一人社長の社会保険料はいくらか
- 東京都・協会けんぽの健康保険料率は9.85%(介護保険第2号被保険者に該当しない場合、令和8年3月分〜適用)、40〜64歳が加入する介護保険料率1.62%を加えると11.47%になる(全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部)」)
- 厚生年金保険料率は全国一律18.300%で2017年9月分から変わっていない(日本年金機構)
- どちらも労使折半のため、月額表の「全額」の半分が本人の給与から天引きされる本人負担分、残り半分が会社負担分になる
- 厚生年金保険料には標準報酬月額65万円(32等級)という上限があり、それ以上報酬を上げても厚生年金保険料は増えない(日本年金機構)
- 一人社長の場合、会社負担分も本人負担分も結局は自分が経営する会社のお金から出ていく(自身の整理)
この記事の内容
この記事は、会社を設立して役員報酬を決めようとしているが、社会保険料が具体的にいくらになるのか金額のイメージが持てない一人社長・一人起業の人に向けて書いています。 結論から言うと、東京都・協会けんぽの令和8年度の保険料率(2026年4月分から新設された「子ども・子育て支援金」0.23%を含む)で計算すると、役員報酬月額30万円なら本人負担・会社負担を合わせて月額約8.5万円(40歳未満の場合)、役員報酬月額50万円なら約14.2万円が健康保険・厚生年金保険・子ども子育て支援金として出ていきます。以下、報酬額ごとの一覧、本人負担と会社負担の違い、一人社長ならではの注意点の順に整理します。
- 社会保険に入る義務があることは分かったが、実際にいくら引かれるのか金額感がない
- 「労使折半」と言われても、一人社長の自分にとって何が変わるのか分からない
- 役員報酬を上げたら保険料もどこまでも上がるのか、それとも上限があるのか知りたい
結論:役員報酬30万円で月約8.5万円、50万円で月約14.2万円(40歳未満・東京都の場合)
健康保険・厚生年金保険、そして2026年4月分(5月納付分)から新設された「子ども・子育て支援金」は、いずれも役員報酬の額をもとに決まる「標準報酬月額」に、それぞれの料率をかけて計算します。東京都・協会けんぽ管掌の場合、令和8年度に適用されている料率は次のとおりです。
- 健康保険料率:9.85%(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)、11.47%(40〜64歳の介護保険第2号被保険者に該当する場合)(令和8年3月分(4月納付分)〜適用)
- 子ども・子育て支援金率:0.23%(全国一律、令和8年4月分(5月納付分)〜適用。健康保険料と同じく標準報酬月額・標準賞与額に対してかかり、労使折半)(全国健康保険協会「子ども・子育て支援金率について」)
- 厚生年金保険料率:18.300%(全国一律、2017年9月分〜適用)
いずれも労使折半のため、実際に本人の給与から天引きされる金額は「全額」の半分です。40歳未満・東京都・役員報酬月額30万円の場合、本人負担分は月額42,570円、会社負担分も同額の42,570円で、合わせて月85,140円が保険料・支援金として出ていきます(全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部)」「子ども・子育て支援金率について」)。詳しい金額は次の一覧で確認してください。
前提:この記事の数字は東京都・協会けんぽのもの
健康保険料率は都道府県ごとに異なります。 協会けんぽは都道府県単位で保険料率を設定しており、この記事で使う9.85%・11.47%は東京都(東京支部)の令和8年3月分(4月納付分)からの数値です。他の都道府県で登記・営業している場合、あるいは業界団体の健康保険組合に加入する場合は、率が変わります。正確な数字は、自分の会社が加入する保険者(協会けんぽの管轄支部、または健康保険組合)の公表資料で確認してください。
厚生年金保険料率18.300%は全国一律のため、都道府県による違いはありません(日本年金機構)。子ども・子育て支援金率0.23%も全国一律です(全国健康保険協会「子ども・子育て支援金率について」)。
会社設立後の社会保険への加入義務そのものについては、会社設立後の社会保険手続き|一人社長でも加入は義務で整理しています。役員報酬の決め方と社会保険料・税金のトレードオフの構造は役員報酬の決め方|社会保険料と税金のバランスで扱っています。この記事は、その2本を踏まえたうえでの「具体的にいくらか」の一覧です。
役員報酬別の保険料早見表(40歳未満・65歳以上)
介護保険第2号被保険者に該当しない(40歳未満、または65歳以上の)場合の月額保険料・支援金です。健康保険料率9.85%・子ども子育て支援金率0.23%・厚生年金保険料率18.300%を合計した28.38%を、標準報酬月額にかけています。標準報酬月額は、役員報酬(報酬月額)が該当する等級区分の金額に置き換えています。
| 役員報酬月額の目安 | 標準報酬月額 | 本人負担(月) | 会社負担(月) | 合計(月) | 合計(年・概算) |
|---|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 200,000円 | 28,380円 | 28,380円 | 56,760円 | 約68.1万円 |
| 30万円 | 300,000円 | 42,570円 | 42,570円 | 85,140円 | 約102.2万円 |
| 40万円 | 410,000円 | 58,179円 | 58,179円 | 116,358円 | 約139.6万円 |
| 50万円 | 500,000円 | 70,950円 | 70,950円 | 141,900円 | 約170.3万円 |
| 65万円(厚生年金の上限) | 650,000円 | 92,235円 | 92,235円 | 184,470円 | 約221.4万円 |
(出典:全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部)」「子ども・子育て支援金率について」。「年・概算」は月額×12か月の単純計算で、賞与にかかる保険料・支援金は含みません。)
役員報酬別の保険料早見表(40〜64歳・介護保険第2号被保険者)
40歳から64歳までは、上の表の健康保険料に介護保険料率1.62%が上乗せされ、健康保険料率は合計11.47%になります。これに子ども子育て支援金率0.23%を加えた合計料率は30.00%です(厚生年金保険料率は変わらず18.300%)。
| 役員報酬月額の目安 | 標準報酬月額 | 本人負担(月) | 会社負担(月) | 合計(月) | 合計(年・概算) |
|---|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 200,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 60,000円 | 約72.0万円 |
| 30万円 | 300,000円 | 45,000円 | 45,000円 | 90,000円 | 約108.0万円 |
| 40万円 | 410,000円 | 61,500円 | 61,500円 | 123,000円 | 約147.6万円 |
| 50万円 | 500,000円 | 75,000円 | 75,000円 | 150,000円 | 約180.0万円 |
| 65万円(厚生年金の上限) | 650,000円 | 97,500円 | 97,500円 | 195,000円 | 約234.0万円 |
(出典:全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部)」「子ども・子育て支援金率について」)
厚生年金保険料は、役員報酬をいくら上げても月額118,950円(本人負担59,475円)が上限です。 標準報酬月額65万円(32等級)が最上位区分のため、報酬をこれ以上増やしても厚生年金保険料は増えません(日本年金機構「保険料額表」)。一方、健康保険料と子ども子育て支援金には(協会けんぽの都道府県単位保険料の場合)この記事の等級表以降も上位区分が続くため、報酬が上がるほど健康保険料・支援金は増え続けます。
「全額」と「折半額」の違い|一人社長には両方が自分ごと
会社員として働いていたときの感覚では、「会社負担分」は自分とは無関係な数字に見えるかもしれません。しかし一人社長の場合、その会社を経営しているのは自分自身です。会社負担分も、結局は自分が経営する会社の現金から出ていきます。 上の表で言えば、役員報酬30万円(40歳未満)の場合に個人の手取りから引かれるのは本人負担分の42,570円ですが、会社の口座からは合計85,140円が保険料・支援金として毎月出ていく、という見方が実態に近くなります。
会社負担分は法人の経費(法定福利費)として損金に算入できるため、法人税の計算上はプラスに働きます。ただし、経費になるかどうかと、会社に残る現金が減るかどうかは別の話です。役員報酬をいくらにするかを考えるときは、本人負担分(手取りへの影響)だけでなく、会社負担分を含めた合計(会社の資金繰りへの影響)の両方を見ておく必要があります。この構造は役員報酬の決め方|社会保険料と税金のバランスでも扱っています。
賞与を出す場合は別枠で保険料がかかる
この記事の一覧は、毎月の役員報酬(月額)に対する保険料・支援金です。賞与(ボーナス)を支給する場合は、賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に対して、月額と同じ料率(健康保険料率・介護保険料率・子ども子育て支援金率・厚生年金保険料率)をかけて別途保険料・支援金がかかります(全国健康保険協会)。
標準賞与額には上限があり、健康保険・介護保険料・子ども子育て支援金は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)、厚生年金保険料は月間150万円が上限です(全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部)」「子ども・子育て支援金率について」)。定期同額給与としての役員報酬とは別に、事前確定届出給与などの形で役員賞与を出す場合は、この上限と合わせて試算しておく必要があります。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年に前職を退職し、合同会社の設立準備を進めている当事者ですが、この記事を書いている2026年9月1日時点ではまだ登記が完了しておらず、役員報酬の金額も決めていません。したがってこの記事の数字は、実際に自分の給与明細で確認した金額ではなく、全国健康保険協会・日本年金機構の公開している保険料額表をもとに計算した「調査した範囲では」の目安です。
実際に役員報酬を決定し、初めて保険料が天引きされた段階で、この記事に自分の場合の実額を追記する予定です。
次にやること
まず、自分が検討している役員報酬の月額に近い行を上の表から探し、本人負担分と会社負担分の両方の金額を書き出してください。 そのうえで、40歳未満か40〜64歳かで参照する表を分け、東京都以外で登記・営業する場合は自分の管轄支部の保険料率を協会けんぽの公表資料で確認してください。役員報酬そのものの決め方は役員報酬の決め方|社会保険料と税金のバランス、加入手続きの流れは会社設立後の社会保険手続き|一人社長でも加入は義務を参照してください。
freee会社設立
※本記事は2026年9月1日時点で確認した全国健康保険協会・日本年金機構の公開情報に基づく試算です。健康保険料率は都道府県・加入する健康保険組合により異なり、健康保険料率・介護保険料率・子ども子育て支援金率・厚生年金保険料率はいずれも毎年度改定されます。実際の金額は、必ず自分の会社が加入する保険者(協会けんぽの管轄支部、または健康保険組合)と、社会保険労務士・年金事務所に確認してください。
出典 - 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部)」(令和8年3月分(4月納付分)から適用の健康保険料率9.85%・介護保険料率1.62%・厚生年金保険料率18.300%、標準報酬月額の等級区分、標準賞与額の上限を確認) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/assets/R8_13tokyo.pdf (2026年9月1日確認) - 令和8年度保険料額表|都道府県毎の保険料額表|全国健康保険協会(2026年9月1日確認。都道府県ごとに保険料率が異なることを確認) - 協会けんぽの子ども・子育て支援金率について|全国健康保険協会(2026年9月1日確認。子ども・子育て支援金率0.23%が全国一律で令和8年4月分(5月納付分)から適用され、標準報酬月額・標準賞与額に対して健康保険料と同じ枠組みで労使折半でかかることを確認) - 厚生年金保険の保険料|日本年金機構(2026年9月1日確認。保険料率18.300%・労使折半・2017年9月分からの適用を確認) - 厚生年金保険料額表|日本年金機構(2026年9月1日確認。標準報酬月額の上限が32等級・65万円であることを確認)