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設立から2年間の消費税免税

この記事の結論
  • 資本金1,000万円未満の新設法人は、設立第1期・第2期は原則として消費税の納税義務が免除される(消費税法12条の2第1項、国税庁)
  • ただし設立1期目の最初の6か月間の課税売上高・給与等支払額がいずれも1,000万円を超えると、2期目は免除されない(消費税法9条の2、特定期間の判定)
  • インボイス登録をすると登録日からその事業年度で課税事業者になり、免税の残り期間を自分から手放すことになる(国税庁)
  • 登録した小規模事業者が使える「2割特例」は2026年9月30日を含む課税期間までが対象(国税庁)
この記事の内容
  1. 結論:免税は今もあるが、2年間フルに使えるとは限らない
  2. そもそもなぜ設立2年間は免税なのか
  3. 「2年間」が短くなるケース:特定期間の売上判定
  4. インボイス登録をすると、この免税はどうなるか
  5. 登録しない場合、取引先側で起きていること
  6. 2026年9月30日が一つの区切りになる
  7. 判断の分かれ目
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. 次にやること

この記事は、会社を作ると「設立から2年間は消費税が免税になる」と聞いたものの、インボイス制度が始まった今もそのまま使える話なのか整理がつかない一人起業の人に向けて書いています。 結論から言うと、2年間の免税という制度自体は今も存在します。ただし「2年間」が実際にはもっと短くなるケースがあり、さらにインボイス登録をすると自分からこの免税を手放すことになります。以下、免税の仕組み、2年間が短くなる条件、インボイスとの関係の順に整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 「会社を作ると2年間は消費税を払わなくていい」と聞いたが、今も本当にそうなのか不安
  • インボイス制度が始まってから何が変わったのか、免税との関係が分からない
  • 2年間フルに免税を使えるのか、それとも短くなる場合があるのか知りたい

結論:免税は今もあるが、2年間フルに使えるとは限らない

資本金1,000万円未満で会社を設立した場合、設立第1期・第2期は原則として消費税の納税義務が免除されます(消費税法12条の2第1項、国税庁)。この制度自体はインボイス制度が始まった後も変わっていません。 ただし2点、思っているより単純ではない事情があります。1つは、1期目の売上・給与の水準によっては2期目の免除が外れること。もう1つは、インボイス登録をすると、その時点で自分から免税を終わらせることになることです。

ここが要点

「2年間は消費税を払わなくていい」は制度としては正しいですが、「2年間は何もしなくていい」ではありません。 1期目の途中の数字と、インボイス登録のタイミング、この2つで実際に使える期間が変わります。

そもそもなぜ設立2年間は免税なのか

消費税の納税義務があるかどうかは、原則として「基準期間」の課税売上高が1,000万円を超えているかで判定します。新設法人には設立1期目・2期目にあたる基準期間がまだ存在しないため、資本金または出資金の額が1,000万円未満であれば、この2期間は原則として消費税が免除されます(消費税法12条の2第1項、国税庁)。資本金の決め方については資本金はいくらにするか|1円設立をやめた理由で整理しています。

なお、親会社など「特定要件」に該当する他の者から出資を受けて設立する「特定新規設立法人」に当たる場合は、資本金が1,000万円未満でもこの免除は適用されません(国税庁「特定新規設立法人の納税義務免除の特例」)。一人起業で自己資金のみで設立する場合は通常関係しませんが、出資者が別にいる場合は確認が必要です。

「2年間」が短くなるケース:特定期間の売上判定

ここが見落とされやすい点です。資本金1,000万円未満で1期目が免税でも、2期目まで自動的に免税が続くとは限りません。

消費税には「特定期間」という別の判定があります(消費税法9条の2)。法人の場合、特定期間は原則として「前事業年度開始の日から6か月間」にあたります。この6か月間の課税売上高と、給与等支払額の合計額の、いずれもが1,000万円を超えていると、2期目は資本金額にかかわらず消費税の免税が受けられなくなります。 課税売上高・給与等支払額のどちらか一方でも1,000万円以下であれば、2期目の免除は続きます(国税庁「特定期間の課税売上高による免税事業者の判定」)。

つまり「2年間の免税」は、1期目のうち最初の半年で急に売上や人件費が伸びた場合、2期目から前倒しで終わることがあります。1期目の立ち上がりが早いビジネスモデルほど、この点を意識しておく必要があります。

インボイス登録をすると、この免税はどうなるか

もう一つ、免税の期間を左右するのが自分の判断です。適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録を受けると、その登録日から課税事業者になります(国税庁)。1期目・2期目の途中で登録すれば、その時点で免税は終わります。

さらに、登録日を含む課税期間から、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間の末日までは、売上高が基準期間ベースで1,000万円以下に戻っても免税事業者には戻れません(いわゆる「2年縛り」。国税庁「インボイス制度において事業者が注意すべき事例集」令和8年4月改訂)。設立時に登録するかどうかで免税の恩恵がどう変わるか、判断の分かれ目はインボイス登録は設立時にやるか|免税の恩恵と取引先の都合で詳しく整理しています。

登録しない場合、取引先側で起きていること

登録せず免税事業者のままだと、自社が発行する請求書は適格請求書(インボイス)になりません。影響を受けるのは自社ではなく、取引先(課税事業者)側です。取引先が仕入税額控除として差し引ける金額が、経過措置により段階的に減っていきます(国税庁)。

期間 免税事業者等からの仕入れに対する控除割合
2023年10月1日〜2026年9月30日 仕入税額相当額の80%
2026年10月1日〜2028年9月30日 仕入税額相当額の70%
2028年10月1日〜2030年9月30日 仕入税額相当額の50%
2030年10月1日〜2031年9月30日 仕入税額相当額の30%
2031年10月1日以降 控除不可(現行制度上)

※上記は2026年3月31日成立の令和8年度税制改正後のスケジュールです(国税庁「令和8年度税制改正特集」)。改正前は「2026年10月〜2029年9月は50%、以降は控除不可」という2段階の予定でしたが、期限が延長され70%・50%・30%の3段階に見直されています。

2026年9月30日が一つの区切りになる

免税を使わずインボイス登録した場合の負担を抑える「2割特例」(登録によって免税事業者から課税事業者になった小規模事業者が、売上にかかる消費税額の2割を納税額にできる制度)は、2026年9月30日を含む課税期間までが対象です(国税庁「2割特例の概要」)。同じ2026年9月30日は、上の表にある仕入税額控除の経過措置が80%から70%に切り替わる日でもあります。

ここが要点

設立のタイミングによっては、この2026年9月30日という区切りをまたぐかどうかで、2割特例が使える最後の期に当たるかどうかが変わります。 決算月と設立日から、自社の各事業年度がこの日の前後どちらに属するかを確認しておく価値があります。

判断の分かれ目

状況 免税の使われ方
1期目の最初の6か月の売上・給与がいずれも1,000万円以下の見込み 2期目まで免税が続く可能性が高い
1期目の最初の6か月で急速に売上・給与が伸びる見込み 2期目から免税が外れる可能性がある(特定期間の判定)
取引先が課税事業者中心のBtoB 免税を使い続けるとインボイスを発行できず、取引先の控除額が段階的に減っていく
取引先が一般消費者中心、または免税・簡易課税事業者が中心 免税をそのまま使い切る選択肢が現実的

自分の事業の売上の立ち上がり方と、取引先の顔ぶれの両方から、免税をどこまで使うかを考える必要があります。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている時点でまだ登記は完了していません。資本金は資本金はいくらにするかに書いたとおり1,000万円未満で確定させる予定なので、免税の適用条件そのものは満たす見込みです。ただし1期目の立ち上がりで売上・給与がどう推移するか、インボイス登録をどのタイミングでするかは、取引先の内訳が固まっていない現時点ではまだ決めていません。数字が見えてきた段階で、実際に何期まで免税を使えたかをこの記事に追記します。

次にやること

まず、1期目の事業計画のうち「最初の6か月」に絞って、売上と人件費(給与等支払額)の見込みを紙に書き出してください。 ここが両方1,000万円を超える見込みなら、2期目の免除が外れる前提で資金計画を組み直す必要があります。超えない見込みなら、次は取引先が課税事業者中心かどうかを確認し、インボイス登録のタイミングをインボイス登録は設立時にやるかを読みながら検討してください。設立手続きと並行して試算したい場合は、freee会社設立のようなサービスの設立フォームでも簡易にシミュレーションできます。


※本記事は2026年9月1日時点で調査した内容に基づくものです。実際の免税・登録の判断は税理士にご確認ください。

出典 - 消費税法 第12条の2第1項(基準期間がない法人の納税義務の免除の特例) - 消費税法 第9条の2(特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例) - No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例|国税庁 - 特定新規設立法人の納税義務免除の特例|国税庁 - 特定期間の課税売上高による免税事業者の判定|国税庁 - 登録制度の見直しと手続の柔軟化に関する概要|国税庁 - 2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁 - 令和8年度税制改正特集(インボイス制度関連)|国税庁 - インボイス制度において事業者が注意すべき事例集(令和8年4月改訂)|国税庁 — 登録後の「2年縛り」の根拠

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会社を辞めて、会社をつくる準備をしている当事者です

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。2026年に退職し、いまは求職活動と並行して、会社を立ち上げる準備を検討している段階です。まだ登記はしていません。調べて確かめたことだけを書き、済んでいない手続きは「これから」と正直に書きます。体験のふりをしません。

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