと何が起きるか、どの書類を誰に出すかを整理する。最後に、放置した場合の手数料を仮の数字で計算する。

結論:企業型DCは退職から6か月以内、iDeCoは種別変更届を出す

独立するときの確定拠出年金の手続きは、いま持っているものによって2つに分かれる。

いま持っているもの 独立したらやること 期限・注意
会社の企業型DC iDeCoなどへ資産を移す(移換) 退職から6か月以内。過ぎると自動移換になる
会社員のときから入っていたiDeCo 「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)(K-010A)」を運営管理機関に出す 会社員から個人事業主になり、国民年金の種別が変わるため
どちらも持っていない 手続きはない この記事の対象外

出どころは、厚生労働省の「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」のページと、iDeCo公式サイトの「転職・退職された方へ」のページだ(どちらも2026年9月確認)。厚生労働省のページには、企業型DCの加入者が資格を失ったあと、6か月以内にiDeCoなどへ移す手続きも、脱退一時金の請求もしなかった場合、国民年金基金連合会に自動移換される、と書かれている。

iDeCoのほうは、公式サイトに「引き続き加入が可能」とある。ただし国民年金の被保険者種別が変わるので、変更の手続きが要る。

退職と独立の準備で手いっぱいなのは、当たり前

退職の書類、健康保険、国民年金、開業届、取引先への連絡。独立前後は、やることが一気に来る。確定拠出年金の手続きは、会社が用意してくれる書類の中に紛れていて、自分から動かないと進まない。忘れやすいのは、あなたが雑だからではない。

自動移換になったからといって、そこで終わりでもない。自動移換されたあとにiDeCoなどへ移す手続きがあり、その手数料表も公式に出ている。ただ、放置した月数だけ管理手数料がかかるので、気づいた日に動くのが一番安い。

自動移換になると何が困るのか

厚生労働省のページに書かれている不利益は3つだ(2026年9月確認)。

  • 資産の運用がされない
  • 加入者に管理手数料の負担が発生する
  • 自動移換中の期間は、老齢給付金を受け取る条件の「通算加入者等期間」に含まれない。場合によっては受け取れる年齢が遅くなる

3つ目の「通算加入者等期間」に入らない、という点は見落としやすい。何年以上あれば何歳から受け取れるか、という具体的な基準は、この記事では扱わない。自分が該当するかは、運営管理機関に問い合わせる。

手数料の金額は、国民年金基金連合会の「自動移換にかかる手数料改定のお知らせ」に表がある(令和8年4月1日基準日、税込。2026年9月確認)。

手数料 金額 中身
新規自動移換手数料 1,048円+3,300円=4,348円(1回) 企業型DCから自動移換されるときにかかる。徴収先が国民年金基金連合会と特定運営管理機関に分かれている
管理手数料 40円+58円=98円(月) 自動移換された日の属する月の4か月後からかかる
移換手数料 550円(1回) 自動移換からiDeCoなどへ移すときにかかる

管理手数料は年1回まとめて資産から引かれる、と同じ資料に書かれている。ここでは月額に直して計算する。

手順:企業型DCからiDeCoへ資産を移す流れ

公式の早見表(転退職に伴う年金資産移換等早見表)によると、独立して国民年金の第1号被保険者になる人は、iDeCoへ資産を移して「加入者」または「運用指図者」になる。加入者は掛金を出す人、運用指図者は掛金を出さず、いまある資産の運用だけを続ける人だ(iDeCo公式FAQ)。

  1. 会社の担当者、または企業型DCの残高通知で、いまの運営管理機関の名前と連絡先を確認する
  2. 移した先のiDeCoを扱う運営管理機関(銀行・証券会社など)を選ぶ。金額や商品は機関ごとに違うので、比べてから決める
  3. 選んだ運営管理機関に「個人別管理資産移換依頼書」を提出する。一部の運営管理機関では、Webサイトからオンラインで提出できる
  4. 掛金を出して加入者になるか、運用だけの運用指図者になるかを決める。加入者になる場合の追加書類は、運営管理機関に聞く
  5. 移換が終わったあと、iDeCoの口座に資産が入っているかを確認する

すでにiDeCoに入っている人は、1〜3ではなく、運営管理機関に連絡して種別変更届(第1号被保険者用)の書類を取り寄せ、提出する。

掛金の上限は、独立すると変わる

会社員のときは、企業年金がない会社で月2.3万円が上限だった。第1号被保険者(自営業者等)は、月6.8万円が上限になる。ただし、この6.8万円は国民年金基金、国民年金の付加保険料と合算の枠だ(iDeCo公式サイト、2026年9月確認)。

区分 掛金の上限(月額)
第1号被保険者(自営業者等) 6.8万円(国民年金基金・付加保険料と合算)
第2号被保険者(会社員等)で企業年金なし 2.3万円
企業型DCのみに加入している会社員 2万円
企業型DCとDB、DBのみ、公務員等 2万円(2024年12月の制度改正で1.2万円から引き上げ。事業主の掛金額との合計が月5.5万円を超えると逓減)
第3号被保険者 2.3万円

出せる上限が増えることと、出したほうがいいかどうかは別の話だ。独立直後は収入が読めない。この記事は、いくら掛けるべきかの判断はしない。

国民年金保険料の免除を受けていると、iDeCoの加入者にはなれない

iDeCo公式FAQに、「国民年金保険料の免除などを受けている方」は、第1号被保険者であってもiDeCoに加入できない、と書かれている(2026年9月確認)。

独立直後に収入が少なく、国民年金保険料の免除を申請する人もいる。その場合、掛金を出す加入者としてiDeCoを続けるのは難しい。運用だけを続ける「運用指図者」という立場が別にあるので、免除を受ける・受けている間にどちらの立場になれるかは、運営管理機関に確認する。

計算例:放置した場合の手数料と、上限の空き枠

ここでは、放置した場合の手数料を、仮の数字で計算する。

前提(すべて仮置き):

  • 2026年10月末に退職し、企業型DCの手続きをしなかった
  • 6か月後の2027年4月に自動移換された
  • 自動移換の月から4か月後、つまり2027年8月から管理手数料がかかる
  • 2030年7月末まで(36か月)放置し、その後iDeCoに移した
  • 手数料は、上の表(2026年4月以降)の金額のまま変わらないと仮定する
項目 計算 金額
新規自動移換手数料 1,048円+3,300円 4,348円
管理手数料(36か月) 98円×36か月 3,528円
移換手数料 iDeCoへ移すとき 550円
合計 4,348+3,528+550 8,426円

放置した3年間で、約8,400円の手数料がかかる。金額そのものは大きくない。ただ、この間は資産が運用されず、通算加入者等期間にも入らない。手数料より、こちらの不利益のほうが重い可能性がある。

もう1つ、上限の計算をする。独立後に国民年金基金へ月2万円入り、付加保険料は使わないと仮定する。第1号被保険者の上限は6.8万円(合算)なので、iDeCoに出せる上限は 6.8万円−2万円=4.8万円になる。

チェックリスト:独立が決まったら、この順に確かめる

□ 会社に企業型DCがあるかを、給与明細・入社時の書類・会社の担当者で確かめた □ 自分でiDeCoに入っているかを、口座の通知や運営管理機関のマイページで確かめた □ 企業型DCなら、退職日と「退職から6か月」の期限日を手帳かカレンダーに書いた □ 移した先の運営管理機関を選んで、「個人別管理資産移換依頼書」の入手方法を確かめた □ iDeCoに入っているなら、種別変更届(第1号被保険者用)を取り寄せた □ 国民年金保険料の免除を申請する予定があるか、あるなら運営管理機関に加入者になれるかを聞いた □ 国民年金基金に入る予定があるなら、iDeCoの上限(6.8万円から国民年金基金の掛金を引いた額)を計算した

全部を一度に埋める必要はない。まず1つ目と2つ目だけ今日確かめる。持っているものが分かれば、残りの手順は決まる。

次にやること

会社の総務、または企業型DCの通知に載っている運営管理機関の窓口に連絡して、「退職後の資産の移換手続きは、いつまでに何を出せばいいか」を1つだけ聞く。


出どころ(すべて2026年9月確認):

  • 厚生労働省「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」
  • iDeCo公式サイト「iDeCo加入者で転職・退職された方へ」「よくあるご質問」
  • 厚生労働省「確定拠出年金制度の拠出限度額」(DB等の他制度掛金相当額の反映後、令和6年12月〜の図表。DB加入者・公務員等の上限が1.2万円から2万円に引き上げられている)
  • 国民年金基金連合会「自動移換にかかる手数料改定のお知らせ」(令和8年4月1日基準日、https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/tesuuryoukaitei202604.pdf )
  • iDeCo公式「転退職に伴う年金資産移換等早見表」

この記事に、筆者本人の実体験はない。調査した範囲の内容を整理したものである。

当サイト運営者

会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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